【日本代表考察】岡崎慎司と浅野拓磨の共通点――熾烈な最終予選で、W杯の出場権獲得以外に求められること

【日本代表考察】岡崎慎司と浅野拓磨の共通点――熾烈な最終予選で、W杯の出場権獲得以外に求められること

18年のロシアW杯出場権獲得に貢献した浅野。当時の経験は今に活きているという。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 2010年南アフリカ大会と2018年ロシア大会。日本はそれぞれのワールドカップの最終予選で、最終的に勝って本大会出場を決めている。

 南アフリカ大会の時はアウェーのウズベキスタン戦で1−0、ロシア大会の時はホームのオーストラリア戦で2−0と勝利し、歓喜の(と同時に、安堵の)瞬間を迎えた。

 実は、このふたつの“ワールドカップ出場決定試合”には、ある共通点が存在している。いずれの試合も、オリンピック世代の選手が決勝ゴールを決めていることだ。

 2010年南アフリカ大会の最終予選では、2008年北京オリンピックに出場した岡崎慎司が、2018年ロシア大会の最終予選では、2016年リオ・オリンピックに出場した浅野拓磨が、それぞれ決勝点となる先制ゴールを決め、日本をワールドカップ出場に導いている。

 後者の試合で言えば、貴重な追加点を叩き出したのも、リオ・オリンピック世代の井手口陽介である。彼らの活躍については当時の日本代表キャプテン、長谷部誠も「このような大舞台で結果を出せるのは頼もしい」と話していた。

 最終予選の厳しさや難しさについては、今さら言うまでもないだろう。日本をどうにか出し抜こうと、あの手この手で挑んでくる相手を蹴散らしながら、その一方で、自らは世界を見据えた強化を続けていかなければならない。これを同時並行で進めるのは、相当に難易度が高い。
 
 だからこそ、そこでは過去の事例が示すように、新戦力の台頭が求められるのである。

 オリンピックを経験した選手がA代表に加わり、最終予選の戦いに勢いを与え、ひいては最終予選を経験して成長した彼らが、ワールドカップ本大会で大ブレイクを遂げる。そうした循環を作り出せれば理想的だ。

 だとすれば、来年カタールで開催されるワールドカップへ向けて、期待されるのは東京オリンピック世代の選手たちである。

 森保一監督がふたつの代表チームの監督を兼任し、「1チーム2カテゴリー」で活動してきたこともあって、東京オリンピック世代にはA代表経験者が数多い。A代表でも不可欠な存在となっている冨安健洋を筆頭に、久保建英や堂安律といった選手も、すでに主力に近い存在と言えるだろう。
 

 とはいえ、言い換えれば、はっきりとポジションをつかんでいるのは冨安くらい。もっと現有勢力を脅かす選手が出てきていい。前線の選手はもちろんのこと、現在のA代表の選手層やポジションバランスを考えると、谷晃生、板倉滉、中山雄太といった選手たちには、より意欲的にポジション奪取を狙ってほしいところだ。

 話を岡崎と浅野の例に戻せば、大仕事を成し遂げたふたりのFWが、どちらも同じ思考でワールドカップ出場決定試合に臨んでいたことは興味深い。

 浅野の言葉を借りれば、「日本代表にかかるプレッシャー、責任、プライドはすべて先輩たちに持ってもらって、自分のプレーだけに集中していた」。

 岡崎にしても当時は、「いかに日本代表でポジションをつかむか」ということだけで頭はいっぱいだったというし、一連のアピールのひとつが、たまたまワールドカップ出場を決めるゴールだったに過ぎないのである。

 浅野は4年前を振り返り、「今の代表での(自分の)立ち位置と、前回の立ち位置では明らかに違うものがある」と言いつつ、こうも話す。

「ピッチに入った時にいろんなものを感じたり、背負ったりするのも大事だが、自分のために全力でプレーすることを意識しようと思う。そこは4年前(の経験)から学んだものでもある」
 
 1チーム2カテゴリーの強化は、これまで概ね順調に進んできた。オリンピック世代にA代表経験者が増えたことは、成果のひとつだろう。

 だが、その結果、オリンピック世代にとってA代表が学びの場として刷り込まれ、控え選手でいることが当たり前の感覚になってしまっているとしたらもったいない。良い意味での独善的思考は、自身の成長につながるばかりでなく、チームに勢いをもたらすブーストにもなりうる。

 とりわけ黒星スタートで日本代表に沈滞ムードが漂う現在、求められているのは新戦力の“ギラギラ”ではないだろうか。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

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