正念場の10月シリーズ、2戦1得点の森保ジャパンはどう点を取るのか… 主軸も自信を覗かせたサウジ攻略法は?

正念場の10月シリーズ、2戦1得点の森保ジャパンはどう点を取るのか… 主軸も自信を覗かせたサウジ攻略法は?

現地で汗を流す日本代表の選手たち。10月でも日中は35度を超える日が続いている。写真:JFA提供



「本当にこの10月2連戦で(カタール・ワールドカップ最終予選の行方が)決まると言っても過言ではないくらい大事な2試合だと思っています」
 
 若き守備の要・冨安健洋(アーセナル)がただならぬ緊張感を口にした通り、9月のオマーン戦(吹田)を落とし、いまだ1ゴールしか挙げられていない日本代表にとって、ここで首位に躍り出るためには、7日のサウジアラビア戦(ジェッダ)と12日のオーストラリア戦(埼玉)は勝点6が必須。とりわけ、サウジ戦は絶対に失敗できない大一番だ。

 苦杯を喫した2017年9月の2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)最終予選ラストマッチ(ジェッダ)、勝利した2019年1月のアジアカップ・ラウンド16(シャルジャ)の直近2回の対戦はいずれも1点差ゲーム。極めて拮抗した結果になっている。両者の実力差がそれほどないうえ、今回は完全アウェー。となれば、やはり「先手必勝」の形に持ち込むことが肝要と言っていい。

 それを踏まえ、改めてサウジアラビアの特徴を分析してみると、アジアカップ後の2019年8月から指揮を執るフランス人のエルヴェ・ルナール監督は、前任者のファン・アントニオ・ピッツィ監督ほどでないにせよ、ボールを支配して主導権を握るサッカーを志向。最終予選序盤のベトナム、オマーン戦をそれぞれ3-1、1-0で勝ち切ってきた。

 アジアカップの際は日本が高さで凌駕した印象だが、今回の主力メンバーは191センチの長身ボランチのアル・マルキを筆頭に180センチ以上の選手が5人。トップ下のアル・ファラジュも179センチと決して低くない。冨安のヘッド一発で勝ち切った2年半前の再戦を期待するのは難しいかもしれない。

 個々の技術も高く、全員がアル・ヒラルなど国内強豪クラブでプレーしている分、連係やコンディション面も優位だ。が、オマーン戦で露呈した通り、前掛かりになりすぎて後ろのスペースがポッカリ空くことがある。そこが日本にとっての狙いどころになる。

「サイドバックは両方が高い位置を取ってくるので、彼らのポゼッションという意味ではかなり有利な立ち位置になりますけど、逆を言えば裏が空いてくる。どんどん突いていけるんじゃないかと思います」と2016年以降のサウジアラビア戦3試合を全て経験している長友は明確にやるべきことを整理していた。

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 長友が言うように、サイドを有効に使いながら、機を見て空いたスペースに飛び出していけば、ゴールに直結する決定機は必ず生まれる。鎌田大地(フランクフルト)も「日本の選手は前に速いし、トランジションの切り替えで前へのスピード感は出せる」と自信を見せていただけに、今回は奪ってからのスピーディな仕掛けを意識的に出していきたいところだ。
 
 そこで勝負の分かれ目になるのが、誰を前線に配置するか。アウェーの難しさや絶対に負けられない重圧を考えると、代表経験豊富な大迫勇也(神戸)を最前線に配置し、2列目に代表実績のある堂安律(PSV)、鎌田、南野拓実(リバプール)を並べる形が無難なスタートだろう。が、スピードで一刺しできる浅野拓磨(ボーフム)か、古橋亨梧(セルティック)のいずれかは頭から使いたいところ。右サイドに堂安ではなく、浅野か古橋を起用する選択肢も有効だろう。

 このうち、古橋はケガから復帰した直後のアバディーン戦の先制弾を見ても分かる通り、ゴールに近い真ん中でプレーさせた方が得点の迫力が増す。となれば、大迫とタテ関係の2トップのような形に置いて、鎌田と南野を2列目でダブルトップ下のようにプレーさせるのも一案かもしれない。

 そのうえで、酒井宏樹(浦和)と長友の両サイドバックが対面に位置するであろうアル・ドサリ、アル・ムワラドといった面々の背後を取り、攻撃に厚みをもたせられれば、古橋のみならず、鎌田や南野にもゴールチャンスが生まれるだろう。

「サッカー選手はひとつの何かでコロっとすぐに変わっちゃう感じ。代表でうまく結果を出せればまたいい方向に変わっていくかもしれない」とクラブで苦しんでいる鎌田も前向きにコメントしていたが、9月シリーズで存在感を出せなかった彼らが得点に絡んでくれれば、チームにも活力が生まれるに違いない。

 これにより、浅野をジョーカーとしてベンチにキープしておくことが可能になる。高温多湿のジェッダでの試合を90分間戦い抜くためには、イザという時に流れを変えられる飛び道具が必要不可欠。日頃から森保監督は選手交代を躊躇しがちだが、今回は気象条件を考慮しながら総力戦で勝負すべき。今季フランス2部で早くも5ゴールと好調のオナイウ阿道(トゥールーズ)らも含め、普段以上に早めにカードを切るつもりで戦った方がベターだ。
 

 ただ、速さを押し出したカウンターばかりに固執すると点につながらなかった時が怖い。ムダに体力を消耗し、終盤に足が止まって一刺しを食らうような展開に陥りかねないからだ。だからこそ、行くところと引くところのメリハリをつけることが肝心。そこは長友も強調していた点だ。
 
「前から行く部分とハメる時間帯と、あとはしっかりブロックを作って相手に持たせる時間帯というのを、みんなで共通意識を持っていれば、僕自身はやれるな、戦えるだろうと思っているので。前から行く時はしっかりとハメて、激しく球際を戦って、切り替えて、そしてショートカウンターを仕掛ける。あとはブロックを作った時は、相手に持たせるんですけど、入れさせた時に前に速く、FWやアタッカーにしっかりつけて、そこからみんなが出ていくというようなサッカーができれば、点は取れると思います」

 国際Aマッチ127試合を誇る百戦錬磨の男が言うように、高度な意思統一と集中力を維持し、苦しい状況をやり過ごしながら、先に点を取って相手を追い込めば、日本は限りなく勝点3に近づけるだろう。キング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアムの3万人の熱狂的声援も気にならなくなるはずだ。

 理想的展開に持ち込むためにも、まずは先制点を取ることに全集中を注ぐべき。泥臭く貪欲にゴールをこじ開け、勝点3を奪うこと。それを強く求めたい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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