大迫勇也が劇的な決勝弾、なぜ神戸は拮抗した試合をものにできたのか。“運”をキーワードに勝因を紐解く

大迫勇也が劇的な決勝弾、なぜ神戸は拮抗した試合をものにできたのか。“運”をキーワードに勝因を紐解く

神戸は清水に2−1の勝利。試合終了間際に大迫が劇的なゴールを挙げた。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部)



 J2降格圏内の最下位神戸と17位清水によるJ1第20節は、神戸が1−1で迎えた90+2分に大迫勇也の劇的ゴールで勝ち越し、2−1で勝利を収めた。

 シュート数は神戸10本、清水9本。前半は神戸が主導権を握り、後半は清水が反撃を見せた。どちらが勝点3を手にしてもおかしくなかった。そのなかで勝敗を分けたのは何だったのか。“運”という曖昧なキーワードを軸に振り返ってみたい。

 最初に運を引き寄せたのは神戸だった。序盤からボールを握って相手陣内に押し込み、武藤嘉紀や汰木康也、小田裕太郎ら機動力の高い選手たちが、アンドレス・イニエスタと絡みながらラインブレイクを試みる。
 
 そして8分、武藤が右サイドを崩してペナルティエリア右から折り返すと、ボールは清水のカルリーニョス・ジュニオに当たって中央の汰木のもとへ。リフレクションした難しいボールだったが、汰木がしっかりと右足でミートさせて先制点を挙げた。

 この場面、リプレー動画を見ると武藤は、イニエスタへ向かってマイナスパスを出していると思われる。それがカルリーニョスの足に当たったことで、コースが変わり、ひとつ飛ばしパスのような形で汰木へと渡った。清水の守備陣はこのイレギュラーなパスに対応しきれず、失点につながったようだ。

 66分、清水の同点ゴールにも運が見え隠れしている。カルリーニョスが上げたクロスをチアゴ・サンタナが決めたシーン。リプレーをスロー再生してみたところ、T・サンタナのトラップしたボールが、神戸の大ア玲央のかかとに当たっているように見える。もし、当たっていなければ、もう少し外へとボールが流れていた可能性も考えられる。清水にとってはラッキー、神戸はアンラッキーな場面だった。

 84分には、右サイドからのアーリークロスにT・サンタナがヘディングで合わせてゴールネットを揺らした。しかし惜しくもオフサイドの判定でノーゴール。今度は神戸がラッキー、清水がアンラッキーだったと言えるかもしれない。
 
 そして最後は、90+2分の決勝点が生まれたシーンだ。ゴール前の混戦から神戸の武藤が放ったシュートは清水の原輝綺がブロック。だが、そのはね返りのボールが、武藤に当たって横へ流れる。清水の片山瑛一がクリアしようとしたが、うまくミートせず、ボールは大迫のもとへ。それを大迫が反転シュートでゴールへと突き刺した。この場面ではいくつかのラッキーが重なっていた。

 運やラッキーを文字にすると、いわゆる“ごっつぁんゴール”のたぐいかと誤解されるかもしれないが、そうではないと注釈を入れておく。この試合でネットを揺らしたすべてのゴールはどれもクオリティが高かった。予測不能のイレギュラーボールを得点につなげるのは口で言うほど簡単ではない。身体が無意識に反応するレベルまで練習や実践を積まないと運を逃すことになる。
 
 試合後、酒井高徳はミックスゾーンでこんなことを話していた。

「しっかりと自分たちの準備ができていて、やることをやっているというのをベースとして持っていれば、ツキが回ってくると思う。そして、ツキが回ってきたときに準備ができているかできていないかが大きいと思う」

 もちろん、敗れた清水の準備ができていていなかったと言っているのではない。それは幻のゴールを含め、T・サンタナの得点が物語っている。ただ、試合は神戸が勝った。少しだけ準備で上回ったということかもしれない。

取材・文●白井邦彦(フリーライター)

【関連動画】終了間際の劇的弾! 大迫勇也がゴール前の混戦からボレーで突き刺す
 

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