「ゼロで抑えたかった」。柏GK佐々木雅士が噛みしめた“完封勝利”。パリ五輪目ざす大岩Jで正守護神になるための飽くなき挑戦

「ゼロで抑えたかった」。柏GK佐々木雅士が噛みしめた“完封勝利”。パリ五輪目ざす大岩Jで正守護神になるための飽くなき挑戦

柏のゴールマウスを守る佐々木。キム・スンギュの退団で、さらに責任感を強くしている。写真:鈴木颯太朗



[J1第21節]鳥栖0−1柏/7月10日/駅前不動産スタジアム

 試合終了のホイッスルが鳴ると、両手の拳を空に向かって掲げた。雄叫びを挙げ、勝利を噛み締める。

「ウズベキスタンから帰ってきて、失点を重ねることが多かったので……。ゼロで抑えたいという気持ちはすごく強かった」

 柏レイソルのGK佐々木雅士にとって、これ以上の敗戦は許されなかった。

 直近のリーグ戦3試合で7失点。U-21日本代表の一員として臨んだ6月のU-23アジアカップを終えてから再びチームに合流したが、鳥栖戦を迎える時点で3連敗を喫していた。もちろん、全ての失点が自分のせいではない。とはいえ、少なからず責任を感じていたのも事実。無失点に抑え、チームに勝利をもたらすことしか考えていなかった。

 4試合連続で先発出場を果たした佐々木は序盤から冷静にプレーし、ハイボールや最終ラインの背後に蹴り込まれたボールにも冷静に対応。90分を通じて4本しかシュートを放たれなかったため、見せ場は多くなかったものの、巡ってきた守備機会は無難に処理していく。

 攻撃でも正確なキックでショートカウンターの起点となるなど、的確な状況判断でチームにリズムを生み出した。

 最後まで無失点に抑え、チームも19分に奪った武藤雄樹のゴールを守り切り、4試合ぶりに勝点3を獲得。佐々木は今季のリーグ戦において、14節・FC東京戦(0−0)以来の完封、そして待望の“完封勝利”を果たし、仲間と勝利の喜びに浸った。
 
 思い返せば、ここ2か月は様々なことがあった。カップ戦で出場機会を得ていたなかで、FC東京戦ではコンディション不良で欠場した守護神キム・スンギュに代わり、リーグ戦では今季初となる先発出場を飾る。

 そこから3試合連続でスターティングメンバーに名を連ね、チームも2勝1分で好調を維持。心身ともに充実した状態で、 U-23アジア杯が開催されるウズベキスタンへ向かった。

 しかし――。U-21代表では控に甘んじ、招集されたメンバーでは唯一、出場機会が一度も巡ってこなかった。レギュラーを務めた鈴木彩艶(浦和)、柏の下部組織時代のチームメイトでもある小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)の牙城を崩せず、悔しい想いを味わう結果に。
 
 それでも気持ちを切らさず、チームを盛り立てながら、いつ自分に出番が来てもいいように準備を怠らなかった。

 大会中も「いつ大岩剛監督が『佐々木でいこう』と思ってもいいように、自分は良い準備ができているつもり。(練習から)100%でやって、あとは監督が決めるだけ」と口にし、気持ちだけは切らさなかった。だからこそ、クラブに戻っても違和感なくプレーをすることができた。失点が続いたとしてもポジティブな姿勢を崩さない。「負けた試合が持つ意味は自分たちで変えられる」。井上敬太GKコーチから贈られた言葉を胸に、常に前を向いて日々を過ごしてきた。

 帰国後に新たなチャレンジをスタートさせたのもそのためだ。大きな問題点があったわけではないが、セービングの方法を微調整。「もう少し守備範囲を広げたいので、何かを変えてチャレンジしてみたかった」と本人が振り返る通り、さらなる成長のためにスキルアップを追い求めてきた。
 

 直近3試合は悔しい想いを味わったかもしれないが、鳥栖戦の完封勝利で自信を深めたのは確かだ。だが、本当の意味で守護神になるためにも現状に満足している暇はない。7月6日にキム・スンギュがサウジアラビアのアル・シャバブに移籍したため、今までとは立場も責任も変わったからだ。

「試合中のミスがあるので、プレーの質を上げたいし、100%成功させられるようにもっと突き詰めていかないといけない。(ミスに対して)ネガティブになることはないし、チャレンジして、それを成功に変えていければいい」

 絶対的な存在になれば、パリ五輪世代でポジションを掴む可能性も広がってくる。巡ってきたチャンスを無駄にせず、さらなる飛躍を目ざして走り続ける。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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