「今ならメッシの契約を延長していたかもしれない」ラポルタ会長の“ワンマン体制”が復活したバルサ。内部で何が起きているのか?【現地評】

「今ならメッシの契約を延長していたかもしれない」ラポルタ会長の“ワンマン体制”が復活したバルサ。内部で何が起きているのか?【現地評】

意見の違う人間を排除し、ワンマン体制を築いているラポルタ会長。(C)Getty Images



 リオネル・メッシを失い、チャンピオンズ・リーグのグループステージ敗退に追い込まれたバルセロナが、音楽ストリーミングサービス企業「スポティファイ(Spotify)」との巨額のスポンサー契約の発表を控えていた矢先、CEOのフェラン・レベルテルがカンプ・ノウを去ることを決意したことが明らかになった。

 以前からジョアン・ラポルタ会長との間には深刻な意見の食い違いが起きていた。レベルテルは次第に理事会と距離を置き始め、物別れに終わる決定打となったのが、契約金額について疑念が生じているスポティファイとの契約だった。

 2020年に会長選への出馬を表明して以来、ラポルタの権限は常に保証人の手中にあった。メッシの引き留めを断念し、経済担当副会長に任命するはずだったジャウマ・ジロが早々に離脱し、会長選の勝利後に正式に就任する際にアウダックス社、メディアプロ社、サバデイ銀行の後ろ盾を必要としたのも同様の理由だ。

 ラ・リーガとの不協和音、投資ファウンドCVCの融資への反対、欧州スーパーリーグ構想を巡るレアル・マドリーとの提携もクラブの経営危機を端に発したレベルテル、そしてアウダックス社の副社長で、政権発足時にジャウマ・ジロの代わりに経済担当副会長として入閣したエドゥアルド・ロメウの影響力の大きさを抜きにしては語ることができない。

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 1月にバルサはマドリーの会長、フロレンティーノ・ペレスとの共同戦線が実を結び、政府と交渉を重ねた結果、クラブ予算の15%に当たる額の保証金を提出するという株式会社の組織形態を持たないクラブに義務付けられていた規定を廃止することに成功した。これは両クラブにとって長年の悲願であり、同時にラポルタにとっては保証人からの解放を意味した。

 ラポルタは再任以来、幹部、顧問、スタッフなど周辺を忠実な人間で固めることに注力してきた。内部で様々な軋轢が起こった第一期政権時代の経験から得た教訓であろう。しかし、これは一歩間違えれば、縁故主義が幅を利かせることになり、有能な人間が愛想を尽かしてしまう恐れがある。

 現在レベルテルの辞任がクローズアップされているが、同様の理由でクラブを去ったのは彼だけにとどまらず、今後も追随する人間が現れることが予想される。
 議論の余地があるのが、感情や感覚を重視するラポルタの組織マネジメントだ。往々にして理性的な視点が欠落し、そのワンマンな手法がレベルテルのような現場の人間にとっては圧力に転じ、自らの意思に反することに同意させられるくらいなら、袂を分かつ決断を下すという結果になる。
 
 良くも悪くも、第1期政権時代のワンマンなラポルタが復活しつつある。バルセロナのソシオは、ジョゼップ・グアルディオラ監督の下で6冠を達成する前に、不信任動議を突きつけられたことを忘れてはいない。レベルテルの辞任は再建の真っ只中にあるクラブにとって大きな後退を意味する。

 今後ラ・リーガをはじめとした他団体との関係においても変化が生まれる可能性がある。ラポルタがもし今メッシの去就問題に直面していたなら、誰の反対も受けず、契約を延長していたかもしれない。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルサ番)
翻訳●下村正幸

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