【橋本英郎】新3ボランチの補完性に唸る。ただ、豪州戦でふたたび露見した“弱点”は改善が急務

【橋本英郎】新3ボランチの補完性に唸る。ただ、豪州戦でふたたび露見した“弱点”は改善が急務

3ボランチを形成した守田(左)、田中(中央)、遠藤(右)。絶妙なバランスを保ったと橋本が絶賛する。(C)JMPA



 まさに背水の陣で臨んだオーストラリア戦。ただ結果を求めるだけの試合だと、僕は考えていました。

 注目のスターティングメンバーに目を向けると、3ボランチを採用してフォーメーションに変化を加えてきましたね。そうした意味でも見どころが多く、非常に楽しみな試合になりました。

 最終的に、日本は2−1で勝ち切りました。90分通じて僕が感じたポジティブな点、ネガティブな点を挙げたいと思います。

 ポジティブな点は4つあります。

【@ フォーメーションの変更】
 冒頭でもお伝えしましたが、日本はそれまでの4−2−3−1システムの形を変えてきました。それによってオーストラリアは事前に対策を練っていたものとは異なる対応をしなくてはいけなくなりましたし、オーストラリアの良さを消しながら、日本の良さが出る形にガチッとハマりました。

 特に3ボランチにした中盤の3人です。それぞれが自由に前線に飛び出しました。

 遠藤航選手がサイドからクロスを上げるシーンなどは、ここまでの最終予選では見られないシーンだったと思いますし、中盤、とりわけオーストラリアのボランチの選手へのインターセプトも数多く見られました。これは自分の背後のスペースに対して不安がないからこそなせる業です。守田英正選手、田中碧選手がカバーしてくれる安心感から、中盤でのアグレッシブな守備が生まれました。
 
【Aそれぞれの長所を出す点を重視した動き】
 こうしたボランチ3人のアグレッシブなプレーによって、前半はほとんど相手にやりたいプレーをさせませんでした。連動して、両サイドの南野拓実選手、伊東純也選手も躍動。さらにより際立ったのが、両サイドバックのオーバーラップです。

 躊躇って飛び出せていなかったシーンが多かったサウジアラビア戦までとは違い、ボランチが3人いるからか、酒井宏樹選手も長友佑都選手も飛び出しが実にスムーズでしたね。中盤と前線が、中盤とサイドバックがとポジションチェンジも頻繁で、相手はマークを絞りにくかったはずです。

 加えて、FWの大迫勇也選手も活力がみなぎり、前節までの雰囲気とはまるで違いました。周りの好調ぶりにつられて、彼も随所にらしいプレーを披露してくれたように感じます。

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 これはゴールには直結していませんが、セットプレーでも著しい改善が見られました。

 最終予選になってからはほとんどのセットプレーで相手選手が“先に触って”いました。今回はキッカーが代わったのもあるでしょう。ひとつ目の遠藤選手のシーン、後半の酒井選手のシーンといままでは「合わないだろうなぁ」と見ていたところで、しっかり決定機に繋がっていましたね。

 セットプレーがひとつの武器になっていくんじゃないか、そう感じさせる内容でした。

【C交代選手が活躍】
 浅野拓磨選手のファーストプレーはトラップミスからでした。あ、流れを変えられないかな、やばいかなって思っていましたが、結果的に彼が決勝点を演出しましたし、ゴール前に詰めていたのも途中出場の古橋亨梧選手でした。

 前節までは、流れを変えるはずの交代選手が躍動できず、流れを掴み切れませんでした。それがオーストラリア戦では、嫌な流れになってきているところできっちり勝ち切れた。最終予選では見られなかった展開なので、今後に繋がりそうです。

 以上がポジティブな点ですが、ネガティブな点もひとつだけ挙げたいと思います。

 それは、最終ラインのコントロールです。
 
 前半はラインが高く設定されていました。そのため中盤のプレスもかなり効いていました。が、後半になると疲れから、オーストラリアの単純な裏へのボール対応を繰り返すうち、中盤エリアの間延びが進んでいきました。

 前線のFWが下がって守備をして、なんとか中盤エリアの穴埋めをしていましたが、そうなるとボールを奪ったあとに幅や深みがなくなってしまい、クリアする、パスを繋ぐという形が取りにくくなっていました。

 特に大迫選手が交代してからは、高いボールを蹴っては跳ね返されてというシーンも多くなりました。結果的に失点に繋がったシーンなどは最たるシーンです。長友選手が中盤エリアに守備に出た際、DFラインが深いので、背後に広大なスペースを与えてしまいました。最終的に守田選手が必死に戻ったところでファウルを取られ、直接FKを蹴り込まれたわけです。

 これは、中盤のミスというより、DFラインのコントロールが利かない時間帯に起きた現象だと思っています。最終盤はふたたびラインコントロールが入ってきていたので少し安定しましたが、サウジアラビア戦、オマーン戦でも非常に気になっていた点でしたので、この点の改善は急務だと考えます。

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 結果としてポジティブな点が多くありましたが、ひとつのネガティブな点で引き分けてしまう可能性もある試合だったとすれば、守備バランスの構築というのは繊細なものなんだなぁと、あらためて感じさせられます。

 次は、11月のアウェー2連戦ですね。ベトナム、オマーンと勝ちが必要な相手になりますが、コンパクトな戦い方、フォーメーションの変更などバリエーションが豊かで、ポジティブな変化が増えてくれば、きっと相手チームは研究しきれない。日本が優位な展開に持ち込めるはずです。サイズ的にもベトナム相手であれば、セットプレーはかなり有効になるでしょう。

 11月の連戦ではゲーム内容ではなく、安心できるスコア差のゲーム運びを期待したいです。

橋本英郎
 
PROFILE
はしもと・ひでお/1979年5月21日生まれ、大阪府大阪市出身。ガンバ大阪の下部組織で才能を育まれ、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、やがて不動のボランチとして君臨、J1初制覇やアジア制覇など西野朗体制下の黄金期を支えた。府内屈指の進学校・天王寺高校から大阪市立大学に一般入試で合格し、卒業した秀才。G大阪を2011年に退団したのちは、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、AC長野パルセイロ、東京ヴェルディでプレー。2019年からJFLのFC今治に籍を置き、入団1年目で見事チームをJ3昇格に導く立役者のひとりとなった。今季は5月2日の第7節のテゲバジャーロ宮崎戦で、J3最年長得点(41歳と11か月11日)を記録。日本代表はイビチャ・オシム政権下で重宝され、国際Aマッチ・15試合に出場。現在はJリーガーとして奮闘する傍ら、サッカースクールの主宰やヨガチャリティー開催など幅広く活動中だ。Jリーグ通算/481試合・22得点(うちJ1は339試合・19得点/2021年10月13日現在)。173センチ・68キロ。血液型O型。

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