「楽しいですよ、やっぱり」三笘薫が口にしたプレミアへの“本音”。ブライトン番記者の印象は?「カオルがピッチに立つと…」

「楽しいですよ、やっぱり」三笘薫が口にしたプレミアへの“本音”。ブライトン番記者の印象は?「カオルがピッチに立つと…」

フルアム戦ではアグレッシブな仕掛けで、見せ場を作った三笘。(C)Getty Imgaes



 去る8月31日(現地時間)に敵地クレイブン・コテージで行なわれたプレミアリーグ第5節のフルアム戦。ブライトンのグラハム・ポッター監督は、今シーズン初めてダニー・ウェルベックをベンチスタートにさせ、本職のセンターフォワードを置かない布陣で試合に臨んだ。

 しかし、基点を欠いたチームは効果的なボール運びができず。思うように好機を生み出せない。逆にフルアムは、堅守からの素早いカウンターを中心に度々ブライトン・ゴールに襲い掛かる。とりわけエースのアレクサンダル・ミトロビッチは危険な存在となり、ディフェンダーの背後や間にスペースを見つけては力強い走りで急襲。ブライトン守備陣を慌てさせる場面が何度も見られた。

 前半はスコアレスで持ち越えたブライトン。しかし、後半開始から3分後に先制点をねじ込まれる。決めたのはやはりミトロビッチだった。さらにアウェーチームは55分にも、キャプテンのルイス・ダンクが敵のクロスをゴールに蹴りこむ痛恨のオウンゴールで失点。2点差にされてしまう。

 その後、63分にアレクシス・マク・アリステルのPKで1点を返すが、依然としてフルアム優勢の雰囲気は変わらない。そんな1点差を追いかける状況を打破すべく63分にポッター監督が動く。
 
 今季は5人の交代枠を使えるため、47歳の指揮官は、躊躇なく3枚替えを敢行。満を持してピッチに送り出したのはウェルベック、タリク・ランプティ、そして三笘薫だった。

 指揮官からの指示は「(サイドに)張って仕掛けろっていうとこだけです」と試合後に本人が明かしたとおり、三笘は左サイドから率先し、積極果敢に仕掛ける。交代出場から2分後の65分に中央左寄りでボールを受けるとすかさずカットインし、ペナルティーエリアに走りこんだウェルベックにファイナルパスを供給。さらに68分には、ふたたび左サイドでボールを受けた日本代表MFはダイレクトで前方に出すと、ソロモン・マーチと鮮やかなワンツー。最終的にマーチからのクロスを味方が足もとに収められずに好機を逸した。

 さらに70分、自陣でボールを受けると、レアンドロ・トロサールとのコンビネーションで前へと抜け出し、左サイドを駆け上がる。そして前線でボールを受けてから右足のアウトサイドでクロスを供給するも精度が低く決定機に繋がらなかった。その直後にも、トロサールにスルーパス。しかし、ベルギー代表MFが右足で放ったシュートはゴールキーパーに止められてアシストとはならなかった。

 これら一連のプレーは記者席の目の前で起こっていた。周囲にはホームのフルアム・サポーターばかり。アグレッシブな三笘のプレーを目の当たりにした敵地のファンからは多くのヤジが飛ばされていたが、これもまた、この25歳の日本人を彼らが脅威に感じていた証だったと言って良い。

 試合後のミックスゾーンで、地元紙『Sussex Express』でブライトン番務めるサム・モートン記者と話をする機会があった。無論、彼の三笘評も高く、「今晩の試合でもエネルギッシュでデンジャラスなプレーをしていた。相手のディフェンダーもやりにくそうにしていたよね」と話し、「カオルがピッチに立つと、シーガルズ(ブライトンの愛称)のサポーターはワクワクするようだね」と教えてくれた。

