A代表、高校選抜、年代別代表…3か月間、5チームでプレーしたチェイス・アンリが大学選抜を相手に放った絶大なる存在感

A代表、高校選抜、年代別代表…3か月間、5チームでプレーしたチェイス・アンリが大学選抜を相手に放った絶大なる存在感

日本高校選抜の一員としてデンソーチャレンジカップに出場したチェイス・アンリ。大学選抜を相手に存在感を見せた。写真:松尾祐希



 チェイス・アンリにとって、今年に入ってからの3ヶ月間は今までで最も濃密な時間だった。
 
 年末の高校サッカー選手権では尚志の一員としてプレーした後、何チームでプレーしたのだろう。幕開けは1月17日から始まったA代表候補の合宿だった。高校生ながらトレーニングパートナーとして招集を受けると、大迫勇也や長友佑都らとプレー。日本代表で長きにわたって活躍する選手たちから学び、「A代表に参加した時に、本当にスピードが違った」と話した通り、今までとは異なる経験値を積み上げた。

 異例の抜擢を受けたA代表合宿が終わると、2月初旬からは日本高校選抜に活躍の場を移す。FUJIFILM SUPER CUP 2022 の前座として行なわれた“NEXT GENERATION MATCH”ではキャプテンとしてチームを牽引し、格の違いを見せ付けた。同世代のチームで活動が終わると、今度は2月27日からはU-19日本代表候補合宿に参加。2004年の早生まれにあたるチェイスにとって、来年のU-20ワールドカップを目指すチームは一学年上の代表となる。これまで何度も飛び級での選出を経験しており、いまさら戸惑うこともない。最終日の練習試合はコンディションの関係で15分強の出場に留まったが、いつも通りのプレーでU-19世代において守備の柱になる予感を漂わせた。

 U-19代表候補合宿を経て、3月4日からは再び高校選抜の活動へ。静岡県ヤングサッカーフェスティバルに出場し、慌ただしいスケジュールの中でもしっかり勝利に貢献した。そこから再び移動し、7日からはU-21日本代表候補合宿に参加。パリ五輪を目指すチームの始動となる大事な活動に初日から参加し、合宿最終日の9日には横浜F・マリノスとのトレーニングマッチに出場した。45分間のプレータイムだったが、大学生中心の相手に堂々たるプレーを見せて5-1の勝利に貢献。チームによって戦い方も異なり、 CBでコンビを組む相手も変わる。そうした特異な状況でも普段通りのプレーを見せ、貪欲に吸収しようとするチェイスらしさを覗かせた。9日に行なわれた試合後のオンライン取材で、チェイスは自身の出来をこう振り返る。

「このレベルだと誰と組んでもみんな本当にうまいし、いろいろな選手とやれて楽しい。連係を取るのもだんだん難しくなってくるけど、そこも今日の試合はしっかりできて良かった」

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 そして、10日。チェイスは再び違う色のユニホームを着ていた。高校選抜の一員として、デンソーチャレンジカップサッカーに出場するためだ。相手は各地域の大学生選抜。チームの中では年上の相手と戦う経験を誰よりもしており、プレー面で不安はない。ただ、前日に千葉県内でU-21代表のトレーニングマッチに出場しており、2日連続の出場はないだろうと思われていた。だが、本人はやる気十分。ベンチスタートとなった関東選抜B戦では試合開始からソワソワした素振りを見せ、前半途中からはアップゾーンで立ち上がったまま戦況を見つめるように。後半に入ってようやく身体を動かし始めると、70分過ぎに仲村監督から声がかかる。本人は試合に出る気満々でジャージを脱ごうとしたのだが、監督からは「話がしたいだけだ」と、冗談交じりに言われてしまう。流石に今日の出場はないだろうと思っていたが、言葉を交わした直後から出場の準備が始まったのだ。

 投入されたのは1-1で迎えた78分。しかも、本職ではないFWでの出場だった。だが、周りを鼓舞しながら懸命にプレーし、80分には鮮やかなスルーパスでチャンスを演出。82分にも左サイドから決定機を生み出すなど、FW顔負けのプレーで存在感を発揮した。最終的にゴールは奪えなかったが、改めてチェイスの潜在能力を知らしめることになった。

 この3か月でチェイスは母校の尚志を含め、5チームでプレーした。メンバーが変わるだけではなく、監督も戦術もチームによって異なる。頭が混乱してもおかしくないが、チェイスは前向きにプレーを続けてきた。持ち前の明るさで周りを巻き込む姿もいつも通り。ピッチ内外でその存在感は絶大だった。
 

「謙虚で素直」。尚志で指導に携わった仲村監督は常々アンリについてこう評しているが、そのスタンスはどこにいっても変わらない。だからこそ、どこに行っても誰からも愛されるのだろう。

「自分の目標は世界一のセンターバックになること。この世代で海外でやっていける選手は多いけど、自分もこの世代で中心選手にならなければいけない。でも、このままでは自分の目標は達成できないと思う。自分も海外クラブの練習に参加して、『本当にヤバい』と感じたし、今のままでは全然通用しない。これからもっと死に物狂いでやらなければいけない」

 貪欲な姿勢を崩さないチェイスが目指すゴールはもっと先にある。注目される今後の進路は現時点で明確にはなっていないが、今は与えられた場所で懸命にプレーし、さらなる進化を目指すだけだ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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