“不死鳥”長谷部誠が掴んだ13年ぶりのCL切符。妥協を許さない男が「来た時は毎年残留争いをしていた」フランクフルトを変えた【現地発】

“不死鳥”長谷部誠が掴んだ13年ぶりのCL切符。妥協を許さない男が「来た時は毎年残留争いをしていた」フランクフルトを変えた【現地発】

鎌田大地(左)とともにEL制覇に貢献した長谷部(右)。(C)Getty Images



 ヨーロッパリーグ(EL)優勝を決めたピッチでキャプテンマークを巻いていたのは長谷部誠だった。今季はレギュラーとして絶対的な存在だったわけではない。出場機会もここ数シーズンでは一番少ない。それでも、起用されたときには必ず高いパフォーマンスでチームに貢献し続けてきた。

 長谷部誠の不死鳥ぶりは、褒める言葉が見つからないほどだ。3バックのセンターでレギュラーとして欠かせない存在だったマルティン・ヒンターエッガーが怪我で離脱。レンジャーズとのEL決勝では代わりに起用されたトゥータが試合中に、しかも失点のシーンで負傷退場した。そのチームの核となるポジションを、難なく埋めたのが長谷部だった。

 ここまでの道のりは長かった。

「僕がフランクフルトへ来ることになった時は、毎年のように残留争いをしていましたから。いまのチームは、これまで僕がプレーしてきた中でもベストチームだと思います」

 2020年に『スポーツビルト』紙の取材にそう答えていた。移籍してきた翌年の15-16シーズンにはブンデスリーガ16位で2部3位との入れ替え戦を戦っていた。相手は古巣のニュルンベルク。辛くも残留を果たしたものの、とても明るい未来が待っているというような状況ではなかった。

 そんなフランクフルトがここまで来たのだ。毎年のようにどんどん壁を乗り越えていく。17-18シーズンにはドイツカップ優勝。決勝ではバイエルンを打ち破っての戴冠だ。翌18-19シーズンはELで快進撃を見せる。準決勝で強豪チェルシー相手にPK戦で涙をのんだが、その情熱的な戦いにはドイツ国内外から多くの称賛を浴びた。

 その中心にはいつも長谷部がいた。ピッチ内外で先頭を切って走り、チームを引っ張り続けてきた。どんな試合後でも満足しきるなんてことはない。いつも向上心と野心が心の中にはある。自分に厳しく、味方にも高い要求をするし、厳しい言葉もぶつける。

【動画】フランクフルト主将が優勝カップを掲げる歓喜の瞬間! 長谷部と鎌田も喜び爆発
 例えば19-20シーズンのELグループ最終節ですでにグループ最下位が確定しているギマラエスにホームで2-3と敗れたことがあった。フランクフルトは決勝トーナメント進出を決めてはいたが、試合後のミックスゾーンでも表情は険しいままだった。

「ほっとしたというよりは、悔しさとかそういうのよりも、怒りがありますね。この戦い方では決勝トーナメントにいってもなかなか、勝つのは難しいかなと思います。はっきり言ったら練習はできないので、メンタリティのところを突き詰めていくしかないですね。やっぱり、選手個々のメンタルの見せ所だと思うし、こういう苦しい中でも踏ん張れるか踏ん張れないかというのは、その選手の良さでもあると思うので。チームとして踏ん張り切れてないというのは、そこが見せられてないのかなと思います」

 ただ、それは期待の裏返し。地元紙のインタビューで次のように答えていたことがある。

「アイントラハト(フランクフルト)はバイエルンに次ぐドルトムント、ボルシアMG、ライプツィヒといったグループに入って行けると思っています。でもそこへたどり着くためには毎年インターナショナルな場(欧州カップ戦)へ出場し続けなければならない」

 チームとしてのポテンシャルは間違いなくあると信頼している。だからそれを発揮できないことがもどかしい。まだ若いから、経験が少ないからというのを周りが言うならまだしも、選手が言い訳に使ってはならないと戒める。
 

 プロ選手として試合で最大限のパフォーマンスを発揮するための準備をどんな時でも怠らない。今年2月に異例ともいえる5年契約にサインした時には、残り1年は選手として、それから指導者としてというのが規定路線のように報じられたりもした。

 でもだれがわかる? だって長谷部なんだから。「一般的に」とか「常識的に」とかは通じない領域に入っているのだ。本人にプレーへの意欲がある限り、いつまでも貴重な戦力なのだ。

 コロナ禍で無観客試合を余儀なくされていたころ、次のように話していたのが印象的だ。

「無観客のスタジアムは個人的にがっかりしているし、近いうちにまたファンがスタジアムに来てくれることを祈っています。感情や雰囲気がやっぱり欠けますから。ファンのために恩返しをしたい。ファンに感謝をしているんです。インターナショナルな舞台をファンにプレゼントしたい。またヨーロッパを一緒に回りたい」
 
 今シーズンはELで頂点まで駆け抜け、そして来季はついにチャンピオンズ・リーグ(CL)に参戦することになる。CL。それは38歳となったいまでも長谷部がずっと胸の中で温め続けていたものだ。

「みんな夢を見ることはできるし、それを信じることも、手にしたいと思うこともできます。僕もそうです」

『スポーツビルト』紙のインタビューで答えていたこの言葉が、現実のものとなった。夢を見続け、信じ続け、そのために日々の努力を欠かさずにし続けた男が手にした夢。来シーズン、ヴォルフスブルクでプレーした09-10シーズン以来、実に13年ぶりとなるCLの舞台が待っている。

文●中野吉之伴

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