「スぺインやメキシコとの差は…」三好康児が振り返る東京五輪【インタビュー/前編】

「スぺインやメキシコとの差は…」三好康児が振り返る東京五輪【インタビュー/前編】

東京五輪では悔しさを味わう。しかし、その経験を今後につなげる覚悟だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 東京五輪では先発1試合にとどまり、チームをメダル獲得に導けなかった。悔しさを抱えながら迎えた今季、三好康児は例年以上に強い覚悟を窺わせるパフォーマンスを見せ、10月シリーズでは出場はなかったもののA代表に約11か月ぶりに招集された。

「夢」と語るワールドカップ出場へ向けた“新章”に踏み出した24歳の新たな決意表明に耳を傾けてほしい。

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――まずは少し日が経ってしまいましたが、東京五輪を振り返ってもらえますか? どんな大会でしたか?

「率直に悔しさが一番に来る大会でした。メダルに届かず、個人としても満足のいく活躍ができなかった。もっとチームを助けるプレーができたと、悔いが残ります」

――あのチームでは長く10番を背負いましたが、本大会では堂安律選手に譲りました。その点も悔しさが?

「背番号に関しては大会に臨むにあたってチームとして戦うと覚悟を決めてからはそんなに気にならなかったです。もちろん悔しさがまったくなかったと言えば嘘になります。だけど、それ以上にチームの勝利が大切でした。だからこそ、スタメンで出られる試合が少なく、チームに貢献できなかった自分の実力不足を切実に受け止めています」
 
――3連勝でグループリーグを突破したチームは、決勝トーナメントに入ってから苦戦した印象です。主な原因はなんだったのでしょう?

「決勝トーナメントからひとつレベルが上がったというか、負けたら終わりという緊張感のなかで僕ら攻撃陣がなかなか試合を決定づける仕事をできませんでした。僕を含めた先発が限られた選手がチームを助けられなかった影響もあります。疲労を溜めていた選手に代わって出場した時に、同じレベルを維持できませんでした。僕らが力を示せれば、チームとしてもっと余裕を持って試合を運べたはずです」

――準決勝と3位決定戦で対戦したスペイン、メキシコとの差は、選手層というところでしょうか?

「色々ある差のうちのひとつなのは間違いないです。スペインやメキシコはメンバーを変えながら勝ち上がってきました。もちろん彼らも簡単に勝ち上がったわけでなく、疲れもあったはずですが、連戦への意識が高かったんじゃないかなと。僕らは目の前の試合に全力を注ぎ続けましたが、頂点までの6試合を見据えたプレー選択ができなかった。そういう賢さが足りなかったと反省しています」

――スペインやメキシコは過去の国際大会で何度も決勝に進出している分、トーナメントの勝ち上がり方を理解しているように映りました。

「国全体、選手個々としても、経験値の差がありました。接戦が続くなかで、それが総合力の差として表われたのかもしれません」

――その経験値の差が決定力の差にもつながったのでしょうか? 日本は決勝トーナメントでなかなか点が取れませんでした。

「チャンスを決め切れなかった勝負弱さみたいなものは大前提としてあります。ただ、負けたら終わりという試合では、そんなに簡単に点は取れません。1点を取るか取られるかのギリギリの戦いです。でも、だからこそ仕留めに行くシーンと時間を使うシーンを的確に見極めなければいけなかったです。

特にスペイン戦は、相手にボールを持たれる状況が長く、いざボールを奪っても、すぐに奪い返されて劣勢が続き……。グループリーグでのメキシコ戦のように、立ち上がりからカウンターで点を取れれば良かったですし、それが上手くいかなくても、ボール保持を優先すべきでした。その判断がチームで共有し切れなかったです」
 
――堂安選手は「本来はスペインがやっていたようなサッカーをしたかった」と大会を終えて語っていました。一方で格上の相手には現実的な戦いもしなければいけない。そのバランスはどう考えていますか?

「僕もスペインのようにボールを回して崩すのが理想だと考えています。ボールを奪われてもすぐに囲い込んで奪回するのがベストです。もちろん格上との対戦で引く時間が長くなるのは仕方ないですが、いかに耐えながら攻撃につなげていくか。バランスというよりは、その方法が重要なのかなと思っています。日本は守備をしたいチームではないですから」

――スペインの選手たちの個々の技術力はどうでしたか?

「やっぱりレベルは高かったです。1タッチ、2タッチのスキルももちろんですが、ポジション取りが本当に上手い。間のスペースに入り込んで常にトライアングルを作るので、こっちはなかなかプレスをかけられない。しかも僕らがボールを奪っても、良い距離感を保っているので、すぐに囲い込んで潰しにくる。チームとしてしっかりした戦術があり、しかも個々の判断力が優れているんです。本当に凄かったですね」

――そうした相手を下してメダルを獲得するには何が必要なのでしょうか? もし次のパリ五輪世代にアドバイスをするとすれば……。

「3年後にどんな選手が出場するのか分からないので、今、アドバイスできることは限られますが、チームとして共通理解を高めなければいけないのは確かです。組織が機能するからこそ、個々の仕掛けなど工夫が生きてくる。僕らも、それを高いレベルで実践できれば、もっと怖さを出せたはずです」
 

――五輪での悔しさを経験し、A代表への想いも強くなったのでは?

「もちろんです。僕らの年代はアンダー世代から卒業し、ここからはA代表としてワールドカップを目指します。五輪での悔しさを晴らしたいとの想いは強いです。そもそも僕がサッカーを始めたのもワールドカップで活躍したいとの夢を持ったからです。今はより力をつけA代表でやってやろうと、改めて思っています」

――9月に行なわれたカタール・ワールドカップ・アジア最終予選は見ましたか?(その後、10月のワールドカップ最終予選のメンバーに選出)

「中国戦(〇1-0)はライブで観て、オマーン戦(●0-1)はハイライトをチェックしました」

――アジアでの戦いはどう想像していますか?

「ワールドカップの最終予選は、独特の緊張感があるんだろうなと予想しています。アンダー世代での経験から言えば、アジアには日本をリスペクトして引いてくる相手が多いです。まずは日本に点を取らせないように守備から入って、一発を狙ってくる。そうなると、狭いスペースでボールを動かしながら攻撃を組み立て、ゴール前のブロックをどう崩すかが求められます。ドリブルやミドルシュートなど、個人での打開力が確実に必要になります」
 
――三好選手のドリブルやテクニックは、まさにそうした違いを生み出す武器になります。A代表に入った時のイメージはどうでしょう?

「どこのポジションで使われそうかは想像しています。ここに入ってこういうプレーがしたいとか、こうできたらもっと効果的だろうなと考えながら試合を見ています」

――「ここに入って、こういうプレーがしたい」とは、具体的には?

「狭いスペースでも前を向いて攻撃を作る特長を出せればいいなと。9月の中国戦では(トップ下の久保)建英が少し下りて、そこからアタッキングサードを崩しにかかっていましたよね。僕が入った時も、そうした場面を増やせればと考えています。とはいえ、外から見て言うのは簡単ですからね、実際に入った時に何ができるかが大事です」

(中編へ続く)

取材・文●本田健介・多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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