「デ・ブルイネよりジダンに近い」「多くの女性が繋がりを求めた超人気者」タレント王国ベルギーの超逸材を現地記者が丸裸に!

「デ・ブルイネよりジダンに近い」「多くの女性が繋がりを求めた超人気者」タレント王国ベルギーの超逸材を現地記者が丸裸に!

この1~2年で一気に頭角を現わしたクラブ・ブルージュのデ・ケテラーレ。今シーズンのCLでもインパクトを放った。(C)Getty Images



 ベルギー代表の次代を担う逸材と評されるのが、20歳のシャルル・デ・ケテラーレだ。クラブ・ブルージュで一気に存在感を高め、メガクラブ行きも取り沙汰されるMFの凄さと魅力を、5つのキーワードで読み解く。

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【プレースタイル&ストロングポイント】
 192センチの長身ながら技術レベルがきわめて高く、視野も広い。フィジカルとインテリジェンスを兼備する左利きのアタッカーだ。成長途上ゆえ適性ポジションは見極めている段階。本人はナンバー10でのプレーを望んでいるが、クラブ・ブルージュのそのポジションには現在、経験豊富なファナケンが君臨する。そうしたチーム事情に加え、マルチに振る舞える特性を買われ、今シーズンは3トップの中央か2トップの一角が主戦場で、ウイングや中盤に入るケースもある。

 この20歳の新星をデ・ブルイネと比較する声も少なくないが、いまや世界最高の攻撃的MFと評される先達に比べれば、パスレンジやパワーなどは見劣りが否めず、またスピードや敏捷性は平均レベルと言わざるを得ない。反対に高く評価できるのが、試合展開を読む戦術眼やプレー判断力で、積極的にボールに関与しては天性のタッチでエレガントにボールを操り、相手を翻弄する。その点ではデ・ブルイネよりジダンに近いタイプだろう。
 
【直近1~2年の実際のパフォーマンス】
 ブレイクを遂げたのは昨シーズン。舞台はチャンピオンズ・リーグ(CL)のグループステージだった。1節のゼニト戦で先制点に繋がるシュートを放ち、同点とされた後の後半アディショナルタイムに千金に値する決勝ゴールを決めたのだ。これでサポーターのハートをがっちり掴み、同時に国際的な注目を集めると、5節のリターンレグでも先制弾を突き刺し、さらにファウルを受けて追加点に繋がるPKを獲得した。

 決勝トーナメント進出を懸けた6節ラツィオ戦では、2-2で迎えた終盤に角度がない位置から左足で強烈なシュートを放って見せ場を作る。これは惜しくもポストを叩き、グループ突破の立役者にはなれなかったものの、国内リーグでは中盤戦から定位置を確保し、連覇に貢献している。

 今シーズンも好プレーを継続している。CLグループステージ1節のパリSG戦では、豪華な面々を向こうに回しながら、堂々たるパフォーマンスで1-1のドローに貢献。なかでもFWランフのバイシクルを引き出したクロスは絶品だった。

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【ベルギー代表】
 初招集は20年11月。11日のスイス戦(親善試合)で、わずか1分の出場ながら念願のデビューを飾った。以降は出番に恵まれず、EURO2020は予備メンバーに入ったものの23人枠からは漏れてしまう。当時は練習に参加しても、憧れのビッグネームたち──なかでもデ・ブルイネは彼のアイドルだ──の中で尻込みしていたという。

 2キャップ目は初出場から11か月後のUEFAネーションズリーグ3位決定戦。このイタリア戦(10月10日)で、尊敬するデ・ブルイネのアシストから初ゴールをマークした。翌11月のW杯予選のエストニア戦とウェールズ戦にも出場し、後者では初先発を飾っている。
 
 とはいえ、まだ代表で確固たる地位を築くには至っていない。前線にはデ・ブルイネやルカク、エデン・アザール、ドクらライバルが多く、カタールW杯のメンバー入りも現時点では50%といったところか。ただ、いままさに成長を遂げており、伸びしろも十分。国民も大きな期待を寄せている。

【移籍】
 欧州中のクラブが動向を追っている。ナポリは21年夏に興味を示したが、正式オファーには至らなかった。クラブ・ブルージュが設定した移籍金は3500~4000万ユーロ(約45億5000万円~52億円)と伝えられており、それがネックになったのだろう。代理人を務める元ベルギー代表MFのデ・ムルは、ムサ・デンベレやヴェルトンゲンのエージェントでもあり、トッテナムと太いパイプを持っている。ただ、実際に移籍先の候補として取り沙汰されているのは、アーセナルやリバプール、エバートン、レスターなどだ。
 
 クラブ・ブルージュ側は22年夏の売却もやぶさかではないようだが、本人はCLとカタールW杯への出場を何よりも重視しており、所属クラブの格よりも出場機会に重きを置くはずだ。そう考えると、現行契約が満了する24年夏まで残るとはいわないまでも、22年中に移籍を決断する可能性は低いのではないか。
 

【プライベート&人気】
 クラブ・ブルージュの本拠地とデ・ケテラーレの実家からほど近い街の壁に、彼の名前のグラフィティが描かれており、ファーストネームの「C」の文字には王冠が乗っている。それは“プリンス・シャルル”から“キング・シャルル”にニックネームが変わったことを示すものだ。ブルージュでは地元出身の選手が下部組織からトップチームに昇格するケース自体が珍しく、若くして主軸となったデ・ケテラーレには老若男女が声援を送り、その人気は絶大だ。19年10月にCLにデビューした翌日には、多くの女性ファンがSNSで繋がりを求め、大いに賑わった。

 外科医の父と看護師の母のもと、本拠地の近くで生まれ育った根っからのブルージュ・サポーターながら、少年時代はテニス競技でも才能を示し、フランドル地方の年代別王者になったほどだ。学業成績も優秀で、すでに退学したが大学では法学部に通っていた。現在も母親と暮らし、規則正しい生活を送っている。人々に囲まれるのを嫌うシャイな性格で、いまではパン屋に行くことも諦めたとか。

文●フクリストフ・テルール(Kristof TERREUR)

ベルギー誌『スポルト/フットボールマガジン』でキャリアを歩み始め、03年に同国主要紙『ヘット・ラーツテ・ニュース』へ。12年から同紙の特派員としてロンドンに拠点を置く。81年、ブラスハート生まれ。

※『ワールドサッカーダイジェスト』2022年2月3日号より加筆・修正

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