30年目のJリーグ、歴代最強パサーベスト5! 川崎を象徴した“パスの玉手箱”や磐田の黄金期を支えた名手も

30年目のJリーグ、歴代最強パサーベスト5! 川崎を象徴した“パスの玉手箱”や磐田の黄金期を支えた名手も

“J歴代最強パサー”トップ5を選出。左から名波浩、中村憲剛、ラモス瑠偉。(C)SOCCER DIGEST



 2022シーズンで節目の30年目を迎えたJリーグ。その長い歴史の中で、数々の偉大なプレーヤーが日本サッカー界を盛り上げてきた。本稿では、日本リーグ時代から長きにわたり、日本サッカーを追い続けてきたスポーツライターの加部究氏が、ファンの記憶にも残る強烈なインパクトを残した“J歴代最強パサー”を選出。そのベスト5をお届けする。

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【J歴代最強パサー ベスト5】
1位:中村憲剛(元川崎)
2位:ラモス瑠偉(元V川崎ほか)
3位:名波 浩(元磐田ほか)
4位:ビスマルク(元V川崎、鹿島ほか)
5位:遠藤保仁(磐田)
 
 パサーは多士済々の最激戦区である。まず収拾がつかなくなるので、Jリーグで最盛期を迎えた選手たちに絞り込むことにした。

 フェイエノールトの黄金期を牽引した小野伸二(札幌)、セルティックで伝説となった中村俊輔(横浜FC)、早くから欧州が主戦場になった中田英寿(元ベルマーレ平塚)などはもちろん、ポンテ(元浦和)、エジムンド(元東京Vほか)なども除外し、それは世界最高級だった過去を持つジーコ(元鹿島)も同様だ。また名古屋ではフィニッシュに関わる仕事が多かったストイコビッチ(元名古屋)は、個人的にストライカー部門でトップに推している。

 Jリーグを主戦場にしてベスト5に入る選手たちなので、当然クラブは手放そうとするはずがなく、バンディエラに近い存在が並んだ。

 1位は純然たる川崎のバンディエラ・中村憲剛で、そのプレーぶりはパスの玉手箱だった。ビルドアップ段階から渦の中心で絡み、変調も仕上げも長短も自在。スルーパスもサイドチェンジもクロスも絶品だから、当然のようにゴールへのパスも熟達していた。

 タイプは異なるが、パスやゲーム構築の創造性だけを抽出すれば「14番」の先駆者ヨハン・クライフに近いかもしれない。川崎の成長期から同クラブに在籍し、晩年にかけて充実の度合いを加速させた。大卒なのに18年間もプレーし、ラストシーズンも衰えを見せず、これほど引退を惜しまれた選手も珍しい。最後までJリーグと川崎を象徴する選手として輝いた。

 ラモス瑠偉は、もう少しプロ到来の時期が早ければ唯一無二の存在で、それは日本代表でのハンス・オフトのチーム作りが物語っている。東アジアとアジアカップを制し、ドーハの悲劇での幕引きまで、日本代表の大躍進はラモスを抜きには語れなかった。

 だが、アマチュア末期は、さらに多彩なドリブルも含めて躍動し、危険を察知すれば全力疾走で魂を見せつけた。歴史を遡ればリベロからFWまでこなすオールラウンダーで、長身のラモスが繰り出すドリブルや必殺スルーパス、ワンツーは、判っていても相手は読み切れなかった。
 

 3位は磐田の黄金期にチームの中核でプレーした名波浩。トップ下に始まり、日本代表では加茂周監督の依頼で1列降りるが、パスの精度や創造性はまったく損なわれることがなかった。もし高校生のときにプロが創設されていたら、欧州での成功まで上り詰めていたかもしれない。2002年に磐田でチームメイトの高原直泰がJリーグMVPと得点王に輝いたときの名波のコメントが、いかにも美学を表わしていた。

「滅多に『行って来い』のパスは出さないけれど、当時の高原はそういうパスも決めてきた」

 要するに名波のパスは、得点者の負担を極限まで減らして決めさせてしまうものだった。逆に「行って来い」とはストライカーの能力に託したパスだ。名波はそこに走り込んで触れればゴールが決まるパスにこだわった。中山雅史がワンタッチゴールを量産できた理由だ。
 
 4位はビスマルク。20歳で1990年イタリア・ワールドカップのブラジル代表に選ばれた俊英なのに、23歳の若さで来日。最初はヴェルディの中核を担い、後半は鹿島時代の幕開けを牽引し、タイトル請負人の役割を果たした。際立ったファンタジスタではないが、とにかく精度が高く、ミスが少なくて安定性が群を抜いた。ただ、もしブラジル代表で10番をつけることになれば、平凡の誹りを受けた可能性もあるので、おそらくJリーグで範を示す役割は悪い選択ではなかった。

 そして5位が遠藤保仁。もともとパスも含めた技術の精度には定評があったが、イビチャ・オシム時代の日本代表でモビリティも高まり伝説の達人になった。選んだ5人の中で唯一の現役で、日本代表に不可欠のJリーガーという意味では、最後の世代となりそうである。

 だがこれだけ秀逸な5人を選出しても、甲乙をつけがたい名手たちは、まだ溢れている。いまでも千葉の練習場を覗けば、ユン・ジョンファン監督が模範を見せているし、仙台で長く貢献してきた梁勇基も是非推したい名パサーだった。さらにはショートパスの名手が目立つなかで、遠くが見えてピンポイントのパスを繰り出せる広島の青山敏弘も忘れてはいけない選手だと思う。

文●加部 究(スポーツライター)

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