「なぜ日本なのか」セレソン対森保Jの強化試合にブラジル人記者が苦言! 国内紛糾の一戦が組まれた背景とは?【現地発】

「なぜ日本なのか」セレソン対森保Jの強化試合にブラジル人記者が苦言! 国内紛糾の一戦が組まれた背景とは?【現地発】

日本とブラジルが対戦するのは2017年の11月以来となる。(C)Getty Images



 ブラジルと日本の強化試合が決定した。

 セレソンのチームコーディネーター、ジュニーニョ・パウリスタによれば、この一戦の話はカタールでの組み合わせ抽選会直後から持ち上がっていたという。

 日本はブラジルにとっては験のいい場所だ。この国で行なわれたトヨタカップでは多くのクラブチームが世界王者に輝いているし、なにより20年前の2002年、ブラジルは日本でワールドカップを勝ち取った。W杯の道のりをまた日本からスタートするのも悪くはないだろう。

 しかし、ブラジルは、この日本遠征を手放しで喜んではいられない。
 
 ブラジルは今回の南米予選を順調に突破した。世界でもトップ3の早さでカタール行きを決め、1試合を残しながら(未消化のアルゼンチン戦)、南米予選史上最高の勝点(45)を記録した。

 だが、忘れてはいけないのは南米には10か国しかないことだ。うち3チームがW杯の優勝経験国(ブラジルの他にアルゼンチンとウルグアイ)で、弱い国はないが、常に同じメンツとばかり戦っている。井の中の蛙である。UEFA加盟国が55もあるヨーロッパとのまるで状況が違う。

 コロナ禍もあって、ブラジルが南米以外のチームと試合をしたのは2019年11月の韓国戦が最後。ヨーロッパのチームとなると、2019年3月のチェコ戦、それ以前はロシアW杯まで遡る。

 つまり、ブラジルは2018年のW杯以降、ほぼ4年間、ヨーロッパのトップクラスの代表チームと戦っていないのだ。世界に出た時、自分たちの実力はどれくらいであるのか。ブラジルは早急に知る必要がある。そのためにも、本大会前にヨーロッパの強豪と腕試しをする必要がある。ただ6月はヨーロッパでネーションズリーグが行なわれるので、日程を調整するのがなかなか難しい。

 それならば、グループステージで対峙するカメルーンに似たアフリカ勢と対戦するのが本筋だ。代表チームが集まり、試合ができる回数は限られている。当然ながら、W杯を見据えて動くべきだ。それなのに、なぜ日本と韓国(正式発表はまだ)とのゲームを組んだのか。

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 ちなみに、ライバルのアルゼンチンは、6月1日にロンドンのウェンブリーで南米王者(コパ・アメリカ)として欧州王者(EURO2020)のイタリアと試合を行なうことが決まっている。これはかなり重要だ。イタリアはW杯を逃してはいるが、それでもヨーロッパの強豪である。

 ブラジル・サッカー連盟(CBF)は2012年から2022年末までイギリスの『ピッチ』という会社と契約をしている。彼らは年間300万ドルをCBFに払い、その見返りとして代表チームの親善試合すべてを仕切る権利を得ている。今回彼らがアフリカよりもより日本と韓国を遠征先に選んだのは、チームのためというよりカネになるからだ。

 これに対してブラジルでは、「弱い相手とやって何の意味がある」「これはただのビジネスだ」といった批判の声が続出している。

 元ブラジル代表でコリンチャンスの10番だったネトは現在解説者となっているが、彼もまたグルーボTVでこのブラジルの選択を皮肉たっぷりに批判した。

「CBFは、なんてすばらしい契約をしてくれたんだ」
 
 この3月にCBFの新会長となったエドナンド・ロドリゲスは、ピッチ社との契約更新はもうないと言っている。

 ただ、日本とっては朗報だろう。ブラジルはネイマールを含む主力選手をそろえて日本に行く。それがピッチ社との契約だからだ。日本代表はブラジルのフルメンバーと対戦してW杯への準備ができるし、日本のファンもスターたちのプレーを生で見ることができるのだ。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。

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