豪州戦、4年前の成功を踏まえれば4-3-3がベスト! 肝になる中盤【アンカー+インサイドハーフ】の組み合わせは?

豪州戦、4年前の成功を踏まえれば4-3-3がベスト! 肝になる中盤【アンカー+インサイドハーフ】の組み合わせは?

4年前の豪州戦でアンカーを務めた長谷部。前回同様の布陣となれば、アンカーには遠藤航が濃厚か。写真:サッカーダイジェスト(長谷部)/金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 日本の2022年カタール・ワールドカップ(W杯)出場の行方を大きく左右する10月2連戦のラスト・オーストラリア戦(埼玉)がいよいよ12日に行なわれる。アジア最終予選序盤3戦で2敗という苦境に直面するチームがV字回復するためにも、今回のホームの大一番は絶対に勝点3しかあり得ない。
 
「本当にW杯に出る・出ないというのは、僕たちだけじゃなくて、サッカーに携わる全ての人たちの死活問題になると思う。この一戦の意味は非常に大きい。プレッシャーを力に代えていかなければいけない」とキャプテン・吉田麻也(サンプドリア)も悲壮な決意を口にしたが、この壁を乗り越えてこそ、真の強い集団になれる。ここで簡単に引き下がるわけにはいかないいのだ。

 とはいえ、オーストラリアが難敵なのは、誰もが熟知していること。過去の最終予選を見ても、2010年南アフリカ大会は1分1敗、2014年ブラジル大会は2分、前回2018年ロシア大会は1勝1分と勝利したのは2017年8月の対戦だけ。

 当時の生き証人である大迫勇也(神戸)は「先手を取りたいですけど、前回対戦のイメージというわけではない」と別の戦いであることを強調したが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(現モロッコ代表)が採った戦術にも必ずヒントはあるはずだ。

 改めて歴史的一戦を振り返ってみると、日本は長谷部誠(フランクフルト)をアンカーに据え、井手口陽介(G大阪)と山口蛍(神戸)をインサイドハーフに置く4-3-3の布陣を採用。相手の中盤にハイプレスをかけ、高い位置で奪い、素早く攻めるという形で攻勢に出た。ボール支配率自体は38%対62%と大幅に下回ったものの、シュート数の18対5という数字を見ても分かる通り、相手に脅威を与え続けたのは日本の方だった。

 井手口の82分の2点目はまさにその策が的中した形だった。原口元気(ウニオン・ベルリン)のボール奪取から井手口が強引に持ち込んでペナルティエリア外から右足を一閃。相手を奈落の底に突き落とした。ここに至る前も井手口と山口は再三再四、プレスをかけ、相手のボールロストを誘っていた。こういう働きが極めて重要なのだ。

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 一方で41分に浅野が挙げた先制弾のシーンのように、しっかりとボールを回して敵陣に侵入する形も作っていた。左サイドのペナルティエリア手前まで上がった長友佑都(FC東京)のクロスに浅野拓磨(ボーフム)が飛び出し、GKライアン(レアル・ソシエダ)の守るゴールに左足で流し込んで決める形だった。
 
 この場面を細かく分析すると、大迫、乾貴士(C大阪)を含めた3人が最終ラインに密着。長友がクロスを入れた瞬間に飛び出せる状態になっていた。さすがに今回のオーストラリアはそこまでのハイラインは敷いてこないだろうが、アーノルド監督が「我々がやるべきなのは自分たちの戦いに集中することだけ」と語ったように、わざわざ日本に合わせて布陣や戦術を変えることはないと見られる。だからこそ、日本にしてみれば、中盤でボールを保持しつつ敵を引き付け、サイドを有効活用しながら背後を狙うという攻撃パターンが有効だ。次戦ではそういった形を増やしたい。

 4年前の成功例を踏まえると、やはり中盤はアンカー+2インサイドハーフの形に変更すべきではないか。アンカーは遠藤航(シュツットガルト)に託すとして、その前の2枚だが、田中碧(シュツットガルト)と守田英正(サンタクララ)の元川崎コンビがいいだろう。柴崎岳(レガネス)もインサイドハーフでプレーできるが、サウジアラビア戦(ジェッダ)での心身両面でのダメージを考えると使いづらい。守備の強度や連動性という部分を考えても、遠藤・田中・守田の組み合わせが目下のベストと言っていい。

「ポゼッション率をもうちょっと上げて、行く時はもちろん行く、行けない時には相手を走らせてリズムを掴むというのは僕がいつも言っていること。ボランチがそこのキーになる。そこをコントロールしてくれと彼らには伝えています」と吉田も強調していたが、攻守両面で彼らがしっかりと主導権を握れれば、日本がそこまで劣勢を強いられるとは考えにくい。相手のアーバイン(ザンクトパウリ)とフルスティッチ(フランクフルト)の両ボランチとトップ下のロギッチ(セルティック)に対してマンツーマン気味に行って自由を奪えば、相手もそうそう効果的な攻めを繰り出せなくなる。
 
 そのうえで、日本はいい距離感を保ち、積極的に仕掛けていくことが肝心だ。「距離感が悪いとボールを失いたくないという気持ちが強くなり、セーフティな展開になってしまって怖さが出なくなる」と吉田も指摘していたが、まさに9月のオマーン戦(吹田)と前回のサウジ戦は悪循環の典型例。時間の経過とともにバックパスや不用意なボールロストが増え、苦しくなった。立ち位置や距離感の重要性についてはサウジ戦後に取材対応した冨安健洋(アーセナル)や長友らも口を揃えていた点。本来のリズムを取り戻せれば修正は可能と見ていい。
 
 あとは誰がゴールを決め切るかだ。
「前の選手が得点を採れていないので、そこが一番の(苦境の)原因」と絶対的1トップ・大迫自身も自戒を込めて口にしていたが、彼はガチガチにマークを受ける分、フリーになるのは難しくなる。その分、サイドでプレーするであろう伊東純也(ゲンク)や浅野がグイグイとゴールに迫るべきだ。今、最も期待されている古橋亨梧(セルティック)も今季の好調ぶりを発揮できれば、ゴールは奪えるに違いない。

 4年前の浅野、井手口のような勝利請負人になるのは一体、誰なのか……。やはり歴史を変えるのは、最終予選初参戦の若い世代だろう。先発濃厚の田中碧、古橋、オナイウ阿道(トゥールーズ)含め、「自分たちが流れを変えてやる」というギラギラした野心をピッチ上で表現し、埼玉スタジアムで勝利をもぎ取ってほしいものだ。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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