J1開幕直前、上位陣の新戦力通信簿! 浦和リカルド・チルドレンは大当たり。神戸、鹿島も順応性の高い即戦力が台頭

J1開幕直前、上位陣の新戦力通信簿! 浦和リカルド・チルドレンは大当たり。神戸、鹿島も順応性の高い即戦力が台頭

今季の新戦力のパフォーマンスはいかに。写真は左からチャナティップ(川崎)、岩尾(浦和)、槙野(神戸)。写真:サッカーダイジェスト



 2022年Jリーグ開幕がいよいよ18日に迫ってきた。今季は王者・川崎フロンターレのリーグ3連覇が叶うか否かが最大の注目点と言われるが、12日の富士フィルム・スーパーカップの戦いぶりを見ると、やや雲行きは怪しそうだ。逆に勝利した浦和レッズや昨季2位の横浜F・マリノスらライバル勢が猛追する可能性もありそうだ。

 そんな上位陣候補のカギを握るのが、新加入選手の動向だ。現時点で各クラブの新戦力がどのような状況なのか。それを分析・検証してみることにする。
 
 まず川崎だが、今季は8人の新顔が加わったものの、即戦力と目されるのはチャナティップと瀬古樹のふたり。特にコンサドーレ札幌時代にJ1・115試合出場14ゴールの実績を持つチャナティップには期待が高かった。

 だが、左サイドハーフで先発し、後半からインサイドハーフに移動した浦和戦ではいずれのポジションでもフィットしきれていない様子。「チームメートを見すぎて相手を見られなかった」と本人も反省したように、連係面に課題があるようだ。

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)組の川崎は開幕から連戦が続くため、彼が実戦の中で周囲と意思疎通を図る時間は大いにある。それを有効活用し、本来の持ち味を発揮できるようになれば攻撃の起爆剤としての役割も果たせるはず。中盤の一角を占める瀬古も同様で、川崎のリズムにいち早く自身を適応させられるかが今後のポイントと言える。

 その王者を撃破した浦和は今季12人もの補強を遂行。鹿島アントラーズ時代にACL制覇を経験した犬飼智也、アカデミー出身の松尾佑介らが名を連ねる中、リカルド・ロドリゲス監督と徳島ヴォルティス時代に共闘した岩尾憲と馬渡和彰の存在感が大きい。

 とりわけ、異彩を放つのが岩尾。川崎戦では柴戸海とダブルボランチで先発し、中盤を的確にコントロール。後半からは伊藤敦樹を含めた3ボランチにシフトし、相手のトライアングルを封じた。柴戸のデュエル、伊藤のチャンスメーク力がより一層発揮できたのも、岩尾の頭脳的なプレーに後押しされたから。「3人の距離感を大事にした。自分にとって大きな勝利だった」と話すように、彼は新天地で順調な一歩を踏み出したと言っていい。

 馬渡も守備の強度、攻撃参加、プレースキックの精度を前面に押し出し、川崎撃破に貢献。今季の浦和は宇賀神友弥(岐阜)、山中亮輔(C大阪)という2人が移籍した分、彼に託されるものが大きかった。馬渡の起用にメドがつけば明本孝浩を恒常的に前線で使える。その見通しが立ったことも収穫。彼らはこの先も軸を担っていくと見られる。

【画像】2022 J1リーグ各チームの開幕予想布陣!
 一方のマリノスだが、レンタルバックの吉尾海夏らを含めると新加入は浦和を超える14人。多彩な新戦力が揃う中、開幕からレギュラークラスに食い込んできそうなのが、エドゥアルドと永戸勝也の2人だろう。
 
 これまでJリーグ6クラブを渡り歩いたエドゥアルドは、電撃移籍したチアゴ・マルチンス(ニューヨーク・シティ)に代わる守備の大黒柱になるべき存在。昨季のサガン鳥栖ではキャプテンとして36試合に出場。総失点35という守りの安定感をもたらした。左足から繰り出すフィードの正確さも折り紙付きで、最終ラインからのビルドアップを重視するマリノスにはうってつけの選手。センターバック(CB)の相方・畠中槙之輔との連係も良好という。19日の開幕・セレッソ大阪戦は岩田智輝を最終ラインで使うプランも残されているようだが、近いうちに出番が来るはずだ。

