アジアの舞台で2ゴールの明治大FW佐藤恵允。U-21代表唯一の大学生は、ウズベクで得た気づきを活かして大きく成長中

アジアの舞台で2ゴールの明治大FW佐藤恵允。U-21代表唯一の大学生は、ウズベクで得た気づきを活かして大きく成長中

U-23アジア杯では「この先」があることも痛感した。写真:安藤隆人



 名門・明治大の背番号10・佐藤恵允(3年)。彼を見ているとスプリントの美しさと力強さがある。特にゼロから1にギアを入れるスピードアップの瞬間は全身からキレを感じる。

 実践学園高校から明治大にやってきた佐藤は、6月にウズベキスタンで開催されたU-23アジアカップにおいて、U-21日本代表唯一の大学生として選出されて注目を集めた。

 グループステージ第3戦のタジキスタンで大会初出場をスタメンで飾ると、初ゴールをマーク。準々決勝の韓国戦では後半から出場し、準決勝のウズベキスタン戦では58分から出場すると、3位決定戦のオーストラリア戦ではスタメン出場を果たし、7分に圧巻のミドルシュートを突き刺して、チームを3−0の勝利に導いた。

 大会2得点の活躍を見せて帰国した佐藤は、今、明治大のエースとして総理大臣杯の関東予選となるアミノバイタルカップを戦っている。

「昨日よりも今日、今日よりも明日と成長したい」

 こう語る彼にとって、初の国際大会となったウズベキスタンでの日々は大きな刺激となった。

「独特な雰囲気を感じましたし、試合中に違う言語が飛び交うのも新鮮な感覚がありました。日本の選手よりもスケールが大きいなと感じる一方で、逆に日本の選手が持っている繊細さやチームワークはあまり見受けられなかった。

 少しのポジショニングは僕らのほうが突き詰めていますし、明治大はそういう細かい立ち位置だったり、球際の強さ、ハードワークを突き詰めている場所なので、明治大でやっていることは十分海外でも通用するなと思いました。だからこそ、僕は日々の練習の中でよりこだわりと意識を持ってやらないといけないと思っています」
 
 今まで対戦してこなかったタイプの選手やチームとの戦いのなかで、自分の良さである突破力や瞬間的な動きで相手を外してボールを収めたり、フィニッシュに持ち込んだりするプレーは披露することができた。周りは全てプロ選手だったが、自分が明治大で積み重ねてきたことの価値も知ることができた。

 同時に、まだまだ『この先』があることも痛感した。プレーをしていくなかで、「これがヨーロッパだったらどうなるのだろう?」という想像力が膨らんでいった。

「ヨーロッパの強豪国はこれにプラスしてテクニックとか個人戦術が高いレベルで加わってくる。現にアジアカップでも韓国のイ・ガンイン(マジョルカ)選手は他の選手とは全く違う印象を受けました。彼はうまいし、速いし、強いと全てを兼ね揃えていた選手で圧倒されました。これがヨーロッパの高いレベルでやっている本当の姿なんだと思いましたね」

 すでに欧州リーグでプレーしているチームメイトの斉藤光毅(スパルタ)からもいろんな話を聞いて、さらに刺激を受けた。

「これから先、もっともっと高いレベルでの戦いになっていくからこそ、僕ももっともっと努力しないと到達しないなと思っています」
 

 アミノバイタルカップでは他の選手の経験を積ませるという意味合いから、途中出場が多かった。だが、総理大臣杯出場がかかった準々決勝の順天堂大戦の大一番ではスタメン起用され、チームも延長戦の末に勝利を収めた。

 続く準決勝の法政大戦でも途中出場だったが、右ウイングと1トップという2つのポジションをこなし、爆発的なスプリントと瞬間的なキレを駆使して、法政大の守備網を苦しめ、3−1の勝利に貢献をした。

「ウズベキスタンで改めて個の技術と周りとの繋がりの重要性を学びました。先ほどイ・ガンイン選手の話をしましたが、韓国というチームで見たら一番個の技術が高いイ・ガンイン選手が周りとうまく繋がれていないように感じました。だからこそ、僕らが勝つことができた。これは明治大で栗田大輔監督が僕らに常に『他者との繋がりこそ重要だ』と言ってくれていたことで、この部分をもっと追求していけば、成長できるとも感じました」

 筆者はアミノバイタルカップでの明治大の試合を2試合取材したが、確かに佐藤は単独で仕掛けるというより、周りのポジショニングを見て中間ポジションを狙って、3人目の動きとしてのスプリントを入れたり、ボールを受けてすぐに周りに預けてから前へ飛び出して行ったりと、連動の中で持ち味を発揮するシーンが多かった。

 印象的だったのは2回戦の日本体育大戦でのワンシーンだ。左サイドで2人に囲まれた佐藤はドリブルで強引に突破を仕掛けると見せかけて、スピードアップしようとした瞬間に動きを止め、DF2人の間を通すループパスをインナーラップしてきた味方に送ると、縦のスペースに一気に加速して行った。
 
「あの場面で自分に2人くるということは、その分、味方へのマークが甘くなるということなのでパスを選択しました。ああいうところを見ることができる余裕を持ってプレーしていけば、引き出しの多い選手になれると思います」

 経験は気づきを生み出し、気づきは人を大きく成長させる。佐藤はまさに今、その曲線の最中にいる。

「まだ大学で突き抜けた選手になれていない。もっと世界で通用する選手になりたいので、そのために今、何をすべきか考えています。長友佑都選手や室屋成選手のような偉大な先輩たちのように『明治発世界へ』を体現できたらと思います」

 大学3年生の新鋭ストライカーはなるべき姿へ近づいていくために、自分の信じる道を全力で駆け抜ける。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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