「彼のデビュー戦となった今季リーグ2戦目。ニューカッスル戦も一緒で、わずか15分間の出場だったが、非常に良いプレーをして敵の右サイドをきりきり舞いにさせていた。直接的なポジション争いの相手がトロサールだから、なかなか先発出場の機会は訪れないかもしれないが、まだシーズンは始まったばかり。どうなるかは分からないよ」

 レギュラー奪取のために必要となるのが、目に見える結果である。アタッカーで言えば、これはつまりゴールやアシストだ。試合終了間際のアディショナルタイムだけの出場となったウェストハム戦以外、三笘はニューカッスル戦でも、前節のリーズ戦でも、少ない出場時間ながらも必ず好機を繰り出してきた。
 
 この試合でも既述したトロサールのシュートの場面、そして79分にも、三笘がループ気味に浮かせた好ボールをエリア内に入れて、パスカル・グロスの好機を演出してスタジアムを沸かせている。

 シュートまでは至らなかったものの、三笘も「ああいうところを増やしていくっていうのは必要」と感じている。とくにこのフルアム戦では、相手ディフェンダーが2枚つくなど、厳しいマークを受け、得意のドリブルも鳴りを潜めた。そうした状況について彼は「ああいうのが出ると2枚付かなくなってくるので、そこをうまく散らしながらやるっていうのは出さないといけないと思っています」と自己分析している。

 リーズ戦後には、トロサールについて「僕にない部分をたくさん持っているのと、ハードワークの部分もやっぱり違うところはあるので、そこを踏まえてアシスト、ゴールを取っているので、レギュラーは妥当かなと思っています」と話した。一方で、「能力の部分はいろんな違うとこがありますけど、ドリブルのところは負けていないと思います」と、ベルギー代表にはない自身のストロングポイントも主張。負けん気の強さを見せてくれた。
 前述のモートン記者は「ブライトンは移籍金300万ポンドと、破格の買い物をした。今後がとても楽しみだ」と背番号22の日本人を終始褒めちぎっていた。だが、繰り返すが、実際に形となる結果はまだ何一つ出せていないのが現状だ。

 それでも周囲の期待は大きく、もちろん本人も、世界最高峰のプレミアリーグの舞台で特大の輝きを放てる日が訪れると信じている。そして、そのために必要な、やるべきことも彼は理解している。

「結果を出すか出さないかですね、やっぱり。そこしか見られていないので。今日(フルアム戦は出場時間が)一番長かったですけど、チャンスを生かせられなかったので、悔しいですね」

 おそらく三笘は、プレミアリーグで一定以上の活躍をしてくれるに違いない。何より攻撃的なポゼッションサッカーを好みつつ、守備とのバランスに重きを置くポッター監督との相性は良い。本人もリスクを冒したプレーしつつも、献身的に守備でチームに貢献できるタイプでもある。

 三笘も、戦術重視で、試合中であろうと頻繁にプレースタイルを変更するポッター監督について、「そっちの方がうれしいです」と語る。そして、「そこに適応してやっていくサッカーなので、別に、そこはポジティブに考えています」と話す顔つきからは、相互関係が構築されつつあるように思えた。
 
 加えて、ブライトンはアットホームなクラブでもある。岡崎慎司がいたころのレスターのような温かい雰囲気があるのは、プレミア初挑戦となる日本人にとっては好条件となりそうだ。

 フルアム戦後の囲み取材。最後の質問で、筆者は「このレベルでのプレーできることが楽しいか?」と単純な質問をぶつけてみた。

「楽しいですよ、やっぱり。うまくいかない方がほとんどなので。そっちの方がやっぱ楽しいですし、もうやらないといけない環境があるので、自然と環境で強くなるっていうのは思いますけど。まあ苦しい部分の方が多いので、一個結果が出たときにそれを継続できるかっていうとこだと思うので、まだまだ実力的にももっと上げないとっていうのは思っていますね」

 着実に進化を続けるフットボーラーの“本音”のように思えた。

取材・文●松澤浩三
Text by Kozo Matsuzawa

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