ドバイカップ優勝のU-21代表でA代表に推薦したい選手は? 最も近いのは大岩ジャパンの“舵取り役”

ドバイカップ優勝のU-21代表でA代表に推薦したい選手は? 最も近いのは大岩ジャパンの“舵取り役”

ドバイカップで統率力を見せた藤田。プレーのクオリティもU-21代表で頭ひとつ抜けていた。写真:松尾祐希



 各年代でエリート街道を歩んできた者もいれば、無名だった育成年代を経て大きく飛躍した者いる。なかには高校卒業後に渡欧した選手もおり、GK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル)やDF内野貴史(デュッセルドルフ/ドイツ)は自らの足で道を切り開き、年代別代表で日の丸を背負うまでになった。

 パリ五輪出場を目指すU-21日本代表の選手たちのキャリアは多種多様。彼らのそれぞれの場所で磨いてきた個性が合わさったからこそ、大岩剛監督が就任して初の海外遠征となるドバイカップU−23で優勝を果たしたのだろう。

 可能性を示した選手は多く、どんな成長曲線を描いていくのか楽しみになる選手はいた。指揮官は「A代表経由パリ五輪行き」を掲げる。ただ、現状でA代表にすぐに推薦できる選手がいるかと言えば、答えは“NO”だ。

 J1でレギュラーと呼べる選手はFW鈴木唯人(清水)、FW細谷真大(柏)、MF川ア颯太(京都)、DF西尾隆矢(C大阪)ぐらいだ。そのほかの選手は、J1で途中出場の多い選手やレギュラーを務めていてもJ2クラブ所属である場合がほとんどである。昨季、ベストヤングプレーヤーを受賞した荒木遼太郎(鹿島)も今季は途中出場や途中交代が多い。
 
 一方、海外組の選手でもMF斉藤光毅(ロンメル)が自チームでレギュラーとしてプレーしているが、カテゴリーはベルギー2部。小久保にしても、ベンフィカのBチームでも思うように試合に出場できていない。

 A代表は11月にワールドカップ・カタール大会に挑む。4月1日には本大会の組み合わせも決まり、日本はスペイン、ドイツと同組になった。こうした強豪国の一線級の選手たちとU-21日本代表の選手が互角に渡り合うのは現状で難しいだろう。

 ただ、可能性がないわけではない。これからの成長次第では、カタールの地を踏めるかもしれないし、間に合わなかったとしても遠くない時期にA代表入りを果たす選手はいるだろう。むしろ、いてくれないとパリ五輪でメダル獲得を目指すのは不可能だ。

 大岩監督が日頃から口にする“A代表経由でパリ五輪“を、選手たちも理解している。

「東京五輪に出場したメンバーはA代表で試合に出ている選手が多かったので、みんなも言われなくても分かっているはず」(鈴木)

 では、今回のドバイカップで近い将来、A代表入りを果たす可能性を示したのは誰なのか。最も近い場所にいると感じさせられたのは、藤田譲瑠チマ(横浜)だ。

 今大会ではボランチやインサイドハーフで起用され、チームの舵取り役として活躍。豊富な運動量でプレーエリアの広さも見せ、自分よりも体格の良い相手からボールを奪い続けた。リスク管理も素晴らしく、的確な位置取りでピンチの芽を未然に刈り取った場面も少なくない。攻撃面ではビルドアップに関わりながら、隙あれば前線に顔を出す。数字には表われていないが、攻守のつなぎ役としてプレーのクオリティは頭ひとつ抜けていた。
 

 また、見逃せないのが藤田の統率力。U−23クロアチア代表との初戦(〇1-0)とU−23サウジアラビア代表との優勝決定戦(〇1-0)でキャプテンマークを巻き、“大岩ジャパン”のリーダー役を全う。選手への気配りや声掛けはもちろん、主審に対してもキャプテンとして意見を伝えるなど、そうした振る舞いもU-21代表の中ではずば抜けていた。

 ただ、藤田も横浜で今季ここまで、リーグ8試合中3試合しか先発出場を果たしていない。成長曲線を加速させて早期のA代表入りを目指すのであれば、レギュラー定着は必須だ。

 そのほかでは、鈴木が安定したパフォーマンスを見せていた。所属クラブではレギュラーを張っており、実績は申し分ない。だからこそ、求められるのは結果だろう。

 鈴木は攻撃の選手だ。今大会でも身体の強さを生かした突破で局面を打開する場面もあったが、得点には絡めていない。課題を本人も理解している。「A代表の大事な試合が海外であったとしたら、そういうところでパッとパフォーマンスを出せないと結局は評価されない」とは鈴木の言葉。さらなる成長を果たすためには結果が重要になる。
 
 逆に鈴木とともに1月のA代表候補合宿に参加した経験を持つ荒木は、今大会で結果を残した。ここぞという場面でアイデアに富んだパスを供給。クロアチア戦では芸術的なラストパスで先制点をお膳立てし、ネットを揺らした小田裕太郎(神戸)からも「イニエスタかと思った」と賛辞を送られるほど素晴らしいアシストだった。

 だが、守備では強度不足を露呈。スタメン出場を果たしたU−23カタール代表との第2戦(〇2-0)はトップ下、サウジアラビア戦では途中から出場して左サイドでプレーしたが、いずれも球際で物足りなさを感じさせた。攻撃面でセンスを感じさせる一方で、守備面を考えると起用法が限定される印象が強い。攻撃でも守備でもチームに貢献できる選手になることが、A代表入りへの近道になるはずだ。

 現状ではA代表に相応しい選手はいない。しかし、東京五輪世代も発足当初はA代表でプレーできそうな選手はほとんどいなかった。海外遠征や所属クラブで経験を高めながら、力を蓄えた先に掴み取ったのだ。今まだ非力かもしれないが、可能性は無限大。ドバイカップを経て、今後彼らがどのようなプレーを見せるのか注目したい。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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