久保、イ・ガンイン、アメリカ代表FWを獲得…CEOが明かすマジョルカの経営戦略。「戦力的なニーズと合致していない選手は一人もいない」【現地発】

久保、イ・ガンイン、アメリカ代表FWを獲得…CEOが明かすマジョルカの経営戦略。「戦力的なニーズと合致していない選手は一人もいない」【現地発】

久保とイ・ガンイン(左)の日韓の至宝コンビはピッチ外でもクラブに多大なプラス効果をもたらしている。(C) La Liga



 NBAのフェニックス・サンズのオーナーを務めるロベルト・サーバーがマジョルカの筆頭株主になったのは2016年1月だった。以来、現会長のアンディ・コールバーグと元NBAの選手のスティーブ・ナッシュと共同でクラブを運営してきた。

 この6年近くの間に、2700万ユーロ(約34億円)に達していた負債を清算し、4500万ユーロ(約56億円)の投資を行なったクラブが重点的に進めてきたのが組織の再編だ。ビジネス部門とスポーツ部門がその対象となったが、ポイントは各部門が緊密に連携しながら仕事を進めている点だ。彼らが理想としているのはプレミアリーグの経営モデルだ。

 その新体制が発足してから3か月後に加入し、現在CEOとして辣腕を振るうアルフォンソ・ディアスもその点を強調する。

「オーナー陣とはオープンな関係を築いている。密に連絡を取り合っているよ。ミーティングを毎週行ない、取締役会も月1回開催される。資金を投下して、あとは利益が出るかどうか見守るだけというタイプのオーナーではない。常に当事者意識を持ちながら運営に関わっている。

 ビジネスマンだけど、同時にスポーツに対して深い愛情を持っている。勝つことよりも負けることのほうが多いその特性を把握し、目標を達成することの難しさへの理解もある。だからプロジェクトを立案する時も長期スパンで考えてくれる。我慢強いよ」

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 就任した当初から目標設定は明確で、1部昇格だけに絞られていたという。

「負債額とにらめっこしながら、持続的成長をテーマにプロジェクトを実現してきた。そうした努力が実り、マジョルカはプロフェッショナルな人材が集まる安定した組織へと成長を遂げつつある。規模は小さくとも、今の時代にマッチした円滑に機能する組織作りを目指したい。スポーツ面はまさにジェットコースターのようだった。この6年間毎年異なるカテゴリーで戦っている。ギネス記録ものに違いない。マネジメントする側からすればもちろん大変だったよ。予算編成と補強戦略をあらかじめ2通り用意して対応してきた」

 今後の目標はもちろん1部定着だ。「(クラブの成長は)継続して1部を戦えるかどうかにかかっている。少なくとも3シーズンは維持したい。また仮に降格したとしても、すぐに再昇格できるようにするための準備を常に進めておかないといけない。昨シーズンがそうだったようにね。無理せずコツコツと続ける姿勢が重要だ」

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 マジョルカ島はリゾート地として有名だ。そんな街を本拠地にするクラブが注力しているのが国際化だ。ディアスCEOによると、日本代表MF久保建英、韓国代表MFイ・ガンイン、アメリカ代表FWマシュー・ホッペの獲得もその一環だったという。

「戦力的なニーズと合致していることが前提としてある。実際、その枠組みから外れた選手はうちには1人もいない。そしてその上に国際化という戦略がある。我々はこの6年間、クラブのブランドイメージ向上に努めてきた。

 以前はあらゆる観点からブランド価値が下落していたが、今ではグローバルな企業とスポンサー契約を締結できるまでになった。クボの前回在籍時(2019−20シーズン)に日本市場との結びつきが強まった。現在、同じ要領で韓国と米国市場進出を見据えた戦略を進めているところだ」
 
 ルイス・ガルシア監督もクラブのこうした経営理念に共感している1人だ。彼もまた就任当初から明確な形で目標が課されていたという。

「とても堅実なクラブという印象だ。着実な成長をモットーとしている。目指すところが明確だ。(2020年夏の)就任時に目標はプレーオフ進出(6位以内)と厳命された。それが、チームが到達すべき最低限のラインだとね。つまり達成できなければ失敗だ。それでストレートインでの昇格(2位)を果たすと、その分の評価をしっかりしてくれた。

 今シーズンも大型補強をしないということをあらかじめ聞かされていた。目標は残留だ。アメリカからリモートで運営しているけど、無理な要求はしてこない。2年後にヨーロッパリーグに参戦するといった類のね」

文●エンリケ・オルテゴ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

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