【浦和】ACLでも示した好循環。“ロドリゲスサッカー”がいよいよ勢いを増す背景とは

【浦和】ACLでも示した好循環。“ロドリゲスサッカー”がいよいよ勢いを増す背景とは

ACLで快勝を収めた浦和。サポーターとも喜びを分かち合った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



[ACLラウンド16]浦和5-0ジョホール・ダルル・タクジム/8月19日/埼玉スタジアム2002

 完勝だった。

 ACLのラウンド16で浦和が相対したのは、川崎と蔚山現代という日韓の雄を抑え、地元開催のグループステージを突破したマレーシア王者のジョホール・ダルル・タクジムだ。

 豊富なタレントを擁し、確かな実力を持つ相手だけに苦戦も十分に予想された。だが、蓋を開けてみれば浦和は5-0の快勝。確かにホームの埼玉スタジアムがラウンド16、準々決勝、準決勝と一発勝負の舞台に選ばれ、サポーターの大声援を背に戦える非常に大きなメリットを得ていた面は見逃せない。もっともその利点を差し引いても、この日の浦和は素晴らしいパフォーマンスを示したと言えるだろう。

 システムは従来の4-2-3-1で、先発はGK西川周作、最終ラインは右から酒井宏樹、岩波拓也、アレクサンダー・ショルツ、大畑歩夢、ダブルボランチに伊藤敦樹、岩尾憲、中盤2列目は右からダヴィド・モーベルグ、小泉佳穂、大久保智明、そしてCFに松尾佑介が入った。

 序盤は相手の激しい寄せに押される展開が続いたが、「(相手が)ポゼッションしてくることは分かっていましたが、しっかり整理できていたので、怖さはあまりなかったです」とボランチの伊藤が振り返ったように浦和は冷静に対応。

 5分すぎからは自分たちでボールを回せる時間が増え、相手ゴールへと迫っていく。

 すると8分にはCKの流れからGKとハイボールを競った松尾がPKを獲得し、ショルツが冷静に決めて幸先よく先制に成功する。この1点で、チームはさらに乗った。
 
 本来はアタッカーながらCFに抜擢されている松尾、2列目の大久保、小泉らが流動的にポジションを変えながら相手の守備網のギャップを突く。右サイドではボールを持たせれば一級品の突破力を見せるモーベルグを、いぶし銀のSB酒井が的確にフォロー。絶好調のボランチの伊藤はスルスルとゴール前に上がって攻撃に厚みを加え、相棒の岩尾は後方でチームをコントロールする。左SBの大畑も攻撃参加し、CBのショルツの持ち上がり、岩波の縦パス、そして守護神の西川の抜群のフィードと、個々の良さを大いにチーム力として表現してみせたのだ。

 19分にはモーベルグがワールドクラスと呼べる美しいFKを叩き込み追加点を奪い、頼れる10番は39分にも小泉のお膳立てからチーム3点目をゲット。浦和は前半でほぼ試合を決める素晴らしい出来を示す。

 前半のみでベンチに退いたが、攻撃にリズムを加えた大久保も「非常に良いコミュニケショーンができていますし、(トップ下の)小泉選手が開いたら自分が内側に入るだとか、単純に流動的に動いてるわけではなく、目を合わせて一体になってプレーできています。全員が共存しようという意識があるからこそ、良い連係が取れているんだと思います」と自信を覗かせる。

 伊藤も「みんなの良さが出る関係性を今、築けていると思いますし、そのなかで結果につながる試合が続いているので、手応えはあります」と力強く語った。

 チームを操舵する岩尾に話を訊けば、印象深い言葉も返ってくる。

「シーズン当初の一時期よりも、味方のプレーしたいエリアに例えばノッキングしないとか、そういうことが起きにくくなっています。お互いの顔を見ながらとか、お互いの位置を確認してポジションを取ったり、そこを見つけられる選手が増えてきたので、だからこそAとBだけでなく、3人目、4人目が上手く使えるようになり、考えるというより、感覚的に動けています。それがプレースピードにもつながっています。

 その点では、すごく成熟してきたと感じていますね。でもその回数をもっと増やせると、相手として手も足も出ない状況が生まれますし、僕はそれを作りたい。その意味で伸びしろはまだまだありますが、良くなっている手応えは掴んでいます」

 そして経験豊富な男はこうも付け加えてくれた。

「今はすごく良い形で試合を進めているとか、ボールが滞りなく流れている感覚があると思いますが、忘れてはいけないのは、その前にたくさんの失敗をしてきたということ。それを前提としたうえで、その失敗を自分たちがどう生かすか向き合い続けてきたからこそ、今の形があるはずです。

 だからこそ今後も精度を上げるために、満足せず、より相手を困らせるために、どういった動き、判断が必要かを精査し、尽力すれば、もっと優位性を持ったフットボールをできると思います」
 

 リカルド・ロドリゲス監督が指揮して2年目の今季、さらなる飛躍へオフには少なくない選手の入れ替えを行なったチームは、新型コロナウイルスの影響もあって序盤はまさかの苦戦。なかなか勝点を稼ぐことができなかった。

 それでも少しずつ軌道に乗ってきた“ロドリゲス・レッズ”はここに来てようやく真骨頂を発揮している印象だ。

 この試合の後半には、江坂任、関根貴大、キャスパー・ユンカーらを投入し、選手層の厚さも披露。ベンチで力を溜め続けたユンカーが江坂のアシストから2ゴールを奪うなどさすがの仕事ぶりを発揮したのも心強く、攻撃を活性化できる人材は大いに揃う。
 
 ACL東地区を勝ち抜くには、準々決勝と準決勝の残り2試合(決勝は西地区の王者とホーム&アウェーで戦う)。8月22日にパトゥム ユナイテッドとの準々決勝、同25日に準決勝を戦う厳しいスケジュールだ。

 指揮官も「まだ何も成し遂げていない。あとふたつ勝ち進みたい」と気を引き締める。

 それでも追い風は吹いている。ホームアドバンテージとチームの好調ぶり。現在の浦和は今季最も期待を集められる状態と言えるのだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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