金田喜稔がサウジ戦を斬る!「緻密さの欠如は、緻密な指導ができていないから。失点に絡んだ柴崎も気の毒だ」

金田喜稔がサウジ戦を斬る!「緻密さの欠如は、緻密な指導ができていないから。失点に絡んだ柴崎も気の毒だ」

“緻密さ”が乏しかったサウジ戦は0-1の敗戦。試合に向けて準備すべきことや約束事は徹底されていたのか。(C)JFA



[カタール・ワールドカップ・アジア最終予選]日本 0-1 サウジアラビア/10月7日/キングアブドゥラー スポーツシティスタジアム

 アウェーの環境で、暑さもあるなかで、難しい試合になるとは思っていた。日本は敵地でのサウジアラビア戦で0-1の敗戦を喫した。ゲームの流れとして、日本がそこまで悪いわけではなかったけど……。

 まず気になったのは、攻撃のひとつの形でもあるFKやCKなどのリスタートだ。もう少し、バリエーションがあってもいいのではないか。

 日本には酒井、吉田、冨安ほか、鎌田や大迫もいる。“高さ”という点では引けを取っていない。キッカーの精度も決して低くない。にもかかわらず、リスタートで決定機が生まれるシーンが非常に少ない。シンプルに、もったいないと思う。

 誰が相手をブロックするのか。どこにスペースを空けるのか。相手をつり出す動きはできているのか。考えればたくさんあるはずだが、端的に言って、緻密さが足りない。

 そうした側面はディフェンス面でも見て取れた。1トップの大迫とトップ下の鎌田は、思うように相手にプレスをかけられていなかった。大迫が前から行こうとしても、鎌田が連動できずにいるとか。

 相手はビルドアップの時、ダブルボランチのひとりが2CBの間に落ちて3バック気味になり、両SBが高い位置を取ろうとする。相手の最終ラインの3枚に対し、日本は大迫と鎌田が対応するとしても、2対3の数的不利になる。
 
 数的同数にするために、日本は両サイドの南野か浅野のどちらかが加わりたいが、そのタイミングもチームとして統一されていないように見えた。

 さらには、たとえばそこで右サイドの浅野が加勢すれば、浅野が本来、見るべき相手のサイドの選手が空いてくる。そこに対しては、後ろの酒井が出ていくとして、酒井が見ていた選手をフリーにしないために、最終ラインがスライドする。

 チーム全員が同じ“絵”を描けていれば、十分に機能するはず。90分間、しかも暑さがあるなかで、やり続けるのは難しいとはいえ、組織的かつ連動した守備という意味でも、リスタートと同じように、やはり緻密さがなかった。

 それはつまりどういうことか。リスタートでも守備面でも共通した問題点が浮き彫りになった理由は、緻密な指導がなされていないからではないか。選手がピッチに立つ前に準備すべきことや、約束事が不十分だったと思う。
 

 ともすれば、これまでは選手個々の能力が高いから、問題が露呈しなかったという見方もできる。だが、同じような力関係の相手との対戦では、攻守両面でディテールの欠如が目についた。

 ベンチワークでも疑問点がある。柴崎の交代のタイミングだ。

 もちろん、ボランチとして効果的なパスワークはあった。一方で、前半から簡単にボールを失うことがあれば、コントロールや状況判断のミスがあった。後半に入っても、その傾向はあまり変わらない。試合を見ている多くの人がそう感じたはずだ。

 そんな柴崎をあそこまで引っ張っていいのか。実際、71分の失点は柴崎のパスミスから生まれた。相手のプレッシャーに慌てたのか、吉田へのバックパスが乱れたところを奪われて、そのまま決められた。

 吉田のポジショニングをしっかり確認できないほど追い込まれていたのだろう。視野が狭くなっていたと思う。疲れもあったかもしれないが、試合を通じて少なくないミスが自らのプレーにどんな影響を及ぼすか、選手の心理状態を考えれば、指揮官としてもう少し早めに手を打ってもよかった。
 
 アクションが遅い。むしろ、失点に直結するミスをしてしまった柴崎を気の毒にさえ思う。柴崎は戦犯扱いされるかもしれないが、それよりも大きなミスは、“柴崎を代えられなかった”森保監督にある。

 次は12日のホームでのオーストラリア戦。移動もあるが、ほぼ1週間の準備期間がある。その間に、攻守において守るべき決まり事を1つ、2つ増やすなりして、リスタートもブラッシュアップする。その作業は必要だと思う。

 全体的に「緻密さ」をもっと積み上げてほしい。それが選手たちの安心感にもつながる。気持ちだけでは勝てない。どう戦うかの確固たる方法論がなければ、とりわけ格上との試合では難しくなる。来年のワールドカップを見据えれば、なおさらそう思う。

【W杯アジア最終予選PHOTO】日本 0-1 サウジアラビア|ミスから痛恨の失点…攻撃陣も不発に終わり、予選突破に向け痛すぎる敗戦
 

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