田中碧、守田英正が新システム4-3-3で示した大きな可能性。醸し出した“川崎カラー”【コラム】

田中碧、守田英正が新システム4-3-3で示した大きな可能性。醸し出した“川崎カラー”【コラム】

4-3-3のインサイドハーフで先発した守田(写真左)と田中。息のあったプレーも見せた。(C)Getty Images



[カタール・ワールドカップ・アジア最終予選]日本 2-1 オーストラリア/10月12日/埼玉スタジアム2002

「ポジショニング」「前を向く」「相手を見る」「止める・蹴る」。

 川崎のサッカーで重視され、よく見られるプレーだが、最終予選の3試合で1勝2敗と窮地に立たされた森保ジャパンで、それをしっかり表現したのが、4-3-3へのシステム変更によってオーストラリア戦でインサイドハーフに抜擢された田中碧と守田英正だったように感じる。

 守田は年明け、田中は今夏に川崎から海外挑戦を選択。欧州ではインテンシティの高さをより身に付け、強度の高いプレーを意識している印象だが、ベースは変わっていないように映る。

 相手と味方を見てポジションを取り、相手の間でボールを引き出し、パスでリズムを作る。前への意識も高く、周囲とのコンビネーションを生かして攻撃を加速させる。

 4-3-3のなかで彼らがもたらした役割は非常に大きく、チームとして狙いを持った守備を含め、左SBを務めた長友佑都もこう語る。

「(システム変更の)メリットとしては、守田、田中碧が入って中盤でタメができたり、ボールを持てる時間が増えたこと。そこで時間を作れるので僕自身が高い位置を取れたり、僕が高い位置を取ることによって中に入った(左ウイング)南野(拓実)がフリーになれたり、(CFの)大迫(勇也)と近い距離感でプレーができました。すごくその部分は良かったと思います」

 
 昨季限りで現役を引退した中村憲剛は弊誌の連載コラム「蹴球賢語」で、以前、U-24日本代表とU-24アルゼンチン代表のゲーム(今年3月に実施)での田中のプレーをこう表現してくれていた。

「正直言うと、こちらから見て、碧は難しいプレーはひとつもしていないんです。言うなれば、いつもフロンターレでやっているとおりのプレー。相手の間にポジションを取って、顔を出してボールを引き出し、相手を自分に寄せた上でワンタッチ、ツータッチで捌いて、相手の足を止め、周りの選手のプレーする時間と空間を作る。相手がどう出てきているかを見て、ポジションを上手く修正しながら変化を加える。

 碧が“中途半端なポジション”をとることで、相手は彼に対して動かなくてはいけない。そうすれば味方が空くわけで、碧を使わずともボールは回るし、碧に誰も対応にいかなければ、彼自身が受けて裏へ出す。もちろん球際のバトルをしないといけない局面はありますが、いわゆる立ち位置で勝負をしているわけです」

 オーストラリア戦では、ぶっつけ本番に近いシステムだったこともあり、すべてこの言葉通りできたわけではない。ただ、試合後の田中の言葉にも同じニュアンスが含まれていた。

「誰かがそこに立つから、自分はここに立つとか、立ち位置は相手と味方の位置を見て必然的に決まるものだと思っています。そういうところでプレーできればチームは良くなるしチャンスが増えると感じていました。良いシーンはそういうシーンが作れていたし、逆に良くないシーンでは、そういうシーンが作れなかった。もっともっとボールを持ちたいのが本音ですけど、時間がないなかで、新しいフォーメーションをやったなかで、自分も初めてのポジションだったので、そんなに簡単に上手くいくほど甘くはないと思っていました。ここから次あるか分からないですが、少しずつ深めていければもっと良いサッカーができるんじゃないかなと思います」

「やっぱりパスひとつとっても、受け手と出し手の問題があるので、分かりやすく立ち位置を取ってあげることが一番大事なのかなと思います。慣れてくればより際どいところに立って、ボールを出し入れできますけど、やっぱり初めての選手とやる時はよりはっきりとした位置で、なるべくリスクを取らないように心がけていました。そういうのを少しずつ90分通してやっていくことで信頼関係が築けると思います。そこを意識しながら、あとはもう喋ることが一番大事だと思うので、そこを心掛けながら90分やっていました」

「サッカーは相手ありきなので、やっぱり自分もそうですし、いろんな選手がどこに立つかでボールの回り方は変わってきます。それプラス、やっぱりメンタルというのが非常に大事。そこにつけられるのか、つけられないのかで相手のプレスも変わってきます。そういう意味では、怖がらずにというか、みんながより良い位置に立てば勝手にボールは回りますし、より前進は楽にできる。僕自身の立ち位置もプレーもまだまだ満足いかないですし、もっと良いところに立って、ボールを前進できればいいですけど、すぐに集まってきた代表チームでそれはなかなか簡単ではないので、もっともっとこだわっていかないといけない。ただ時には囲まれたりしてでも剥がしていかなければいけないシーンはあるので、そういう個人の力もつけていかないといけないなと思います」

 また守田も試合後、「個々の選手の特長を生かせれたらと思いますし、守備で奪ってから早い攻撃もできましたし、無理にいかずに遅攻も選べた。後出しじゃんけんのような相手を見て判断してやめれるのが、全体的にできました。4-3-3で今までになかったシステムでしたけど、やりたいサッカーは表現できたし、観ててワクワクしてもらえるようなサッカーができたんじゃないかなと思います」と語る。

 選手たちの相互理解がより深まれば、4-3-3のメリットはより生きるはず。もっとも今後は相手に研究もされるはずだ。そうした時に4-2-3-1と併用しながら柔軟に戦っていけるのか。そこがポイントになり、すでに最終予選で2敗を喫している日本は連勝を狙っていくしかないが、田中と守田のパフォーマンスは今後へのプラス材料だろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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