STVV守護神シュミット・ダニエルの武器は“割り切る力”。カタールW杯でピッチに立つ自信は「もちろんある」【独占インタビュー】

STVV守護神シュミット・ダニエルの武器は“割り切る力”。カタールW杯でピッチに立つ自信は「もちろんある」【独占インタビュー】

ベルギーで4年目を迎えるシュミット。「無失点の試合を昨シーズンより多く残す」と意気込む。写真:シント=トロイデン



 日本代表の6月シリーズでは、パラグアイ戦で約1年半ぶりに代表のピッチに立った。クラブではベルギーのシント=トロイデン(STVV)に所属し、今季4年目を迎えた。欧州で研鑽を積む30歳の守護神に、新シーズンへの意気込み、香川真司の影響力、カタール・ワールドカップを控える現在の心境、“ライバル”権田修一の存在などについて訊いた。

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――7月23日にベルギーリーグが開幕します。新シーズンに向けて、仕上がりは順調でしょうか?(編集部・注/取材は7月19日に実施)

「プレシーズンでは全体的に追い込んで身体をいじめてきてて、コンディションを上げるという部分はちゃんとできています。コンディションの面で不安は全くないですし、モチベーションも、去年より良い成績でシーズンを終えられるようにということを、チームメイトみんなで言っているので、そこに向かって高まっています」
 
――欧州でのプレーは4年目。自身の中でどんな変化がありますか?

「一番変わったのは“割り切る力”です。『今のはしょうがない』とか『ミスも起こるよね』みたいな割り切るマインドは、成長したって言っていいのか分からないですけど、あんまり物事を重く捉えすぎても自分の負担になるだけなので。そこがJリーグにいたときは結構苦労していたので、割り切る力はついたかなと思っています」

――“割り切る力”はどのように身につけたのでしょうか? 海外の選手たちはそういったマインドでプレーしているのですか?

「そうですね。僕にはそう見えます。ミスがあっても自分のミスっていう感じを出さないし、そんな引きずっている感じもない。次々と切り替える選手が多い。そういうことは周りの選手から学んだことかなと思います」

――プレーの面で変化したことは?

「リスクを冒す、冒さない、というところ。例えば、ハイボールに対して飛び出していくとか、ボールを繋ぐ部分では、あまり無理なリスクは冒さないようになってきたかなと思います」
 

――STVVには日本人選手が多く在籍していますが、プレーしやすいのでは?

「そうですね。密なコミュニケーションが取れる選手がフィールドに多ければ多いほどいいし、日常的に支え合っている感覚もあります。海外に来ている感じがしないと思うときもあるんですけど、僕は彼らがいることのメリットは大きいかなと思いますね」

――GKはコーチングなどコミュニケーションがより重要になるポジションだと思います。外国人選手への細かい指示など、難しさもあるのでは?

「細かい指示が瞬時に出せない時はもちろんあります。言葉で、というよりは、仲間のプレーを見て、特長を掴んだうえで、できる限りコーチングしていくという感じです。日本語よりはコミュニケーションの取りづらさはありますけど、そこまで不自由さは感じていないです」
 
――今年1月には香川真司選手も加入しました。欧州のビッグクラブでのプレー経験や、日本代表でも豊富な実績がある選手だけに、チームに与える影響は大きいのでは?

「世界的に有名な選手がいるというのは、みんなにとって自信になることだと思います。真司さんからもらった一言で響く選手もたくさんいます。あと、真司さんが来て思ったのは、練習前の準備をしっかりやる方で、そういう部分を見て刺激を受けている選手はたくさんいると思います。良いものをチームにもたらしてくれていることは間違いないですね」

――香川選手はしばらく日本代表から遠ざかっていますが、今も代表に入っていてもおかしくない実力者だと思います。シュミット選手はどうように感じていますか?

「上手いのは間違いないし、彼自身、ここに移籍して来るまで出場機会になかなか恵まれず苦労していたと思います。でも、ここで試合に出てプレーするたびに、どんどんコンディションが上がっていっていると思いますし、何よりサッカーを一番楽しんでいる感じがします。日本代表にいても不思議ではないし、いるべきだと思いますね」
 

――4試合が組まれた日本代表の6月シリーズで、シュミット選手は2日のパラグアイ戦で約1年半ぶりに代表のピッチに立って、14日のチュニジア戦にも出場。森保ジャパンでの活動を終えた感想は?

