【WEリーグベスト11選定】初代女王のI神戸から最多4名! 得点王の菅澤や全試合フル出場の長野など! MVPに推すのは…
2022年05月26日 06時00分サッカーダイジェストWeb

西森氏が選んだWEリーグベストイレブン。※各ポジションの下段はサブ。(C)SOCCER DIGEST
日本初のサッカー女子プロリーグとして昨秋にスタートした『WEリーグ』。5月22日に全日程が終了し、INAC神戸レオネッサが初代女王に輝いた。本稿では今季の戦いを振り返り、シーズンベストイレブンを選定。加えて、後半戦のベストイレブンも選んだ。際立つ活躍を見せた選手たちを紹介する。
選定者=西森彰(フリーライター)
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まずは前線から。得点王争いは最終節に、I神戸の田中美南がハットトリックを達成して12得点とした一方、三菱重工浦和レッズレディースの菅澤優衣香が2ゴールを決めて突き放し、14得点でWEリーグ初代得点女王に輝いた。
田中が大宮アルディージャVENTUS戦(〇5-2)で試合を動かす先制点、菅澤が日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦(△2-2)で終盤の勝負所でのゴールと、お互いに持ち味を発揮。このふたりとの得点王争いで最後までしのぎを削ったサンフレッチェ広島レジーナの上野真実は、後半戦に爆発して11得点を記録。チームを6位に導いた。
今回は選外としたが、WEリーグの開幕第1号弾を決めたI神戸の髙瀬愛実も印象的だった。第5節の東京NBとの大一番で決勝ゴールを挙げ、1-0の勝利に貢献。開幕4連勝でシーズンの流れを決した。最終戦でなでしこリーグを含めたリーグ通算100ゴール目を奪うなど、節目で働いた。
右サイドでは東京NBの植木理子も選出。彼女の背中を追った、ともに10代と若い山本柚月、藤野あおば(いずれも東京NB)は積極的な仕掛けで存在感を示し、中嶋淑乃(広島)のドリブルや、宮澤ひなた(マイナビ仙台レディース)のスプリントも光った。
後半戦ベストイレブンでピックアップした祐村ひかる(ちふれASエルフェン埼玉)は、攻撃力がさらに増した印象だ。矢形海優(マイ仙台)のプレーも小さくないインパクトを放っていた。
次は中盤。I神戸の星川敬監督が最も重宝したのは伊藤美紀で、10年前の中島依美と同様に、働き場所を試合ごとに変えながら、高い要求に応えていた。成宮唯や阪口萌乃ら、与えられたタスクをこなせる選手の存在が、今季の成績に直結した。
浦和の猶本光は、FKによる得点機演出など、皇后杯から後半戦にかけてのチームのV字回復に貢献。WEリーグ初の国立開催となった21節のI神戸戦(〇1-0)で決勝弾を挙げた安藤梢ほか、柴田華絵や塩越柚歩など浦和は中盤も充実していた。またAC長野パルセイロ・レディースでは、肝付萌が多くのポジションをこなして、チームの台所事情を助けた。
マイ仙台の長野風花は、チームで唯一の全試合フル出場選手で、苦しい時間帯になるほど存在感を増した。勝負に淡白だったチームにもラスト3戦では粘りが生まれ、来季が楽しみとなる戦いぶりだった。
U-20日本代表候補にも選ばれているEL埼玉の吉田莉胡は、全試合に出場してチーム最多の4得点を記録。年代別代表は通過点のはずだ。シーズンを通して右サイドで抜群の安定感だった東京NBの清水梨紗と、皇后杯以降、SBとFWの二刀流で爆発した浦和の清家貴子は甲乙つけがたい。
長く感じた第 11 節以降の約3か月間のウインターブレイクは、後半戦から新戦力がフィットする土壌にもなった。1月にノジマステラ相模原へ加入した杉田亜未は、判断の良いプレーで脇阪麗奈ら周囲の選手のパフォーマンスをも良化させた。
杉田同様、冬の移籍市場でチームに加わった林みのり(大宮V)、三浦桃(EL埼玉)も主力級の働きを見せている。藤枝順心高出身の奥津礼菜(AC長野)、千葉玲海菜(千葉L)も冬を越して覚醒した。
最終ラインでは、I神戸の三宅史織は、売り出し中の新人・竹重杏歌理らと意思疎通を図り、9年ぶりの国内リーグ戦制覇にたどり着いた。千葉Lには市瀬千里らリーグ屈強のDFが揃い、両翼を下ろした5バックで守り倒しにかかると、相手に崩されるイメージが湧かなかった。
長いシーズンの中で上昇曲線を描いた大宮Vの有吉佐織は、鮫島彩、乗松瑠華らとチームを支えた。佐々木繭(浦和)、高平美憂、万屋美穂(ともにマイ仙台)、北川ひかる(アルビレックス新潟レディース)らには、代表争いへの参戦機会を増やしてほしい。
浦和の南萌華は、ハードマークとオフサイドトラップを使い分けて“国立決戦”でも躍動。手詰まりの局面で劇的なゴールを奪った高橋はな(浦和)と五嶋京香(AC長野)も評価。遠藤優(浦和)や宇津木瑠美(東京NB)など、1試合ごとの出場時間が短いスーパーサブ、クローザーにも拍手を送りたい。
GKでは、I神戸の山下杏也加が、僚友の献身にも支えられて開幕から8試合連続の無失点で、チームの独走状態を作り上げた。相手に研究された終盤は失点も増えたが、ともに1-0で勝利した前半戦の東京NB戦や後半戦の千葉L戦など、シーズンのカギになる試合で勝利を引き寄せた。
千葉Lの清水栞は、最終ラインと協力しながら、半年あまりの短期間で堅陣を構築。マイ仙台の松本真未子も、好セーブで再三、チームを救った。
WEリーグのベストイレブン、MVPなど公式表彰選手は、多くの試合に出場した選手間の投票で決定し、6月7日に行なわれる「2021-22 WEリーグアウォーズ」で発表される。果たして投票結果はどうなるのか。
筆者はGKの山下をMVPに推すが、シーズンを見守ったファン・サポーターにも、それぞれのベストイレブン、MVPがいるはず。ひとりずつ名前を書きだして、ファン同士で見せ合ったり、投票結果と照らし合わせたりして、ファーストシーズンを最後まで楽しんでみてはいかがだろうか。
文●西森彰(フリーライター)
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