香港育ち、12歳で単身渡英の前田ハドー慈英。異色の経歴を持つ右SBは「自分の心は日本にある」と意欲【U-19代表】

香港育ち、12歳で単身渡英の前田ハドー慈英。異色の経歴を持つ右SBは「自分の心は日本にある」と意欲【U-19代表】

U-19代表初選出の前田。「代表のユニホームを着れることは光栄」と話す。目標とするのはアーセナルの冨安だ。写真:松尾祐希



 香港生まれ香港育ち。12歳からイギリスに渡り、サッカーの“母国”イングランドで実力を磨いてきた。日本で一度もプレーしていない異色の右SBにとって、初の代表活動は自身の価値を示す絶好の機会だ。

 第48回モーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会)に出場するU-19日本代表が、5月27日から現地で活動をスタートさせている。同日の午前中にフランスに入り、初日のトレーニングは夕方から行なわれ、負荷を掛けながら1時間半ほどの練習で選手たちは汗を流した。6月とは思えない日差しが照り付けるなかで存在感を示したのが、イングランドのブラックバーンでプレーするDF前田ハドー慈英だ。

 日本語、英語、中国語を操る前田は、初めて顔を合わせる仲間たちの輪に溶け込むと、パスゲームでも好プレーを披露。機敏な動きで相手にプレスを掛け、正確なパスで仲間にボールを届ける。

「初めて代表でプレーするのは苦労する。自分だったらドキッとしてしまう」と冨樫剛一監督が話した通り、初の代表で力を発揮できない選手は珍しくない。だが、前田は緊張を微塵も感じさせずスムーズにプレーし、むしろ楽しむ余裕すらあったという。

「イングランドではプレッシングスタイルで戦うチームはあまりないし、うちのチームはカウンターのスタイル。自分が今までやってきたスタイルとは違うけど、チャレンジが好きなので楽しめています」

 日本人の母とイギリス人の父を持つ前田は香港でキャリアをスタート。2歳の頃からサッカーに触れ、今季のACLで神戸と対戦した傑志FCの下部組織で育った。転機になったのは12歳の時。学業面も考慮して単身で渡英する決断を下す。そのタイミングでブラックバーンのテストに合格し、強豪クラブで研鑽を積む機会を得た。
 
 ボランチからCBにコンバートされた加入当初はフィジカル面で苦労し、コーチから指摘されるケースも少なくなかったという。それでも地道にトレーニングに励み、守備の強度を改善していく。

 2年前からは右SBで起用され、昨季はU-23チームでプレーするまでに成長を遂げた。前田の目標はアーセナルのDF冨安健洋。「同じ右SBなので映像で毎週のように見て勉強している」と話し、憧れの日本代表DFをロールモデルにさらなる飛躍を目ざしている。

「自分のプレーを見せたい。仲間に特徴を分かってもらい、理解してもらいたいし、チームメイトと仲良くすることも大事。大会をすごく楽しみにしている。この経験を持ってもう一度代表に選ばれ、成長したいと思う」

 モチベーションを高めている前田がどのようなプレーを見せるのか。「自分の心は日本にある。2歳の頃から日本代表のユニホームを着て応援していた。だから代表のユニホームを着れることは光栄」と話す注目株のプレーから目が離せない。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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