「成長できた代表活動だったと思いますし、アピールできた試合もあれば、その逆もありました。満足はしていないですけど、悲観するような内容でもなかった。サッカー選手として代表活動に携れるだけで光栄なことですし、その機会を活かして毎日全力で取り組むことができたので、自分にとっては良い活動になりました」

――パラグアイ戦で日本は、後ろからパスを繋ぎ、しっかりとビルドアップができていたように見えましたが、その点は意識していましたか?

「パラグアイ戦はそこに果敢にチャレンジしましたし、何よりみんながすごく良い位置取りをしてくれるので、僕もやりやすかったですし、そこで上手くリズムを作って、攻撃に繋げられるように心がけていました。そういう意味でパラグアイ戦は上出来だったと思います」

――足もとの技術も高いですし、試合に出たら得意とするビルドアップの部分で強みを出してアピールしようと?

「そうですね。そこはできる、というところは見せたかったです。リスクを負ってまで無理にやる必要はないですけど、できる場面があればできるだけチェレンジしようと思っていました」
 
――試合前に森保一監督から何かアドバイスなどありましたか?

「いつも試合前には、自分のストロングを出して、チャレンジしてほしいと言ってくれます。それで自信を持ってプレーできるし、ありがたいです」

――日本代表とクラブで求められていることの違いはありますか?

「代表のほうがよりビルドアップに関わってほしいという要求は周りの選手から感じます。できるだけフリーな選手を作るから、そこに配給してほしいと。クラブだと、繋げるところは繋ぎますが、無駄なリスクは避ける。チームメイトもサポートしてくれる場合と、前に蹴ってほしいという場合があるので、そこは上手く見極めながらやってる感じです」

――今、日本代表のGKでは権田修一選手が出場機会を多く得ています。シュミット選手にとって権田選手はどんな存在ですか?

「やっぱりシュートストップの能力が長けていると思いますし、リーダーシップがあり、コーチングもすごく細かくて的確。イージーなミスもほぼないし、総合的にかなり能力の高いGK。彼からポジションを奪うのはかなり難しいことだと思います」
 

――カタール・ワールドカップ(W杯)まで残り約4か月となりました。メンバーに入り、正GKの座を勝ち取る自信はありますか?

「自信はもちろんあります。でも、全部の能力をもう一段階上げないとワールドカップでは勝ち抜いていけないと思います。ワールドカップまでに全体的なGKの能力を底上げすれば、チャンスは来ると信じて毎日取り組んでいます」

――特に高めたいと思うスキルは?

「第一にシュートストップの部分、あとはポジショニングの修正。試合の状況に応じたポジショニングだったり、細かい微調整だったりを90分間していかないと、常に良いプレーをするのは難しいので、そこの部分は意識しています」
 
――本大会で戦うグループステージの印象は?

「決まった瞬間は厳しいグループに入ったなと素直に思いましたけど、逆に予選で優勝経験のある国と対戦するのは、決勝トーナメントよりはましかなと思います。予選だからこそ勝てるチャンスも十分にあるはず。楽な試合は一つもないので、みんなの毎試合にかける思いの強さはより出ると思います」

――スペインやドイツ戦でピッチに立つイメージはできていますか?

「イメージまでは沸いてないけど、とにかく無失点。引き分けでもグループステージでは大きい。全部の失点を防ぐのは難しいですけど、それができれば突破するチャンスはあると思うので、失点を0に抑えることは、ピッチに立つ日本のGKには期待されていることかなと」

――最後に、ワールドカップも控えるシーズンへの意気込みを聞かせてください。

「クラブでは全試合に出て、無失点の試合を昨シーズンより多く残すこと。あとはチームの順位をプレーオフ圏内に上げるという目標はあります。代表ではワールドカップでピッチに立つことです」

取材・文●中川翼(サッカーダイジェストWeb編集部)
 

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