日本代表では伊東純也の活躍を引き出すチームの中心。「世界」を感じられるJリーガー、酒井宏樹の“凄み”

日本代表では伊東純也の活躍を引き出すチームの中心。「世界」を感じられるJリーガー、酒井宏樹の“凄み”

欧州から帰還後もハイレベルなプレーを見せている酒井。(C)Getty Images



 正念場のサウジアラビア戦、伊東純也の活躍が一番目立ったことは間違いない。前に飛び出す時のスピードは出色で、超人的だった。1対1を作った時には相手ディフェンスを怯えさせていたし、アシストだけでなく豪快なボレーも叩き込み、守備に回っても規律正しくアグレッシブなアプローチで、インサイドとサイドを制御していた。

「伊東が森保ジャパンの戦術」

 そう表現しても過言ではないだろう。

 しかし伊東のパフォーマンスを最大限に導き出していたのは、右サイドバックの酒井宏樹だ。

 サウジ戦、酒井は攻守ともに大車輪の働きだった。サイドバックを高い位置に上げ、必死に攻め寄せてきた相手に対し、彼は完璧な対応で、豪快にボールを奪い返していた。城門に立つ仁王像のごとき膂力を感じさせ、少しも隙を与えなかった。

 蹴散らすような守備をした後、攻撃のために先手を取ることもできていた。迅速にボールをつけ、必要だったら自ら持ち上がった。伊東を追い越すオーバーラップは、敵を蹂躙する騎馬武者の躍動感を放っていた。

【関連動画】酒井宏樹のパスから伊東純也のぶち抜きドリブル→アシスト
 先制点も、酒井は起点になっていた。左サイドで守り切った後、インサイドで伊東が受け、ポストプレーから落としたボールを受けた酒井は、全力疾走で裏を狙った伊東にロングワンツーのような形でスルーパスを送っている。右タッチラインからわずかに中に巻き込む回転をかけていた。これを伊東が怪物的なスピードで走り勝って、折り返し、南野拓実が決めた。

 酒井は、伊東のスピードを十全に引き出していたと言えるだろう。

 後半序盤には、GKがややアバウトなロングキックを飛ばしてきたが、酒井は高いジャンプからヘッドで確実に味方へつなげ、そこから右サイドを疾駆して再びボールを受ける。そしてファーを走り込んでいた南野へ完璧なクロスを上げた。

 後半終盤にも、圧巻のシーンがあった。自らドリブルで持ち上がった後に前へボールをつけ、再びダイナミックなランニングから伊東との連係で、裏にパスを呼び込んでいる。そしてトップスピードのまま、ゴール前に走り込んだ浅野拓磨に完璧なクロスを折り返したのだ。どちらもゴールは決まらなかったものの、垂涎のお膳立てだった。

「守備の安定が良い攻撃を生む」 

 それが森保ジャパンの理念である限り、酒井こそがチームの中心と言えるかもしれない。右サイドを支配することによって、やや脆さのある左サイドも好転させていた。ロシア・ワールドカップ以来、その存在は思った以上に大きい。

Jリーグ前哨戦となるFUJIFILM SUPER CUP 2022でも、酒井は浦和の勝利に大きく貢献していた。右サイドに推進力を与え、試合全体を有利に導いている。アンドレス・イニエスタは別格として、次に「世界」を感じられるJリーガーとして注目だ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
 
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