【GS対戦国分析】ドイツの強度に対抗できるか。スペインは東京五輪代表のハイスケール版。軽視できない残り一枠との戦い

【GS対戦国分析】ドイツの強度に対抗できるか。スペインは東京五輪代表のハイスケール版。軽視できない残り一枠との戦い

森保監督(右)率いる日本はGSを突破できるか。左上がスペイン代表ブスケッツ、その右がドイツ代表ミュラー。左下がコスタリカ代表ナバス、その右がNZ代表ウッド。(C)Getty Images



 現地4月1日、カタール・ワールドカップ(W杯)のグループステージ組み合わせ抽選会が実施された。グループEの日本は、ドイツ、大陸間プレーオフ(PO)勝者(コスタリカ対ニュージーランド)、スペインとの対戦が決まった。

 ドイツとスペイン。優勝経験のある“列強”が2つ入ったグループEは、日本にとってもかなり厳しい。筆者が想定した最悪の組はブラジル、ドイツ、日本、欧州予選プレーオフ勝者(ウェールズ対スコットランド/ウクライナ)だったが、それに準じる厳しさだ。

 軽視してはいけないのが、もう1つの対戦国で、北中米カリブ海4位のコスタリカか、オセアニア王者ニュージーランドの勝者が入る。もちろんグループステージ突破のためには勝点3が求められる相手だが、長年の課題である「守備を固める相手」をどう崩すかという、スペインとドイツとはまた違った難しさが出てきうそうだ。

 まず初戦の相手となるドイツだが、ポット2に入った理由はここ数年の結果が原因にある。EUROではベスト16でイングランドに完敗。それに先立つワールドカップ(W杯)予選の3試合目ではホームで北マケドニアに敗れるなど、15年間続いたヨアヒム・レーブ体制の末期でチームに停滞感が見られた。
 

 しかし、バイエルン・ミュンヘンを2019−20シーズンのCL王者に導いたハンジ・フリック監督が就任後は7連勝で、平均得点も4点を超えるなど圧倒的だった。それでもFIFAランキングが12位止まりで、“最強のポット2”として、どこに入るか注目が集まっていた。その意味では3大会ぶりの優勝を目指すスペインも災難だったが、日本とPO枠が来たことで、2位以内は確定的と見る地元メディアは多いのではないか。

 ドイツに話を戻すと、フリック監督が就任して明らかに良くなったのがショートカウンターを強みとした得点力だ。いわゆる“本職のセンターフォワードがいない”問題は、レーブ時代と変わらない。それでもティモ・ヴェルナー(チェルシー)がハイプレスの急先鋒として奮闘し、高い位置のボール奪取からカイ・ハベルツ(チェルシー)やレロイ・ザネ(バイエルン)が迫力ある仕掛けやフィニッシュにつなげる。

 経験豊富なトーマス・ミュラー(バイエルン)や突破力と決定力を兼ね備えるセルジュ・ニャブリ(バイエルン)など、前線はある程度固まってきているが、中盤のセンターは良い意味で競争が激しい。軸になりうる候補だけでもヨシュア・キミッヒ(バイエルン)を筆頭にイルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ)、フロリアン・ノイハウス(ボルシアMG)、レオン・ゴレツカ(バイエルン)、そして新鋭ジャマル・ムシアラ(バイエルン)などだ。

【PHOTO】日本代表を応援する「美女サポーター」を厳選!
 

 そんなドイツに対抗するためには、基本的な強度で圧倒されないようにする必要がある。その意味でブンデスリーガの“デュエル王”である遠藤航は絶対に欠かせないが、4ー3ー3にしても4ー2ー3ー1にしても、中盤のチョイスのベースとして強度負けしないことが条件になってくるはず。そのうえで、どの部分でドイツを上回るかというテーマになりそうだ。

 スペインとは東京五輪でEURO組6人にオーバーエイジ(OA)を加えたチームと対戦しているが、そのハイスケール版と言ってほぼ間違いない。異なるのはルイス・エンリケ監督が流れに応じて切れるカードが非常に豊富であること。そして何より4ー3ー3のピボーテに君臨するセルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)の存在だ。まさしく『ラ・ロハ』の心臓であり、彼の存在なくして“神童”ペドリ(バルセロナ)の想像力や俊英フェラン・トーレス(バルセロナ)の決定力も発揮されにくい。

 やはりブスケッツ、ペドリ、コケ(アトレティコ ・マドリー)、カルロス・ソレール(バレンシア)といったテク二カルかつタクティカルなパスワークに、厳しいプレッシャーをかけていく必要はあるが、絵に描いたようなプレッシングからのボール奪取は望めない。ドン引きは禁物だが、ミドルゾーンに引き込んでスペースを消しながら、セカンドボールを狙うような形が、1つ解決策になってくる。
 

 鍵を握るのがサイドバックの背後で、やはりスペインはポゼッションをベースに右のダニエル・カルバハル(レアル・マドリー)やセサル・アスピリクエタ(チェルシー)、左のジョルディ・アルバ(バルセロナ)が高めのポジションを取ることが多く、前線との関係によってはインアウトの立ち位置を使い分けてくる。そうしたスタイルを裏返す形で、伊東純也や三笘薫の高速ドリブルが生きてくる。そこに古橋亨梧、前田大然、浅野拓磨など、日本が誇るスピード系のアタッカー陣をぶつけやすい相手でもある。

 ドイツもスペインもチームの総合力で上回ることは不可能だが、強度や立ち位置で圧倒されないレベルまで引き上げれば、つけ入る隙は出てくる。そして、あわよくば勝点3を獲得したいが、少なくとも初戦のドイツから勝点1を取れれば、スペインとドイツの直接対決で星を潰し合ってくれる可能性が高まる。
 

 やはり重要になるのは、コスタリカかニュージーランドから勝点3を取ることになるだろう。コスタリカはご存知の通り、絶対的な守護神ケイラー・ナバスがゴールに鍵をかけ、いかなる相手にもゴールを許さないベースがある。

 ここ数年、アタッカーが思うように育っておらず、ジョエル・キャンベル頼みの攻撃はW杯参加国でも見劣りするが、日本がなかなかゴールを奪えずに焦れると、前線のスピードを生かしてゴールを仕留められるリスクはある。

 ニュージーランドは東京五輪の準々決勝で対戦したイメージほぼそのままと言っていい。OAで参加していた大型FWクリス・ウッドはA代表でもキャプテンにしてエースなので、彼をターゲットにした攻撃を冨安健洋などがしっかりと封じる必要がある。

 ただ、ダニー・ヘイ監督のもとでパスをつなぎながらサイドに起点を作る形もレベルアップしてきており、ウッドのポストプレーを止めたらすべて解決という訳でもない。
 


 同じく森保一監督が率いた東京五輪代表はニュージーランドと0−0のまま延長戦でも決着付かず、PK戦で勝ち上がった。しかし、今回は勝点1ではおそらく厳しい状況でスペインとの試合に臨むことになるので、ニュージーランドが勝ち上がってくるならば、フィジカルの強さを生かした守備を破る攻撃を身に付けておく必要がある。

 とにかく残り1か国は6月の大陸間POで決まる。スペインとドイツを意識することも大事だが、POの結果を気にするだけでなく、本大会行きのかかった真剣勝負の中でコスタリカとニュージーランドの特長を見極める機会にするべきだろう。

文●河治良幸

【PHOTO】日本はスペイン・ドイツと同組!カカ、ピルロらレジェンドが集結したカタール・ワールドカップ抽選会の厳選ショットを紹介!
 

関連記事(外部サイト)