R・マドリーに見る、補強で大枚をはたく意味。アザールやヨビッチら失敗例もあるが…

R・マドリーに見る、補強で大枚をはたく意味。アザールやヨビッチら失敗例もあるが…

マドリー移籍後は鳴かず飛ばずのアザール。(C) Getty Images



 ラ・リーガ王者に返り咲き。14回目の欧州王者も戴冠したレアル・マドリーは、ライバルのFCバルセロナと比べて、補強面でうまくいっているように映る。
 
 バルサはここ数年で獲得した選手の大半が振っていない。それは遠回しな言い方で、ひどい表現をすれば「失敗」「ごく潰し」「役立たず」ばかり。ブラジル代表MFフェリッペ・コウチーニョはようやく売り払えたが、どれだけのお金を使ったか。フランス代表FWアントワーヌ・グリエーズマンも価値は暴落した。

 今も移籍を拒み、チームに居座る「寄生虫」のような選手もいる。最低レベルの人事だ。昨シーズン、ノンタイトルに終わったのも自明の理と言えるだろう。
 
 一方、実はマドリーもすべての選手獲得が成功しているわけではない。
 
 例えば、今夏に退団したウェールズ代表FWガレス・ベイルは賛否が分かれる。移籍金120億円は、スペイン国王杯決勝やCL決勝での劇的なゴールのインパクトで、どうにか返したと言える。しかし年俸は40億円と言われていたにもかかわらず、19-20シーズンから低調で、20-21シーズンはレンタルも舞い戻り、昨シーズンは散発的な出場で、クラブへの忠誠心も感じさせず(けがで欠場した直後、代表招集を受けて出場)、ファンの不評を買った。

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 また、ベルギー代表MFエデン・アザールには移籍金だけで120億円以上を費やしたが、そのパフォーマンスは率直に言って「期待外れ」だった。セルビア代表FWルカ・ヨビッチも70億円以上の移籍金だが、控えFWとしても満足のいくプレーができず、10分の1ほどの価値もない。補強面の失敗がなかったわけではないのだ。

 もっとも、これらの失敗はビッグクラブにとって、折り込み済みと言える。
 
 チームを強くしていく過程で、すべての補強を当てることはできない。サッカーはそれほど見通しがきくスポーツではないのである。最善を尽くしても、失敗はある。それを恐れては、やがて弱体化する。

 スター選手の輝きは、チームを明るく照らす。選手の可能性を信じ、大枚をはたき、クラブとしての市場価値を上げることも大事なマネジメントと言える。大金を使うことは必ずしも悪ではない。ビッグクラブはそこに踏み込むべき時があるのだ。
 
 マドリーは選手獲得合戦において、バルサよりも成功ケースが多かったし、失敗ケースの痛手が少なかった。エデル・ミリトン、ヴィニシウス・ジュニオールのように鳴かず飛ばずのシーズンを過ごし、失敗しかけた選手もいた。しかし円熟のベテランがいたことで、年月を懸けて彼らの力を引き出し、中心選手の一人になった。
 
 常勝をモットーとするクラブは、たとえリスクを懸けてでもスター選手に大枚をはたいて手中に収め、彼らの輝きを味方にする必要があるのだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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