青森山田の圧巻V、グルグル円陣、衝撃の古川、まさかの初戦敗退…100回大会の10大ニュースを総まとめ【選手権】

青森山田の圧巻V、グルグル円陣、衝撃の古川、まさかの初戦敗退…100回大会の10大ニュースを総まとめ【選手権】

個の能力、組織力、闘争心とどれを取っても図抜けていた青森山田。3年ぶりの日本一に輝いた。写真:徳原隆元



 1月10日、青森山田の3年ぶり3度目の優勝で幕を閉じた全国高校サッカー選手権。大きな節目の100回大会でも、数多のドラマやニューヒーローが生まれ、サッカーファンを大いに楽しませてくれた。ここでは大会を彩った「10大ニュース」を編集部がピックアップ。いま一度、メモルアルな「7日間」をプレイバックする。

【21得点・2失点! 青森山田が圧倒的な力を示して3冠達成】
 グウの音も出ない強さだった。過去2大会、決勝で涙を呑んだ青森山田(青森)が攻守両面で並み居る強豪たちを凌駕した。初戦(2回戦)の大社(島根)戦で後半にラッシュを掛けて6-0の快勝スタートを切ると、続く3回戦の阪南大高(大阪)戦も危なげなく3-1でモノにする。準々決勝では東山(京都)に先制されてヒヤリとさせられたが、慌てず騒がずの横綱相撲できっちり2-1の逆転勝ち。準決勝の高川学園(山口)戦が6-0、そして決勝の大津(熊本)戦も4-0の大勝を収めて、3年ぶりに覇権を奪還した。

 5試合で21得点・2失点は驚嘆の一語に尽きる。インターハイ、プレミアリーグEASTに続く選手権制覇で、チーム史上初の高校サッカー3冠を達成。黒田剛監督は「まさかこの100回の記念すべき年に、すべてのタイトルを獲れるなんて夢のようです」と語り、「本当に素晴らしい選手たちに恵まれて幸せな気分です」と、鍛え上げた精鋭軍団を称えた。
 

【“グルグル円陣FK”が世界を席巻! 高川学園が快進撃!】
 12月28日の1回戦で特大の話題を提供したのが、山口県代表の高川学園だ。1回戦・星稜(石川)戦の前半8分、FKのチャンスだった。高川学園は敵エリア内で5人の選手が手を繋いで円陣を組むと、楽しげに笑顔でグルグルと回転。やがてボールが蹴り出される瞬間に5人は一斉に散らばって敵マーカーをかく乱し、それぞれがゴール前に猛進する。そのうちのひとり、MF林晴己(3年)がドフリーヘッドを決め、先制に成功した。

 鮮やかなトリックプレーの動画がSNS上で拡散すると、世界中のスポーツメディアも取り上げる事態に発展。英紙『The Sun』は「見よ! 信じられるか!高川学園の選手たちが閃きに優れたフリーキックで観衆を楽しませた」と伝え、スペイン全国紙『Marca』は「日本のティーネイジャーたちの斬新なアイデアが美しいゴールを生んだ」と評し、米ネットワーク『ESPN』も「華麗なるセットピース」と絶賛。そして欧州衛星局『EURO SPORTS』は「ポテト・サークルだ!」と独特の表現を用い、「今年一番の戦術。高川学園が見せた、まさに夢のような作戦である」と褒め称えた。

 チーム発表の公式名称は「トルメンタ」。スペイン語で「嵐」を意味する言葉で、高川学園はその後もこの「トルメンタ」をはじめとする、さまざまなリスタートのアイデアを駆使して、観る者に娯楽を提供し続けてくれた。

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【静岡学園の古川陽介が衝撃のゴラッソ!】
 静岡学園(静岡)の背番号10・古川陽介は、超絶技巧でファンの度肝を抜いた。1月2日に行なわれた3回戦の宮崎日大(宮崎)戦、2-0とリードして迎えた前半32分だ。ハーフウェーライン付近を過ぎた付近でボールをキープすると、得意のドリブルでふたりを一気に抜き去ってエリア内に持ち込み、最後は右足でシュートフェイントをかけてDFをかわし、すぐさま左足でシュート。ゴール右隅へ正確に流し込んだ。

 問答無用のスーパーゴールに対して、「キャプテン翼かよ」「日本のメッシだ」「DFを完全に手玉に取っている」など、海外のファンからも称賛の声が相次いだ。卒業後はジュビロ磐田に入団する天才ドリブラー。次はJリーグの舞台で、大暴れを期待したいところだ。

【5ゴールを固め撃ち! 鈴木章斗が大会得点王に輝く】
 凄まじいゴールラッシュに会場が揺れた。12月31日の2回戦、阪南大高vs奈良育英(奈良)戦だ。前者が後者に8-0の圧勝を飾ったゲームで、なんと5得点を挙げたのが阪南大高の鈴木章斗だった。湘南ベルマーレ内定FWは前半だけでハットトリックを達成すると、後半になっても勢いが止まらず、さらに2ゴールをゲット。3回戦の青森山田戦でチームは健闘虚しく敗れ去ったが、鈴木はここでも意地の一撃を決めて、存在を示した。通算7得点で、堂々の大会得点王に輝いている。
 
