森保Jの4-3-3システムの有用性は?明神智和が見た豪州戦での“変化”と田中碧

森保Jの4-3-3システムの有用性は?明神智和が見た豪州戦での“変化”と田中碧

自身のプレーのみならず、周囲への指示でも存在感を発揮した田中。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 2-1で勝利したオーストラリア戦は、結果を出せたというのが全てを物語った試合だったと思います。

 ワールドカップ予選なので、内容云々よりも結果が大事。どんな内容であってもワールドカップに出るというのが最低限のノルマです。そういう意味では、8日のサウジアラビア戦にアウェーで負けて、期間が短いなかで相当なプレッシャーが監督含め選手たちにかかっている試合でした。

 勝因を挙げるとすれば、まずはチームマネジメントと監督の采配ではないでしょうか。

 移動が厳しいなかでコンディションもしっかりと作れたと思いますし、一番はメンタル面。一言で言ってしまえばチームが一丸となるというような、言葉にすれば簡単ではありますが、それを上手くピッチで表現できていました。

 システムを少し変えてきたところ、メンバーを少し変えてきたところも結果につながった部分でしょう。

 遠藤航選手に加え、田中碧選手、守田英正選手の人選の部分では、個人の特長も生きました。中盤の3人が全員ハードワークできますし、ひとりでボールを奪い切るという能力も非常に高い。かつ、技術的にも優れている選手たち。

 そのため、3人のところでボールを奪う回数は非常に多かったと思います。中盤でボールを奪えるので、アタッキングサードに入っていきやすく、相手の攻撃も自由にさせない部分もありました。

 併せて前線の3人もファーストディフェンダーとしてのアプローチと、それに連動して中盤の3人が動くことで、真ん中のゾーンで奪えることが多かった。
 
 田中選手のプレーは特筆すべきです。

 先制点のシーンは簡単そうに見えますが、クロスボールが相手の足に少し当たってイレギュラーなボールとなりますが、しっかりとファーストタッチを蹴れるところに置き、しっかりと逆サイドに打つ。それを実行する技術、冷静さ、判断力を含めて素晴らしかったと思います。

 ビルドアップでも、サウジアラビア戦後に遠藤保仁選手のようなプレーが必要と言いましたが、ディフェンスラインがボールを持っているときにも、常に周りを見ながら、味方と味方のちょうど中間地点に入ったり、相手の中にポジションをとったり、身振り手振りでボールを出す先の指示もしながら、非常にテンポよくボールを動かしていていました。

 前だけに急ぎ過ぎず、横へのパスやリターンパスを交えながら、相手のFWの狙いを外すというか、足を止めてしまうというか。まさに望んでいたプレーをしてくれました。僕が今教えている選手たち、子どもたちには参考にしてほしいプレーでしたね。
 

 中盤の3人以外では、まず伊東純也選手。相手に与える脅威、個人技で右サイドを突破する力は凄かったです。1点目のシーンも伊東選手がプレスに行ったことから始まって、中盤の高い位置で奪ってゴールにつながりました。ああいうプレス強度はものすごく大事で、特にオーストラリアはビルドアップをGKからしっかりとしてくるチームだったので、伊東選手のプレーが勝利を大きく引き寄せたと言えるでしょう。

 改めて冨安健洋選手の偉大さも確認できました。今日の試合でもほぼパーフェクト。ボールがちょっと動くたびに小まめにポジションを変えて、ラインの上げ下げをして、身体の向きを変えて、なおかつ味方に指示を与えていました。ディフェンスをやっている子どもたちには見てほしいです。

 持ち上がりも効果的で、左右両足で蹴れますし、守備をしているときから周りが見えているため、単に守るだけじゃなくて奪ったボールをそのまま攻撃につなげることができる。奪い返しに来た相手を冷静に剥がすこともできるので、相手の気持ちを折るようなプレーができています。

 権田修一選手のプレーも非常にレベルが高かった。前半最後のピンチの場面も少し触っていましたよね。ほかにも相手からのボールをしっかりキャッチすることで、流れを持ってくることができていました。
 
 ほかに印象的だったのは、2点目のシーンです。吉田麻也選手からの素晴らしいパスを受けて、浅野拓磨選手がシュートをしました。やはりシュートを打たなければゴールには入らないというところを改めて考えさせられました。

