EL制覇の原動力となった鎌田大地、忍耐と地道な成長の5年間。「エリートでない分、我慢できた」

EL制覇の原動力となった鎌田大地、忍耐と地道な成長の5年間。「エリートでない分、我慢できた」

5ゴールを挙げてEL制覇に貢献した鎌田。(C)Getty Images



 フランクフルトのヨーロッパリーグ(EL)優勝に貢献した鎌田大地は、この大会で5得点を挙げ、得点王ランク4位の戦績を残した。「ミスターヨーロッパリーグ」と呼ばれるほどになった25歳には、常に自分と向き合い、課題に散り組み、成長し続けていた物語がある。

「1シーズン通じてプレーする、そして何シーズンもプレーするというのが一流の選手」

 同僚の長谷部誠が鎌田についてそのようにコメントしていたことがある。数試合すごいプレーをできるだけではダメ。1シーズンだけ好調なのでもダメ。どんな選手でもどんなチームでも苦しい時やうまくいかないときがある。一流の選手というのはそんな時でも、いやそんな時だからこそ自分のパフォーマンスをさらに高め、チームを引っ張れるだけのことをやれる選手をいう。鎌田にはそれだけの資質があるというメッセージでもあるのだろう。

 フランクフルトが鎌田を獲得したのが17年夏。開幕直後は当時のニコ・コバチ監督に重用されていたが、ブンデスリーガでまだ実力を発揮することができず、その後ベルギー1部のシント=ドロイデンへレンタル移籍。ここでプレー機会を得て、少なからず欧州サッカーになれたことが飛躍のきっかけとなった。

【動画】鎌田がヨーロッパリーグ準決勝で決めた値千金の決勝ゴール
 2018-19シーズンにフランクフルトへ復帰するとそれから3シーズン、基本的には中心選手として活躍をしている。だが、右肩上がりにうまくいっているわけではない。メンバーを外される時期もあったし、思うようなプレーができない試合もあった。

 鎌田は自分と向き合うことを恐れない。それこそコロナ前で毎試合のようにミックスゾーンで話を聞けていたころは、毎試合のように自分のやるべきことについて話してくれていたし、その次の試合には修正・調整した姿を見せてくれていたものだ。

 フィジカルコンタクトに強くなり、長い距離を走れるようになった。ゴール前に顔を出すだけではなく、自分を経由させることでチームのチャンスメイクに絡むようになった。攻撃だけではなく守備の強度を高めていけるようになった。

 球際でパスコースを切るだけではなく、身体を寄せてボールを奪いきれるようになった。トップ下のポジションだけではなく、サイドでもトップでもインサイドハーフでも自分のクオリティを出せるようになった。
 

 20-21シーズンではリーグで不振に陥ったチームへのテコ入れとして、当時監督だったアディ・ヒュッター監督がシステム変更に着手し、また鎌田自身ケガで離脱していたこともあり、ポジションがなくなった時期があった。

 システムと戦い方の変更がうまくいったのか、チームは勝点を積み重ねられるようになる。でも、自分は試合に出ていない。焦りや憤りだって出てくる。でもそんな感情に飲み込まれず、自分を見失わずに、次に訪れるチャンスを生かすために準備を続けていた。

 そして20年2月、ザルツブルクとのEL決勝トーナメント1回戦で久しぶりにスタメン出場を飾った鎌田は、これまでの鬱憤を晴らすかのように躍動し、ハットトリックの活躍でチームを4-1勝利へと導いたのだ。

「あれだけ使われなかったことは僕自身、『なぜ』って疑問がすごくあった。ただサッカー選手なので、文句だとか愚痴だけじゃなくて、出た時にピッチで表現できないとダメだと思ったので、そのチャンスがきた時にっていうのだけを考えながら。入り込みすぎるのは良くないですけど、すごく本当集中してね、今日に懸けていた。ひとつこう…難しい山を越えられたというか。やっぱり海外に来て思うのは、どんだけ良くても数試合でコロッと(評価が)変わってしまう。今は自分が出たら自信もあるし、まぁ気持ちの面でかなり成長できたかなと思います」
 
 振り返ると鎌田がチームとの契約を23年6月まで延長したのは20年9月。他にオファーがなかったわけでもない。だがフランクフルトへの愛と、このクラブが持つ可能性を信じた。

「僕の代理人の元には、世間的にみればステップアップだろといわれるクラブからの話はあったりしましたけど。正直フランクフルトは去年9位でしたけど、フランクフルト以上のチームを探そうと思ってもなかなか。ドイツでも少ないと思う」

 地元記者から「次のステップは?チャンピオンズ・リーグ(CL)に出場できるクラブ?」と聞かれたときには、「わからないです。フランクフルトがCL圏とれるかもしれないし」と返していた鎌田。あれから約2年。フランクフルトは本当にCL出場権を手にした。

 EL決勝戦では相手にリードを許しても、不運なシーンがあっても、仲間とともに最後まで我慢して、耐えて、それでも前を見て、自分のサッカーを信じて、走って、立ち上がって、戦い続けた。PK戦で右足にゴール右隅に突き刺した後に見せた咆哮は本当に力強かった。そして手にした悲願のELトロフィー。自然に湧き出る感情にまかせて、仲間とともに歌い、抱き合い、泣いて、そして笑った。

「元々小さい時から上手くいってるサッカー人生じゃないので、まぁ中学校の時からそういうのはね、鍛えられていると思う。エリートで来ていない分こうやってね、1年目来た時も上手くいかなかったけど、我慢できたと思う。我慢出来る力っていうのは他の人よりは、まぁ強いのかな」

 以前そんな風に語っていたことが思い出される。我慢して、信じて取り組み続けた先でつかんだ栄冠。新シーズン、世界トップクラスのクラブを相手にピッチで躍動する姿がとても楽しみだ。

文●中野吉之伴



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