【流経大柏に山梨学院など名門・強豪が初戦で敗退】
 今大会最大のアップセットと言えるのが、優勝候補の一角を担った流経大柏(千葉)の初戦敗退だろう。1回戦で近大和歌山(和歌山)と対戦。前半8分に先制する幸先良いスタートも、その後は相手の堅牢をなかなか崩せず、逆に後半24分に同点とされてPK戦へ突入する。これを4-5で落としたのだ。

 前回大会覇者の山梨学院(山梨)も初戦(2回戦)で佐賀東(佐賀)に完敗を喫し、インターハイ準優勝の米子北(鳥取)、同ベスト4の星稜(石川)、さらには同ベスト8の神村学園(鹿児島)なども初戦で敗退。まさに先が読めない、戦国トーナメントの幕開けとなった。

【県立の星! 大津が資金不足も乗り越えてファイナル進出】
 県立高校として10大会ぶりに決勝進出を果たしたのが、熊本県代表の大津だ。今年度のプレミアリーグWESTで4位に食い込んだ実力は伊達ではなく、選手権で初めてベスト8の壁を打破。悲願の全国大会初優勝に邁進したが、決勝で青森山田の前に敗れ去った。準決勝進出を受けて、首都圏での滞在費などで資金不足が深刻となり、保護者会が募金を呼び掛ける緊急事態に。支援の輪が全国規模で一気に広がり、わずか1日半で想定を大幅に超える1000万円が集まったことでも、話題を集めた。

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【関東一が苦渋の決断。無念の準決勝辞退へ】
 国立競技場での開幕戦で中津東(大分)を下し、華々しい船出を切った関東一(東京B)。続く尚志(福島)戦でスコアレスからPK戦を制し、初めて“選手権2勝目”を挙げると、矢板中央(栃木)、静岡学園(静岡学園)と下馬評の高かった強豪チームを激闘の末に連破してみせた。だが、国立の準決勝で大津と雌雄を決するその前日、日本サッカー協会を通じて発表されたのが、関東一の「出場辞退」。PCR検査の結果、チーム内に新型コロナウイルスの陽性反応者が出たためで、苦渋の決断となった。SNS上では関東一が直面した厳しい現実を悲しむ声や、不戦敗を惜しむ意見が数多く寄せられた。

【矢板中央の守護神が3連続PKストップの快挙!】
 2年連続でベスト4の矢板中央は、3回戦で関東一に1-2で敗れて涙を呑んだ。そんななか、大会ナンバーワンGKと謳われた藤井陽登はやはりスーパーだった。初戦となった2回戦の米子北戦で、試合中にふたつのビッグセーブを披露すると、PK戦では「初めてです」と3本連続でシュートをストップ。1年時からPKストッパーとして鳴らした本領を、最後の選手権でも存分に発揮した。敗れた関東一戦後には、「自分のミスで失点したのが悔しい。大学で頑張ってプロになりたい」と、次なるステージでの奮起を誓った。

【8年ぶりの国立開催! 決勝は観衆4万超えの大入りに】
 選手権が国立に帰ってきた! 2013年度の第92回大会で「国立・最蹴章」と銘打たれ、長きに渡って愛されてきた国立霞ヶ丘競技場の歴史にピリオドが打たれた。東京五輪に向けて改修工事に入り、代わりに埼玉スタジアムが新たな聖地となっていたが、ついに今大会から「新国立」として復活を遂げたのだ。開幕戦、準決勝2試合、そして決勝。全登録選手が行進する開会式も新国立で行なわれ、決勝には4万2747人の大観衆が詰めかけた。ここから、新たな“国立伝説”が再スタートする。
 

【名将・小嶺忠敏さんが逝く。松木は喪章を手に…】
 突然の訃報に、誰もがショックを受けた。1月7日午前、今大会に出場していた長崎総科大附(長崎)の監督、小嶺忠敏さんが他界された。享年76。闘病生活を続けながらチームの指揮を執ってきた小嶺監督だったが、今大会はベンチ入りを果たせず、病状を心配する声が上がっていた。島原商、国見を率いて数多くの全国タイトルを獲得し、高校選手権優勝6回は戦後最多タイ。熱情と愛情に溢れる指導で数えきれないほどの名手を育て上げ、後進の指導者にも多大な影響を与えた。

 逝去を受けて、今大会の準決勝と決勝では試合前に黙とうが捧げられ、選手たちは喪章をつけてプレー。準決勝の高川学園戦では、青森山田のエースで主将の松木玖生がゴールを決めたあとに喪章を天に向けて掲げて、名伯楽に哀悼の意を表した。今大会を象徴する名場面のひとつだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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