「最初は高卒でプロに…」昨冬選手権で主役の早大ルーキーが逆転弾を連発! 躍動の裏側にある大学サッカーへの想いとは?

「最初は高卒でプロに…」昨冬選手権で主役の早大ルーキーが逆転弾を連発! 躍動の裏側にある大学サッカーへの想いとは?

青森山田高から早稲田大に進学した安斎。ここ数試合、試合を決定づける仕事をやってのけている。写真:安藤隆人



 壮絶な打ち合いとなったゲームを締めくくったのは、後半途中で投入をされた早稲田大のルーキー・安斎颯馬の一撃だった。

【PHOTO】J内定者から隠れた逸材まで…2021大学サッカー注目プレーヤー
 一時は2点のリードを広げられた早稲田大だったが、67分に途中出場の1年生・MF光田脩人のゴールで1点差に迫ると、71分には2023年からのFC東京加入内定が発表されたばかりのMF西堂久俊のクロスを、MF田中雄大が鮮やかなダイレクトボレーで突き刺して同点に追いついた。

 そして85分、左サイドでボールを受けたMF小倉陽太の強烈なシュートをゴール前にいた安斎がヘッドでコースを変えて、ゴール左隅に突き刺した。

 かなり難しいボールだった。小倉はゴール右隅を狙ったシュートを放った。その威力は凄まじく、弾丸ライナーで「ポストやGKが止めた時に詰めようと思って、オフサイドラインに気をつけて枠内のシュートコースから外れたポジションに立っていた」安斎のもとに一直線に飛んでいった。すると安斎は「ボールも勢いがあったので、しっかりと当てて下方向に飛ばすことができれば入ると思いました」と冷静に体制を整えて、正確に額にボールをミートさせた。

 周りの度肝を抜くスキルフルなゴールでチームを勝利に導いた立役者は、「この3連戦(9月25日・国士舘大戦、9月28日・筑波大戦、10月2日・桐蔭横浜大戦)すべてベンチスタートで個人的に凄く悔しい思いをしています」と、スタメンから外れていることに言及すると、「だからこそ、絶対に結果を出そうと思っていた」と素直な気持ちを口にした。

 3戦ともリードされた局面での投入だった。「自分に課せられている仕事はゴールとチームに勢いをもたらすことだけ。ピッチに入ったら自分が流れを変えたと、味方だけではなく周りにも感じさせられるようなプレーをすることを考えている」と語るように、ファーストプレーから消極的にならないように心がけている。

 ボールを受けたらまずは仕掛ける姿勢を見せ、突破が難しいと判断をしたら、次はボールを失わないプレーに切り替える。連戦最初の国士舘大戦では、2-3で迎えた67分に投入されると、3-3となった81分に逆転ゴールを叩き出した。この試合でもファーストプレーで前を向いてドリブルで運ぶと、スペースを埋められたと見るやコースを変えてタメを作り出すプレーで、2次攻撃に繋げるなど、流れをグッと引き寄せた。だからこそ、自身の値千金の決勝弾も生まれたのだ。
 

「怪我をしている加藤拓己(清水エスパルス内定)くんや、今日出ていた奥田陽琉くんのように前線でがっつりと収めるタイプではないので、周りとのコンビネーションでボールを捌きながら、『ここぞ』という場面で背後を取って、相手との駆け引きを制して、武器であるシュートに繋げていくことを意識しています。自分の特徴である前への推進力を出して、そこでミスをする分には仕方がないと思うので、まずは仕掛けることを大事にしています」
 
 1年生とは思えない、冷静かつ強い意志を持った発言とプレー。青森山田時代は2年生エースの松木玖生に隠れる存在だったが、高校最後の選手権では突破力とゴールセンスを発揮して一気に主役に躍り出た。そして、名門・早稲田大ア式蹴球部で1年から出番を掴み、チームの勝負の鍵を握る存在として躍動を見せている。

「高校サッカーから半年が経って、最初は高卒でプロになりたかったと思っていたけど、大学サッカーに来て良かったと思えることばかりで、プロに内定する選手もたくさんいる中で経験を積ませてもらっている。大学サッカーを選んで本当によかったなと思っています。それにまだ僕は1年なので、思い切ってやることは大事にしていて、割り切って自分のポジティブなところをプレーで表現していきたいと思います」

 ここから駒澤大、明治大、法政大など上位との戦いが続く。「1つ勝つか負けるかで、上か下かが大きく分かれる」(安斎)重要な連戦に向けて、今度はスーパーサブではなくスタートから躍動できるように安斎颯馬のモチベーションはさらなる高まりを見せている。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 

関連記事(外部サイト)