「めっちゃ楽しみ」だった初戦で殊勲弾の北野颯太。足を止めずに戦い続けたのは成長の証だ【U−19代表】

「めっちゃ楽しみ」だった初戦で殊勲弾の北野颯太。足を止めずに戦い続けたのは成長の証だ【U−19代表】

アルジェリアとの初戦で値千金の決勝点を挙げた北野。GKとの1対1で「冷静にコースを見て、シュートを打てた」と振り返る。写真:松尾祐希



 相手に何度潰されても立ち上がる。序盤には相手のチャージに声を荒げる場面もあったが、虎視眈々とゴールを狙っていた。

 5月31日、U−19日本代表はモーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会)の初戦で、アルジェリアに1−0の勝利を収めた。

 この世代にとって、国際試合は実に2年半ぶり。アフリカ勢と対戦した経験も数えるほどしかない。序盤からアルジェリアに押し込まれ、何度も危ないシーンがあった。

 選手たちはピッチ内で戸惑い、フィジカルの強さを活かして戦う相手になかなか対応できない。DF田中隼人も「Jリーグにも大きくて強い選手はいるけど、あそこまでリーチは長くない」と難しさを感じていた。

 これぞ国際試合――相手とバチバチにやり合うタフなゲームとなるなか、チームを救ったのはMF北野颯太だった。4−2−3−1のトップ下で先発出場を果たしたアタッカーは、57分に大仕事をやってのける。ルーズボールがアルジェリアの最終ライン付近に飛んでいくと、相手のCBが目測を誤る。北野はその隙を見逃さなかった。うまく潜り込んで裏に抜け出し、GKとの1対1に持ち込み、左足シュートでゴールを射抜いた。
 
「結構、1対1は苦手やったんで。リーグ戦も結構外しているというのもあって、落ち着いて決められたのは自信になったのかな。冷静にコースを見て、シュートを打てたので良かった」

 課題の形からネットを揺らし、試合後の取材対応でも言葉に自信が漲っていた。

 高校3年生ながら、北野はすでにトップチームでプレーしている。C大阪U−15時代から将来を嘱望され、技術やドリブルのスキルは世代トップクラスの力を持っていた。その一方で球際やプレー強度は懸念材料で、2019年のU−16アジア選手権予選でも課題を露呈した。

 U−16日本代表の森山佳郎監督から「最後まで戦えない奴は使えない」と言われることもあった。だが、そうした経験を繰り返しながら、一皮も二皮も向けたからこそ今がある。Jの舞台でゴールを奪う選手までに成長を遂げ、U−19代表でもエース候補と目されるまでになった。
 

 そうした意味では、このアルジェリア戦は自身の成長が試されていたのかもしれない。本人も試合前から「めっちゃ楽しみ」と心待ちにしていた一戦は、国内では味わえないものばかりのゲームだった。

「久しぶりに国際試合を経験できて、やっぱり日本でプレーしている時との差が一番大きいと感じた。自分自身、相手のリーチの長さ、フィジカル、足の速さなど、フィジカルのところでやっぱり、久しぶりに『世界やなあ』と感じられた」

 試合の立ち上がりは思い通りにプレーできなかったが、相手のプレーに慣れていくと、徐々に良さを出せるようになる。前半終了間際にはエリア内に進入してチャンスを演出。あわやPKという場面を作り出した。後半の中盤以降は運動量が落ちたものの、泥臭いプレーでチームに貢献。アディショナルタイムに交代するまで、足を止めずに戦い続けたのは成長の証だろう。

 以前、C大阪U−15時代に指導を受けた田島一樹氏(現・横浜ユースコーチ)がこう話していた。

「厳しい環境に置かれ、自分のプレーができない時に他の部分で“らしさ”を出せるか。厳しい状況で戦うこともある。どんなグラウンドコンディションでもボールが取れて、前に運べる選手が上のステージに残っていく。泥臭くやること。これが彼にとって大事になるはずです」
 
 久々の国際舞台で得た自信や経験値は血となり骨となる。もちろん、シュートやパスの精度は改善の余地を残しているが、「めちゃくちゃ楽しかった」と言い切った一戦が北野の成長スピードを加速させていく。

 全てを出し尽したのだろう。試合後はベンチから立ち上がれないほどだった。その中にあった充実感が全てを物語っている。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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