E-1選手権でもっとも強化の実を上げたのは“最下位”香港代表ではなかったか。モダンな戦術への転換を図り、格上を苦しめた

E-1選手権でもっとも強化の実を上げたのは“最下位”香港代表ではなかったか。モダンな戦術への転換を図り、格上を苦しめた

革新の途上にある香港代表。最終節の中国戦でも堂々たる戦いぶりを示した。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



 東アジアの4か国・地域による男子のE-1選手権は、日本の優勝によって7月27日に幕を閉じた。この大会でもっとも手応えを掴んだのは、3戦全敗で最下位に終わった香港ではないだろうか。
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 朝鮮民主主義人民共和国の出場辞退による繰り上げ出場。6月23日発表のFIFAランキングは145位(アジア25位)と、100位以内の他の3か国に比べれば完全なアウトサイダーだったが、試合ごとに自信をつけていった。初戦の日本戦こそ0−6と大敗したが、韓国に0−3、中国に0−1と、それはスコアを見ても明らかだ。中国に対しては「50分ぐらいまではサッカーをしていたとは言えない」(ヨルン・アンデルセン監督)と鼻息も荒かった。

 中国戦は巨大な“本国”に対して物怖じするどころか、堂々と真っ向勝負で立ち向かった。シュート数も12本対5本と倍以上を放った。しかし、ゴールネットを揺らすことができず、逆に67分、クリアのこぼれ球を中国のベテランFW譚竜(タン・ノン)に拾われ、決勝点を許した。

 ノルウェー生まれでドイツ国籍も持つアンデルセン監督は「一生懸命に追い掛けて、クリアしようとした結果。ミスではない」とFW孫銘謙(スン・ミンチェン)をかばったが、「これもサッカー。ワンチャンスをモノにされて、試合が決まってしまった」と悔しさも隠さなかった。

 香港はいま、昨年12月に就任したアンデルセン監督の下で新たなスタイルを構築する過程にある。前任者の時代までは、強豪を相手にする試合では守備を固め、攻撃はロングボールによるカウンターアタックに頼りがちだった。だが、アイントラハト・フランクフルト(ドイツ)所属時代の1989−90年にブンデスリーガ得点王に輝いたこともある指揮官は、高い位置でのプレスによってボール奪取を狙い、試合の主導権を握るスタイルへの転換を図っている。中国戦後に語った「(選手が)下がり過ぎてしまうのは危険な状況になってしまうので、好きではない。前に行ってゴールを狙うのが重要だ」というコメントに、それは表れている。
 

 今回のワールドカップ予選は2次予選でイラン、イラク、バーレーンという中東の強豪に囲まれて、ひとたまりもなく早期敗退。だが、今年6月のアジアカップ最終予選はグループ2位となって来年の本大会出場権を掴んだ。アジアの檜舞台に立つのは1968年以来、実に55年ぶりのこと。主力選手が負傷欠場し、中国のクラブから選手を招集できず、さらには大会期間中に選手がコロナ陽性となるなど、苦難を乗り越えて手にした成果だった。

「来年のアジアカップでは非常にクオリティーの高い相手と戦わなければならないから、今大会は非常にいい経験となった」とアンデルセン監督。主に国内組で戦った日本と韓国、ほぼ23歳以下のチームを送り込んだ中国。そのような対戦相手に混じって、代表チームとしてもっとも強化の実を上げたのは香港だったかもしれない。

取材・文●石川 聡

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