「一晩中嘔吐していた」浦和の“新プリンス”ユンカー、欧州メディアに入団までの紆余曲折を明かす【2021総集編】

「一晩中嘔吐していた」浦和の“新プリンス”ユンカー、欧州メディアに入団までの紆余曲折を明かす【2021総集編】

加入1年目で9ゴールを記録したユンカー。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



 今年も残すところあと数週間。本稿では、2021年のサッカー界における名場面を『サッカーダイジェストWeb』のヒット記事で振り返る。今回は、今シーズンから浦和レッズに加入し、9ゴールを記録したキャスパー・ユンカーが、母国デンマークのメディアに来日までの心境や経緯を語った記事をリバイバル。欧州クラブからもオファーがあったというストライカーは、なぜ日本挑戦を選んだのか?

記事初掲載:2021年5月25日

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 Jリーグのシーズンが始まった4月に浦和レッズへの加入が決定した、デンマーク出身のキャスパー・ユンカー。ノルウェーリーグで得点王(26試合28ゴール)となった27歳の大型ストライカーは、Jデビューからリーグ3戦連発と乗りに乗っている。

 ユンカーの母国メディア『bold.dk』が伝えるところによれば、彼はノルウェーのメディアに対し、日本での生活をスタートするまで、数々の困難を乗り越えたことを告白。紆余曲折を経て、強い思いで浦和でのプレーを選択したことを明かしている。

 いわく、「ポーデ・グリムト(前所属)から浦和レッドダイヤモンズへの移籍は正にドラマチックなものであった」ようだ。

 今冬には浦和のほかにトルコのクラブからのオファーもあったという。しかし、これはクラブが断り、実は浦和も一度は断られているという。しかし、ユンカーは依然として日本行きを望んでいたものの、コロナ禍による日本の外国人の入国制限のため身動きが取れず、チームのスペインキャンプに同行。しかし、制限が多少緩和された3月になって、浦和との交渉が一気に進んだ。チームのスペインキャンプに同行していたユンカーは、急きょチームを離れることになったそうだ。
 
 ただ、当時はこの経緯が明らかにされておらず、現地では「ユンカーが強引に移籍を進めようとしている。無礼だ、という非難の声も上がった」という。さらに現地メディアでは、スペインのホテルから、ひとりで荷物を持って出てくるユンカーの姿がドラマチックに報じられ、「“裏切り者”と呼ばれ、批判が過熱した」(同メディア)ようだ。

 こうなった経緯について、当のユンカーは「クラブと口約束でオファーに関する取り決めはあった。けれど、それが移籍の決定打ではなく、クラブと私以外は誰も知らないような、カーテンの裏で行なわれている小さなことがすべてだった」と、詳細な説明を避けている。

 浦和との話がほぼまとまった後は、オランダのフェイエノールトでメディカルチェックを受けることになるのだが、合宿地だったスペイン・マラガからの飛行機にパスポートの問題で乗ることができず、ヨーテボリ(スウェーデン)経由で帰路につくと、コペンハーゲン(デンマーク)から車でフェイエノールトという長距離移動を余儀なくされたそうだ。

 そこからチェックを経て、日本に入国を果たすが、ホテルに到着したときにはホッとする間もなく、一晩中、横になって嘔吐していたという。

「ストレスがたまっていたのだと思う。精神的にとても辛くて、普通ではないレギュレーションに疲労もたまっていた。身体が耐えられなかったんだろうなと。それに、何か起こるのではないかと常に恐れていた」

 ユンカーが語るには、相応のプレッシャーがあったようだ。「私が加入にするにあたって、日本ではスポーツディレクターと監督だけがOKを出せばいいという単純なものではなかった」と指摘している。

「日本で外国人選手として採用されること、特に浦和のようなビッグクラブで採用されることがどれほど大変なことなのか、多くの人には理解できないだろう。最終的には様々な人の承認が必要で、全員が頷く必要がある。ひとりでもダメだという人がいれば、チャンスも与えられないんだ」
 
 一方で、最初に浦和の監督やSDと話をした際、「どれだけ必要とされているのかが伝わってきた。調子が良いとか、実力があるではなくて、野心のある人を探しているのだと伝わってきた」と手応えも感じていたと明かした。

 そして、日本を選んだ理由は「全く違うことに挑戦するためだった」と語っている。

「1月にはヨーロッパのいくつかのクラブと連絡を取っていて、今夏になればたくさんのチャンスがあった。浦和で受け取るのと同じくらいの給料を、ヨーロッパで得ることもできた。でも、私は新しい挑戦がしたかったんだ。

 ひとつ気づいたことは、ヨーロッパから日本に行くのであれば、選手として本当に活躍したシーズン、そして周囲からまだ期待されているシーズンの後に行なう必要があると思う。こちらでは、本当に多くのことが情報として語られている」

 本人が熱望したJリーグ入りは叶えられ、目覚ましい活躍で強烈なインパクトを残しているユンカー。異文化でのチャレンジに臨むその覚悟は、並々ならぬものがあるようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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