「右も左も関係ない」開幕7連勝のアントワープで輝く、25歳のレフティ三好康児。今季初ゴールの後、交代が告げられると観衆は…【現地発】

「右も左も関係ない」開幕7連勝のアントワープで輝く、25歳のレフティ三好康児。今季初ゴールの後、交代が告げられると観衆は…【現地発】

アントワープ在籍4年目を迎えた三好。今季は1試合を除き、開幕から全試合にスタメン出場している。(C)Getty Images



 アントワープがウェステルロー相手に3―0とリードを広げた直後の84分、この日、2得点に絡む大活躍だった三好康児の交代が告げられると、観衆はスタンディングオベーションしながら「ミヨシ!ミヨシ!ミヨシ!」と連呼し続けた。

「本当にいい雰囲気です。嬉しいですね」

 今季初となる三好のゴールは50分に生まれた。ビンセント・ヤンセンが粘り強く起点を作り、アルハッサン・ユスフがミドルパスで攻撃のスイッチを入れ、右サイドをカルビン・ステングスとユルゲン・エッケレンカンプが崩し、最後はファーサイドで日本代表MFがフリーになってシュートを決めた。これでアントワープは2―0とした。

【動画】ずっと欲しかった!絶好調アントワープを引っ張る三好、待望の今季初ゴールをチェック!

「ゴールがずっと欲しかった。毎試合、そこ(ゴール)を求めていました。ホント、簡単なゴールでしたけれど、1点獲れたというのは自分にとっても大きいですし、追加点ということでチームにとっても大きい1点になった。すごく良かったです」

 82分、チームの3点目となるアンソニー・バレンシアのゴールでも、起点として重要な役割を果たす。ラジャ・ナインゴランが左へ大きく振ったパスは、ライン際へ遠ざかるように三好のところへ。この難しい浮き玉のボールを、苦もなく2度のトラップでコントロールしてからヤンセンにスルーパス。DFと絡み合ったボールが、バレンシアのところへこぼれてヘッドで押し込んだ。
 
「いいボールが左足の方に来た。自分の得意なほうの足ですし、トラップには自信を持っているので、そこをうまくできてよかったです」

 三好にとっては「いいボール」でも、やはり難しい浮き球を難なく処理したからこそ、トラップした瞬間、スタジアムは「素晴らしいプレーを見た」という歓声で沸いたのだ。

 攻守におけるアクションの継続が光った一戦でもあった。例えば、三好が楔のパスを通したものの、ヤンセンがボールを収めきれずロストしたシーンでは、左サイドから中央に走り込んで、こぼれ球を拾ってドリブルでアクションを継続した。

「そこは意識している部分でもあります。チームとしても、特にボールを失った後は前線からプレスをかけることで、やっぱり守備が楽になりますし、自分たちも戻る距離が短く済みますので。これは意識のちょっとしたところですが、今年、特に力を入れているところです」

 これまでアントワープはフィジカル重視のサッカーをするチームだったが、3月、スポーツ・ダイレクターとしてマルク・オーフェルマルスを招くと、新シーズンはマルク・ファン・ボメルが新監督に、コーチングスタッフの割合もオランダ人が多くなり、「フットボールをするチーム」へと変貌を遂げた。先に紹介した三好のゴールは、アントワープがフットボールをしたからこそ生まれたものだった。

「僕がアントワープに来て4年目になりますが、1年目のときから選手、フロントを含めて変わってきているチームなので、そのことを自分も肌で体感しています。毎年のように監督、選手が変わるなか、フットボールをしていこうという方向に向かっているのは自分にとってもプラスですし、自分もそういう中でより生きていけると思う。もっともっと自分の力でチームを勝たせるように、意識してやっていこうと思っています」

 今季、25歳のレフティは右ウイングとしてプレーしてきたが、移籍市場の終盤にカルビン・ステングスが加わったことでウェステルロー戦では左サイドに回った。つまり、アントワープ在籍4年目にして、レギュラーとしての足場を固め始めたわけだ。一方、過去3シーズンは悔しい思いもしたのではないだろうか?

「そうですね。もちろん、フィジカルのところだったり、サッカーの部分の違いだったり、あとは自分の怪我の部分だったりで、離脱の時間が長かったですし、そこから回復するのにも時間がかかりますし……。監督、周りの選手が毎年変わるなかで、ここで自分を表現していくということは本当に簡単なことではない。

 今年はプレシーズンからしっかり積み重ねることができています。ただ、まだ9月ですし、まだまだ序盤だと思うので、これを続けていかないといけない。いい部分はありつつ気を引き締めて――といいますか。もっともっとできるんだということを見せていきたいです」

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「まだ序盤」と言うが、開幕7連勝で単独首位というインパクトは大きい。この記録、実はアントワープにとって1930年以来の快挙なのだ。

「7連勝は確かになかなかできることじゃないと思うので、そこは本当に評価していいと思います。ただ、そこはいい意味で意識しないというか。今日だったら、自分は左でプレーした。いろんなポジションやシステムでやっていく中で、チーム全体として理解ができていることは大きいと思います」

 カンファレンスリーグはプレーオフで敗れたことで、グループステージ進出を逃してしまったアントワープ。だからこそ、ベルギー国内線戦でより高みを目ざす。

「今年はカンファレンスリーグに出られないので、今季の目標としてリーグ戦、カップ戦のタイトルだったり、チームとしてタイトルに向かっていきたいです」

 21年11月のオーストリア遠征以来、日の丸から遠ざかっている。今の思いはいかに?

「もちろん狙ってますけれど、まずはチームありきなので、しっかり(アントワープで)結果を残すこと。やはり、僕のポジションは熾烈なので、チャンスがくればいつでも出られるように準備するだけです」

 さらに、三好はベルギー人記者陣に囲まれ、「今日は左だったね?」と問われた。すると流暢な英語で彼は答えた。

「右も左も関係ない。システムも関係ない。僕は監督からやれと言われたポジションでプレーするのみ」

 左サイドでも輝けるレフティがアントワープにいた。

取材・文●中田 徹

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