【川崎】今季3度目の4失点で大敗。リーグ3連覇を目指す王者に何が起こっているのか

【川崎】今季3度目の4失点で大敗。リーグ3連覇を目指す王者に何が起こっているのか

ホームで湘南に敗れた川崎。次節はアウェーで京都対戦する。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



[J1第15節]川崎0−4湘南/5月25日/等々力陸上競技場

 昨季リーグ戦2敗だった王者が、早くも今季3敗目を喫した。しかも敗戦した試合はすべて4失点だ。

 昨季の後半戦も苦戦はしたが、ここ2年の独走優勝が異次元すぎたとは言えるのだろう。ただ、今回の湘南戦のように失点するとタガが外れたように崩れてしまう様はやはり心配になる。

 2月23日の9節・横浜戦(アウェー/●2-4/日程の関係で先立って消化)、4月2日の6節・C大阪戦(ホーム/●1-4)、そして湘南戦ではデジャブのような光景が広がっていた。

 DF山根視来も「今年は連続失点することが多くて、そうなると試合を難しくしてしまうし、相手がやりたいようにできる。僕たちが本来やりたいことをやられてしまう展開になってしまう。そこの悪い流れの切り方を、もう3回目なので、やっていかなくてはいけないと思います」と振り返る。

  ACLでまさかのグルーステージ敗退を喫したチームはしかし、逞しさを増し、悔しさをぶつけるかのように、帰国後の4試合は3勝1分と結果を残した。そのすべては無失点で、ACL前の一戦を含めた5試合連続のクリーンシートはクラブ新記録である。

 アウェーの神戸戦(5月18日)のように試合終了間際にCKから決勝点を奪う(〇1-0)勝負強さも示しただけに、苦しみながらも勝ち切る王者らしさを取り戻したーーそういった印象も感じられていたほどである。
 確かに湘南戦は苦戦するいくつかの背景はあった。前節のアウェーの鳥栖戦ではVARが介在したジャッジでキャプテンのCB谷口彰悟が退場処分となり今節は出場停止(同じく4失点した横浜戦、C大阪戦も谷口は出場していたが……)。マレーシアでのACLからの帰国後も試合が続き、湘南戦の前はアウェー連戦を戦ったこと(神戸戦→鳥栖戦)。疲労は溜まっていたはずである。

 ただそうしたシチュエーションを加味したうえでも、4失点での敗戦は、やはり大きな衝撃と言える。「勝ちながら修正」を合言葉に、一歩ずつ課題を改善してきたチームだからこそ、同じ轍を踏み続けている点には大きな違和感を覚えるのだ。

  鬼木達監督は湘南戦後、選手を慮りながら、自らのマネジメントの反省を口にした。

「選手は自分がやってほしいところ、アグレッシブにということをスタートからやってくれました。そういう意味でいうとゲーム全体のところや、試合中のプランなどを自分がもっとマネジメントできれば良かったと思っています。そこは自分の力不足かなと感じます。選手一人ひとりの頑張りをもっとつなげられるようにしていかないといけないと思っています」

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 連続失点の要因は様々あるだろう。

 山根に訊けば「前がかりになって、ボールの取られ方が悪かったりするところがある。最近はやっぱり点が取れていないので。チームとして3点取ることを目標に掲げていますが、取れていないので。そこのちょっとしたズレみたいなものが、失点すると大きくなるのかなと感じています」との返答があり、鬼木監督は修正点を含めてこう話す。

「焦って早く取り返さないといけないという思いから連続してミスが出る時もあります。そのなかでも冷静に戦い、1失点や2失点であれば、十分ひっくり返すだけの圧力はかけていけるはずです。そこの連続失点というのは自分たちから崩れていったかなと思いますし、メンタル的なタフさをつけていかないといけないと考えています。サッカーはアクシデント的なことで失点はありますが、取られたからといって、そこで切り替えられるかどうか。そこは伝えながらやっていきたいです」

 事実としてあるのは、独走優勝したここ2年のように相手を圧倒するサッカーを現時点ではできていないということ。

 ただそれは2021年は年明けに守田英正、夏に三笘薫、田中碧、年末に旗手怜央が海を渡り、2020年限りで大黒柱の中村憲剛も引退した点を踏まえれば、予想できていたこと。特に今季に向けては、オフに他クラブからの補強はふたりだけ(チャナティップと瀬古樹)にとどめ、5人のルーキーを加えるなど、世代交代を含めてひとつの過渡期を迎える可能性が大いにあった。

 その意味で長期離脱中のジェジエウに加え、大島僚太、登里享平といった川崎のサッカーを体現し、周囲に伝えられるキーマンが怪我に倒れたのも痛かった。

 
 指揮官もシーズンに臨むうえでこう話していた。

「昨年のオリンピック後に(三笘)薫、(田中)碧、そして(旗手)怜央がシーズンの終わりに海外移籍しました。代表クラスの3人がいなくなったわけですから、力をどうやって高めていくか。すべての力をすぐにつけるのは難しいですし、トレーニングをしていくしかありません」

 主力が抜けた状況で、改めてチームとして一歩ずつ上積みをしていく段階。それが現状だろう。ポジティブに考えれば、選手たちの成長を含め、伸びしろを残していると捉えられる。

 ただし即効性は薄いだけに、今後も我慢の戦いが続くはずである。今週末(5月29日)のアウェー・京都戦も難しい展開が予想されるが、鬼木監督はどう舵を取るか。4失点で敗れたC大阪戦の後には、磐田戦(△1-1)を挟んで、柏戦(〇1-0)ではスタートから従来の4-3-3ではなく、よりバランスの取れる4-2-3-1を選択した。今回もそうした変化を加えるか。

 大敗から一夜明け、麻生グラウンドでは各選手がリカバリーをしながら意見を擦り合わせる姿が見られた。もっとも全体の雰囲気は明るく、敗戦を引きずる様子はなかった印象だ。

 全体練習後には鬼木監督とキャプテンの谷口がピッチに座りながら長い時間、話す場面も見られたが、各々で修正点を確認しているのだろう。中3日で迎える京都戦まで準備期間は限られるが、これまで見せてきたような切り替えを表現できるか大きなポイントである。

 今季のリーグ戦で2点以上を取れたゲームはなく、攻撃面の精度、迫力不足も不安材料に挙がる。だが、これまで通り自らのスタイルを変えずにひたむきに挑み続けた先に新たな栄光が待っていると今は信じたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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