 同じ最終ラインの左に陣取ると見られるのが永戸。ベガルタ仙台・鹿島時代から攻撃的サイドバック(SB)としての実力には定評があった。過去3年間、主にティーラトン(ブリーラム)が担った役割を踏襲していく人材としては最適。ただ、2月に横浜に戻ってからの練習で別メニュー調整を強いられていること。間に合わない場合の代役は同じ新加入の小池裕太が担う模様だが、永戸に比べるとやや攻撃の迫力を欠く。そのあたりがチームにどう影響するかが気になる。

 昨季、過去最高の3位に入ったヴィッセル神戸も優勝候補の一角に挙げられる。補強自体はレンタルバックの藤本憲明を入れて6人と多くないが、槙野智章、扇原貴宏、汰木康也といった実績ある3人が入ったのは大きい。

 2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)メンバーでACL制覇の経験値を持つ槙野は闘争心、コミュニケーション力、雰囲気作りという点を考えても大きい。「神戸にタイトルをもたらすために来た」と本人も目をギラつかせている。CBは菊池流帆を軸に何人かが競争を繰り広げる形になっているが、神戸はACLプレーオフ含めて超過密日程。選手を入れ替えながら戦う必要がある。5月に35歳になる彼にはフル稼働してもらう必要がありそうだ。

 2019年のマリノスでタイトルを経験している扇原も中盤の選手層拡大に寄与できる人材。山口蛍ともセレッソ時代以来のコンビ再結成でお互いにやりやすさを感じているという。もうひとりの汰木も神戸に少なかったウイングタイプで戦術の幅を広げてくれるはず。三浦淳寛監督がこの3人をどう使いこなすのか。まずは序盤の戦いぶりが興味深い。
 
 上記4チームに挑むのが、昨季4位の鹿島と5位・名古屋グランパス。鹿島は復帰組の鈴木優磨含めて8人、名古屋も10人の新戦力が加わった。が、鹿島は13日の水戸ホーリーホックとのプレシーズンマッチに苦杯。名古屋もコロナのクラスター発生で調整が遅れている模様で、ロケットスタートが難しそうだ。そんな両者で有望視できそうな人材は、鹿島のキム・ミンテと樋口、名古屋のレオ・シルバと仙頭啓矢あたりではないか。
 
 鹿島の場合、犬飼と町田浩樹(ユニオン=サン・ジロワーズ)の流出でCB陣のテコ入れは急務。そこに入ったキム・ミンテは最終ラインのけん引役に期待される。水戸戦でもコンビを組んだ関川郁万、林尚輝を統率し、紛れもなく絶対的な軸となっていた。彼の安定的な働きは常勝軍団復活のキーポイントと言っていい。

 ボランチとサイドアタッカーをマルチにこなす樋口雄太も魅力的な存在。水戸戦でも自らのドリブル突破でPKを誘ったが、そういった仕掛けはどんどん出せる。「ボールを受けて前を向いてゴールに向かう姿勢をもっともっと出したい」と本人も意気込んでいた。鈴木優磨の得点力含め、彼らの活躍も重要なカギになりそうだ。

 名古屋の方は米本拓司(湘南)が抜けたボランチ陣の穴埋め筆頭がレオ・シルバ。彼の能力の高さはすでに誰もが熟知しているところ。中盤を幅広く動ける仙頭も使い勝手がいい選手。長谷川健太監督もそういう存在は心強いはずだ。ただ、前述の通り、コロナの影響でどこまでチームが仕上がっているか未知数なのは不安要素。開幕後の名古屋をまずはしっかりと見極めるべきだろう。

取材・文●元川悦子(フリーライター)
 

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