 どれだけキレイにパスをつないでも得点にはならない。サッカーはゴールを目指すスポーツで、ゴールへシュートを打たないと入らない。シュートを打つからこそオウンゴールも起きるんだなと改めて思いました。

 キャプテンをはじめとするチームをまとめる力もそうだと思いますし、監督のこの試合に対する持って行き方、モチベーションの与え方など見えない部分での準備がピッチに表われたのでしょう。

 サポーターの影響も間違いなくありますね。特に得点シーンのスタジアムのムードはテレビからも分かりますし、良い意味での緊張感もありました。やはりホームの力はものすごくありましたよね。
 

 勝たなければならないというプレッシャーの中でこれ以上臨むのは難しいかもしれませんが、改善点がないわけでもありません。冷静に見れば、失点シーンでもミスが重なっています。サイドを破られたところのミス。最後のスライディングのところのミス、そういうものも重なっています。

 守備も細かく分析していかないといけないですし、攻撃ではチャンスもありましたので、いかに決めていくか。チャンスの数をどうやって多くするか。最後のところで、パスやコントロールがズレることがあるので、そこはずっと追求していくべきです。

 もう一点気になったのはサイドチェンジのボールロストです。前半終了間際のピンチも吉田選手からのサイドチェンジをカットされてからのもの。パスの質をもっと上げるというのはもちろんありますが、いつ、どこでやればよいのか。また、サイドチェンジをしたほうが良いのか、やらないほうが良いのか。使うエリア、タイミングの判断や、もう少し相手を引き付けてという工夫など、いかに使っていくかが今後の大きなテーマになると思います。

 システム、フォーメーションに関しては、相手があってのこと。自分たちのビルドアップをどうするのか、4-3-3のほうがスムーズなのかもしれません。ただ、守備に関しては相手があることなので、ある程度対応して、柔軟に取り組めることも必要です。

 メンバーに関しても同様です。久保建英選手、堂安律選手がいなかったという部分もあって、その時にいる選手の中で誰が最適かは、状況によっても変わってくると思います。

 それでも、チーム状態が良くなかったなかで、大きなプレッシャーのなか、結果を出せた選手たちの自信といいますか、ものすごく大きなものになります。
 
 もちろんこれからもずっと負けられないというプレッシャーのかかる試合が続くのですが、ホームでオーストラリア相手に勝てたことは、しっかりと自分たちがやるべきことをやり続けられれば、自分たちの力をしっかりと出せれば、結果はついてくるという自信にもなったはずです。

 逆にその部分を疎かにすると厳しい試合になるのも、この4試合で再確認できたのではないでしょうか。

 一方で、新しい選手や若い選手が入って、今日の田中選手のように活躍すると、チームが新たに動き出し、新たなパワーを得ます。長い予選を戦っていくうえでは非常に大事なことだと思います。ポジションを奪ったり、そのポジションを奪い返したり、どのチームでもそうですが、チーム内での正しい競争がいっぱいあることで、成長もできますし、その競争がなければチームの成長もストップしてしまう。

 そういう意味では、最後に柴崎岳選手が出て勝ったというのは、個人的な感情も入ったりしますが、必要なことだったと思います。そんなマネージメントも含めて森保一監督の良い部分も感じます。

 オーストラリア戦で勝てたことで、次の2戦が改めて大事になりますよね。今日の勝利が次にどう繋がっていくのか、見ごたえがあります。

 11月のシリーズに向けて、また期間が微妙に空くので、次の2連戦への入りというのはものすごく難しいかもしれません。

 でも、この2試合セットの過ちを繰り返してほしくない。日本代表は強いな、面白いサッカーをするなというのが見たいですし、もちろん、ワールドカップ予選なので、まずはワールドカップに出場することが当面の目標。結果が全てなので、そこさえ達成すればというところはあるのですが、欲を言えば次の2試合では日本の力をしっかりと見せてほしいなと。

 アジアのレベルが上がって、他国との差が詰まっていると言われていますが、日本の力はそんなもんじゃないよという戦いを見せてくれると期待しています。

【著者プロフィール】
明神智和(みょうじん・ともかず)/1978年1月24日、兵庫県出身。シドニー五輪や日韓W杯でも活躍したMF。黄金の中盤を形成したG大阪では2014年の国内3冠をはじめ数々のタイトル獲得に貢献。現在はガンバ大阪ユースコーチとして活躍中。また、「初の著者『徹する力』を2月26日に上梓した。

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