なぜバルサは、チェルシー移籍が濃厚だったフランス代表DFクンデを手中にできたのか【現地発】

なぜバルサは、チェルシー移籍が濃厚だったフランス代表DFクンデを手中にできたのか【現地発】

本人の希望通りバルサへの移籍を果たしたクンデ。(C) Getty Images



 2019年夏の出来事だった。セビージャがジュル・クンデを獲得のために投じた移籍金2500万ユーロを巡って、当時20歳でボルドーでの出場が70試合に過ぎない若手DFの獲得にしては高額過ぎるのではないかと記者から質問されると、SDのモンチは「数年経てば分かるよ」と答えた。

 3年後、セビージャは5000万ユーロ+出来高約1000万ユーロでクンデをバルセロナに売却した。ちなみに5000万ユーロ(約70億円)のうち20%はボルドーに還元される。

 この3年の間に、クンデは欧州を代表するDFに成長を遂げた。セビージャの2019−2020シーズンのヨーロッパリーグ制覇と3シーズン連続のチャンピオンズ・リーグ出場権獲得に貢献する一方で、フランス代表として9試合に出場。確固たる地位を築いてきた。

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 セビージャにとっては長期化していた移籍騒動にようやく終止符が打たれた格好だ。本音で望んでいたのは、チェルシーへの売却で、実際、交渉を重ね、口頭では移籍金約5500万ユーロで合意に達していた。しかしそれを文書化する段階になってチェルシーが難色を示し、書類の発行にも応じることはなかった。

 チェルシーがどうして態度を変えたのか、セビージャ側は今なおその理由を把握できないでいる。一方、クンデの意中の移籍先はバルサで、セビージャ側もそのことは把握していた。決め手になったのは、シャビ監督から直接ラブコールを受けたことで、当初からラ・リーガでプレーし続けたいという希望を持っていたクンデにとっては渡りに船だった。交渉に携わった関係者によると、クンデは新天地で現在の3倍に当たる約600万ユーロ(約8億4000万円)の年俸を手にするという。

 面白くないのはファンだ。セビジスタの間では、バルサはラ・リーガでライバル関係にあるチームのひとつと位置付けられており、その戦力アップに手を貸すオペレーションを肯定的に受け止めてはいない。一方で、セビージャにはクンデの希望を受け入れ移籍に応じなければならない事情があった。昨夏同じくチェルシーからオファーを受け、残留を要請した際に、今夏の移籍を約束していたからだ。

 また今回のオペレーションはセビージャにとってクラブ史上最高額での売却となった。5000万ユーロという額は、2019年夏にモナコに移籍したウィサム・ベン・ヤーデルの4000万ユーロ、2018年夏にバルセロナに渡ったクレマン・ラングレの3500万ユーロを大きく上回る。

 セビージャとバルサは、移籍交渉において強力なホットラインを築く仲でもある。前述のラングレの他にも、ダニエウ・アウベス、イバン・ラキティッチ、アレイシ・ビダル、セイドゥ・ケイタと今世紀に入ってからセビージャの主力選手がバルサに売却されるケースが続出している。
 
 最初にチェルシーと、後にバルサと合意に達したクンデは、常に冷静さを保ち、セビージャに過度なプレッシャーを与えることなく騒動の渦中に身を置いていた。

 クンデは本職のCBに加え、SBもこなす万能DFだ。そのうえセビージャの首脳陣は、いくつかの欠点を改善すれば、将来的に守備的MFとしてもプレーする資質を持っていると予言する。セビージャは、ジエゴ・カルロスを3000万ユーロでアストン・ビラに売却しており、レギュラーCBが揃って退団する緊急事態に見舞われている。新規契約選手はガラタサライから加入したマルコンのみで、さらなる補強は不可欠だ。

文●ラファエル・ピネダ(エル・パイス紙アンダルシアのクラブ番記者)
翻訳●下村正幸

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