J1の2位クラブから“代表ゼロ”のサプライズ。鹿島勢はなぜ呼ばれなかったのか?

J1の2位クラブから“代表ゼロ”のサプライズ。鹿島勢はなぜ呼ばれなかったのか?

E-1に臨むメンバーに鹿島勢はゼロ。注目の鈴木も選外となった。(C)SOCCER DIGEST



 7月19日の香港戦から、いよいよ幕を開ける日本代表のE-1選手権。17日から千葉県内で強化合宿をスタートさせる。が、残念ながら初戦の地・鹿嶋を本拠地とし、J1で2位につける鹿島アントラーズ勢はこの時点でゼロ。やや偏りのあるチーム編成になってしまった。

「鹿島も非常にインテンシティの高い、攻守ともにアグレッシブな良いサッカーをしています。鹿島の選手たちも、候補として見ている段階では数名リストアップさせてもらいましたが、選考のタイミングで移籍であったりという理由等々ありまして、選べなかったところはあります」

 森保一監督は13日のメンバー発表会見でこう説明したが、この発言から見えてくるのは、今夏にベルギーのサークル・ブルージュに移籍した上田綺世をどうしても呼びたかった、という切実な思いだろう。

 発表時点でJ1得点ランキングトップの10ゴールを挙げていた上田は、6月4連戦のメンバーにも入っていたし、4か月後に迫ったカタール・ワールドカップ(W杯)メンバーの有力候補とも位置づけられている。国内組のみのE-1では当然のごとく絶対的エースに君臨するはずだった。そのキーマンがこのタイミングで海外移籍に踏み切り、招集不可能になったのは指揮官にとって期待外れだったかもしれない。

 そんな事情もあり、上田不在のFW陣をどうするのかというのは、今回の注目点の1つだった。成長著しい22歳の町野修斗(湘南)が7月2日の名古屋戦で負傷したこともあって、人材難が叫ばれていた。ゆえに「今度こそ鈴木優磨を呼ぶべき」という意見も日に日に高まっていた。にもかかわらず、またしても彼が外れたことで「鹿島ゼロ」がより際立つ格好になってしまった。それは紛れもない事実だろう。

 結局、森保監督が選んだのは、武藤嘉紀(神戸)、西村拓真(横浜)、町野、細谷真大(柏)の4人。西村と町野はメンバー発表時点でともにJ1で8点。7点の鈴木を上回っていて、シンプルに数字が評価されたと見ていいはずだ。

 細谷は2024年パリ五輪世代のエースで、6月のU-23アジアカップでもUAE戦や韓国戦で得点と、重要局面での勝負強さが光った。U-21代表の大岩剛監督も「A代表経由パリ行き」を強く求めていて、それになり得る細谷を押したかったはず。そのあたりを森保監督も汲み取って抜擢したに違いない。
 
 となると、鈴木のライバルは武藤だったはず。武藤は発表時点で5点と鈴木を下回っているが、2018年ロシアW杯のメンバーであり、ドイツ・イングランド・スペインと欧州5大リーグを渡り歩いてきた実績もある。

 加えて言うと、武藤は2019年アジアカップや今年1月の国内組合宿にも招集されていて、森保監督との信頼関係もできている。FW陣に1人はそういう存在がいてほしいと指揮官も感じていたはず。ここ最近、復調傾向という追い風もあって、やはり武藤という選択肢になったのだろう。

 ところが、直近の16日の鹿島対神戸で武藤が右足首を痛めて途中交代。E-1参戦が危うくなった。一方の鈴木は最後の最後までプレー。0−1で迎えた87分の和泉竜司の同点弾をアシストするという大仕事をやってのけた。エヴェラウドと2トップを組んだ鈴木は左右に流れてプレーすることが多く、森保監督が求める1トップ像とはやや異なる印象もあったが、もしかすると追加招集がないとは言えない。そこは様子を見るしかないだろう。
 

 鹿島勢でE-1候補と見られる人材は他にもいた。それは、樋口雄太、三竿健斗、常本佳吾あたりと目される。特に樋口は今季、鳥栖から移籍してきてすぐさまボランチの軸を担うようになるなど、躍進が目覚ましかった分、期待も大きかった。プレースキックの正確さという武器もあり、E-1でぜひ試してほしいという声も関係者の間で高まっていた。

 けれども、6月以降、ベンチスタートが増え、開幕当初の迫力や勢いにやや陰りが見られるようになってきた。加えて、プレースキッカーという点では今回、野津田岳人、森島司(ともに広島)、杉岡大暉(湘南)が名を連ねた。野津田と森島は森保監督の広島時代の秘蔵っ子であり、杉岡も2019年までは「長友佑都(FC東京)の後継者候補筆頭」と言われたレフティ。「彼らがいれば今回は十分」という判断になったのだろう。

 三竿にしても、ボランチと最終ラインを両方担えるユーティリティ性は魅力だが、これまで森保ジャパンに呼ばれた谷口彰悟(川崎)や中谷進之介(名古屋)、畠中槙之輔(横浜)らをしのぐストロングポイントが見えにくい。このため、選外となったと推察される。

 常本にしても攻撃センスは抜群だが、守備面がやや見劣りする嫌いがある。今回抜擢された小池龍太(横浜)のほうが攻守両面での献身性が高く評価されたのだろう。右SBは山根視来(川崎)という国内組で最もカタールに近い存在がいて、CBの大南拓磨(柏)は右もこなせる。そこで常本が選外という判断にならざるを得なかったのではないか。
 
 こうした分析を踏まえて言えるのは、鹿島勢の候補者たちは「他のライバルを外しても絶対に呼びたい」というインパクトに欠けたということだろう。それが「鹿島ゼロ」になった最大の要因ではないか。

 ただ、ここからさらに怪我人が出る可能性もあり、追加招集がないとも言い切れない。森保監督もパリ・サンジェルマン戦を控える川崎フロンターレ、浦和レッズ、ガンバ大阪以外から追加招集をするだろうから、鹿島勢が浮上することも大いに考えられる。上記の通り、鈴木の動向は特に注目されるところだ。

 さらに言えば、選手たちは「森保後」を視野に入れてアピールを続ける必要がある。来年からスタートするであろう新体制の代表に名を連ね、2026年W杯への布石を打つためにも、今から高いパフォーマンスを示し続けることが肝要だ。今回落選した鹿島勢には、中長期的な視点を持って自己研鑽に励んでほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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