ポッター監督の電撃退団で“切り札”三笘薫への影響は? 序列が上がる可能性もあれば、その逆もありえる【現地発】

ポッター監督の電撃退団で“切り札”三笘薫への影響は? 序列が上がる可能性もあれば、その逆もありえる【現地発】

三笘が信頼を寄せるポッター監督の突然の退団。現在4位と好調のブライトンは大きな岐路に立たされている。(C)Getty Images



 ブライトンのグレアム・ポッター監督の電撃退団が決まった。

 ブライトンはポッター監督がクラブを離れ、チェルシーの指揮官に就任すると8日に発表した。2019年5月から指揮を執るイングランド人監督は、今年で在任4年目。今季は6試合を消化し4勝1分1敗の4位と好スタートを切ったが、チェルシーの引き抜きにより突然の退団となった。

 もちろん、今季からブライトンに復帰している日本代表MF三笘薫にも大きな影響が出てくる。川崎フロンターレでの活躍に目をつけ、獲得を決めたのはポッター監督に他ならない。昨シーズン、ベルギーのユニオン・サン=ジロワーズにレンタルで在籍した25歳を、「手元に置きたい」と今シーズンからチームに復帰させる決断をしたのも、47歳の指揮官だったという。

 三笘が「監督には自分のプレーを理解してもらっている。他の選手にも特徴を伝えてくれている」と語るように、日本代表アタッカーの理解者であった。

 しかも、ポッター監督の右腕として働く5人のコーチングスタッフも合わせてチェルシーに移った。リストを確認すると、アシスタントコーチのビリー・リードを筆頭に、選手からの信頼の厚いクラブOBのブルーノも退団。中堅ながら4位と好発進をしたにもかかわらず、現場を取り仕切るコーチングスタッフが一新するという異常事態となった。
 
 なかでも、選手補強でスカウティング業務を担ったカイル・マコリーの退団は、ポッター監督の移籍に匹敵する痛手となる。

 今夏の移籍市場でチェルシーに売却されたDFマルク・ククレジャを始め、トッテナムに引き抜かれたMFイブ・ビスマ、そして三笘も、このマコリーが中心となって発掘した。現スカッドを見ても、英紙『タイムズ』が「ビッグクラブにステップアップする準備ができている」と評するように、MFモイセス・カイセド(エクアドル代表)、アレクシス・マカリスター(アルゼンチン代表)、エノック・ムウェプ(ザンビア代表)と、さらなる飛躍が期待される逸材が揃う。

 6年前まで2部にいたブライトンは補強資金が限られているが、この36歳の目利きが「ダイヤの原石」を見つけ、安価で獲得することでチームを強化してきたわけだ。

 通常、監督とコーチングスタッフはセットで動くため、チェルシーの引き抜きによりコーチ陣が一斉退団となるのは仕方がない。しかしポッター監督の退団で、ブライトンは強化プランを再構築する必要に迫られた。ポッター監督の就任前はプレミアで残留争いに巻き込まれていただけに、後任人事を含めて大きな岐路に立たされていると言えるだろう。
 

 三笘の状況にフォーカスすると、ここまで途中出場が続いている。直近2試合では1試合で途中交代でピッチに立ち、1試合で出番を与えられなかった。

 興味深いのは、立ち位置が「ゴールの欲しい時に投入されるジョーカー」に定まっている点だ。プレミアリーグ第5節のフルアム戦(1-2)では、1-2と相手リードで迎えた63分から途中出場。一方、第6節のレスター戦(5-2)では、64分にユニホームに着替えて途中出場の準備を終えていたが、直後に生まれたチームの逆転ゴールにより投入が取りやめとなった。チームはその後リードを広げ、最後まで出場はなかった。

 プレシーズンマッチを含めて、三笘が取材エリアで最も悔しそうな表情を浮かべていたのが、このレスター戦だった。
 
 ユニホーム姿で監督からの指示を聞き終え、テクニカルエリアで投入を待っていたタイミングで、チームの逆転ゴールが生まれた。すると、ポッター監督は戦術を変更。「ゴールを奪いにいく」から「現状維持」に戦術を変更したため、三笘の投入をやめた。

 この場面について三笘に聞いてみると、「監督の意図は分かるので仕方ない。チームがゴールを決めていましたし、調子も良かったので、仕方ないかなと思います」と静かに話した。さらに、「試合に出られないことは良いことではないので。切り替えてやるしかない。(出場時は攻撃で)もっと行ってもいいかなとは思っている。そのクオリティをもっと上げないとなと思っています」と、アピールを続けていくと語った。
 
 三笘は「得点の欲しい状況で投入される切り札」として考えられており、必然的に出場機会は限定されている。だがまだ6節を終えたばかりで、開幕から1か月しか経過していない。長いシーズンの中で三笘を育てていき、いずれ先発の一角で──と、ポッター監督が頭の中で考えていたとしても不思議ではない。

 だが、指揮官の退団ですべてがいったん白紙となった。新指揮官は、現戦力の能力を見極めながら、自分の戦術を落とし込んでいくことだろう。三笘はポッター政権よりも序列が上がる可能性もあるし、その逆もありえるというわけだ。

 ただし、突然の監督交代はプレミアでも日常茶飯事である。サウサンプトン時代の吉田麻也が監督交代の荒波を何度も乗り越えたように、三笘もアピールに気持ちを高めているに違いない。

 ブライトンの取材を続けてきた筆者としては、ポッター監督がこのタイミングで退団することになったのが残念でならない。三笘を含めて新戦力が揃った7月の時点で、ポッター監督は「私がブライトンを率いてきたなかで、今季のチームが史上最強」と胸を張っていた。3年の時間をかけて自身の戦術を植え付け、確かな目を駆使して戦力も揃えた。

 さらにピッチ上のプレーを見ても、観る者を楽しませる攻撃的、かつアグレッシブなサッカーを展開していた。取材者として、ポッター政権がどこまで躍進できるかは非常に楽しみであった。
 
 ポッター監督とコーチ陣の一斉退団を受け、ブライトンのU-21監督であるアンドリュー・クロフツが暫定監督に就任。元イングランド代表MFのアダム・ララーナが選手兼コーチとしてチームを支えることになる。

 無論、この人事はあくまでも中継ぎで、クラブは後任人事に着手している。スポーツサイトの『アスレティック』は、ノルウェーのFKボデ・グリムのヒェティル・クヌートセン監督、ノッティンガム・フォレストのスティーブ・クーパー監督、英2部スウォンジーのラッセル・マーティン監督、英2部ルートン・タウンのネイサン・ジョーンズ監督の4人を「有力候補」と報道。クラブ首脳陣は、FKボデ・グリムをノルウェーの強豪に仕立てたクヌートセン監督を特に評価しているという。

 実は、ブライトンは有能なポッター監督がいずれ引き抜かれると予想し、2020年初頭から後任人事のリサーチを開始していたようだ。突然の監督退団にも、クラブはパニックに陥っていないと伝えられている。

 果たして、ブライトンはこれからどのような道を歩んでいくのか。そして、後任人事は功を奏するのか──。その答えは、残りのシーズンの戦いで明らかになる。

取材・文●田嶋コウスケ

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