長谷部誠、遠藤航、鎌田大地、伊藤洋輝。ブンデスで“4人同時先発”の一戦で躍動したサムライたちの現在地

長谷部誠、遠藤航、鎌田大地、伊藤洋輝。ブンデスで“4人同時先発”の一戦で躍動したサムライたちの現在地

鎌田は、全3得点に絡む活躍。直接FKでチームの2点目を挙げた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



 現地時間9月17日に行なわれたブンデスリーガ第7節、シュツットガルトがホームにフランクフルトを迎えた試合で、4人の日本人選手がスタメンで同じピッチに立ち、フル出場した。結果は3−1で、セットプレーから3つのゴールを決めたフランクフルトが勝利したが、4人それぞれがタスクをこなしながら持ち味を出した。

 勝利したフランクフルトで、直接FKでチーム2点目を挙げるなど全3得点に絡んだ鎌田大地は、3-4-2-1の右シャドーでプレーした。イェスパー・リンドストロムというデンマーク代表の攻撃的MFが不在で「僕は6番(ボランチ)で今日は出たいなって思っていたんですけど、まあ前やっちゃうと結構スプリントの回数とか増えるし、連戦だったので、今日はしんどくなるだろうなって思っていました」と鎌田は振り返る。

 二列目の左にパス能力の高いマリオ・ゲッツェがいる関係性の中で、「裏に抜ける選手が減っていたので、マリオが足もとで受けて、自分は裏に抜けようかなっていう感覚でいました」と語る通り、鎌田は出し手より受け手としての意識を強めて、シュツットガルトの左CBを担う伊藤洋輝と左ウイングバックのクロアチア代表ボルナ・ソサの間などを狙い、CKやFKの獲得にも貢献した。

 今シーズン4得点目となるゴールは、FKが壁に当たって方向が変わるラッキーな形ではあったが、対戦した遠藤航が「彼は今、調子メチャ良さそうだし、それは代表にとってはいいと思ってる」と述べるように、良い状態で9月の代表活動に入って行けそうだ。
 
 元日本代表キャプテンの長谷部誠も、1-0と勝利したチャンピオンリーズのマルセイユ戦の活躍が認められる形で、今季ブンデスリーガでは初先発となった。終盤には交代したセバスティアン・ローデからキャプテンマークを引き継いだ。試合後、ミックスゾーンに現われた長谷部の左腕には、そのまま赤いキャプテンマークが巻かれていた。

 長谷部の起用はオリバー・グラスナー監督の3バック採用に紐付けられる。4バックだとディフェンスのサブに回らざるを得ないが、リベロというポジションがあれば、長谷部ほどの適任者はフランクフルトに存在しない。ビルドアップも含めて、言わば「長谷部システム」とも言える。シュツットガルト戦でも周囲のディフェンスを背後でカバーする形を取り、必要ならサイドにまで流れて相手のカウンターを遮断した。

「自分が出た時に何ができて、何ができないかということは、自分の中で割り切ってやっているし、その中で自分の良さ、周りの選手の良さを補い合いながらというか、そういうところがある」

 そう語る長谷部に「周りの味方がアグレッシブに行ったところの裏の動きがよく見えた」と評価を伝えると、「周りがアグレッシブに行ったこぼれ球とか、アグレッシブに行った分、リスクがあるなかで抜かれた時のカバーリングとかは先読みしてやらなくちゃいけない」と回答。4バックでやっている時は2人のCBの負担が大きいと感じていたそうだが、だからこそリベロとして存在感を示すことに意味がある。
 

 対戦した遠藤航は「あの年齢で、ここでプレーしてること自体が自分は想像できない」と語る。38歳の長谷部本人は、もしかしたら現役最後になるかもしれないシーズンを1試合1試合、全力で取り組んでいるようだが、その姿が後輩たちの指針になっていることは間違いない。

 シュツットガルトはフランクフルトに敗れたことで、開幕戦から7試合未勝利となった。しかしながら、遠藤は押しも押されぬキャプテンとして、伊藤は2シーズン目で最終ラインのレギュラーを確かなものとしている。遠藤は3-5-2の右インサイドハーフでプレー。マンツーマン気味に前からプレッシャーをかけるディフェンスのなかで、相手のボランチをチェックするだけでなく、前線が剥がされたところのフォローでも存在感を見せた。

 また、CBの伊藤を主な起点に、左でソサとサイラス・ワマンギツカが仕掛けてのクロスにボックス内で合わせに行くなど、遠藤は縦への積極性も見せた。本人に聞くと「8番(インサイドハーフ)でプレーするなら最後、ああいうところにスプリントで入っていく。そうすると人数を最後にかけられるかで、相手のボランチよりも前に入れるかみたいなところだと思う」と語った。
 
 ペッレグリーノ・マタラッツォ監督からは、できるだけ高いポジションを取ることを求められるが、そうなると間でつなぐ選手がいなくなる。「そこは代表とは違うやり方なので、難しさを感じながらやってます」(遠藤)。59分にアンカーのアタカン・カラゾルがリリアン・エグロフとの交代で下がり、遠藤がアンカーのポジションに移ると、下がり目でボールを受けながら攻撃のリズムを作る役割を果たした。

 対戦相手の長谷部は「彼の良さは、もう1個後ろ(アンカー)かなって個人的には見ていて思っている」と考えを語りながら、遠藤のチームで置かれている立場に関しても「残留争いをするチームで、僕もいたことがあるので分かるけど、ましてやキャプテンでやらなくちゃいけない」と経験豊富な先輩ならではの言葉で説明してくれた。

 遠藤も「自分がここですぐキャプテンをやるなんて思ってはなかった」と前置きしながら「なったらなったで、さらに自分も責任感だったり、年齢が一番上なので。まだ29歳ですけど、やっぱりそういう周りの見られ方も、どっちかというとそういう中心的な存在だったり、キャプテンとして見られてると思う」と語る。チームとしてはちょっとしたところの噛み合わせに課題を感じながら、良くなっていく手応えを得ているようだ。
 

 一方で伊藤は昨シーズンと今シーズンの違いを明確に意識しながら、さらなる成長のために取り組んでいる。3-5-2の左CBから前にボールを奪いに行く姿勢が印象的だった。そのことについて聞くと「基本マンツーで守っているので、前から行って後ろがプッシュアップして。前が行って、自分たちが後ろに下がったら行く意味がなくなる」と多少のリスク覚悟で行くことを意識的にやっているようだ。

 前半の終わりから4バック気味になったなかで、伊藤は2CBの左から、短いパスを捌くだけでなく、FWのワマンギツカを裏に走らせる縦のボールにもトライした。しかし、伊藤本人は「もうちょっと嫌らしいところに刺せればいいなと思うけど、カウンターのリスクがあるので、そこはより確実にというプレーを選びましたけど。もっともっと運ぶなり、ハマった時にどうするかは課題でもある」と語るように、持ち味である縦パスを出すところに課題を感じているようだ。

 ボールを奪いに行ったところでの成功率を上げること、さらに空中戦で競り勝てないシーンがあることも「物足りなさを自分も感じている」と語る。昨シーズンは与えられたチャンスをしっかりとモノにしてポジションを掴んだところから、今シーズンは主力として個人だけでなく、チームとしての結果に責任を持っていることが言葉からも伝わる。
 
 日本代表の仲間であるボルシアMGの板倉滉らが負傷したことについては「(板倉)滉君も(浅野)拓磨君も怪我しましたけど、誰がいつ怪我をするか、僕も怪我するか分からない。タフなリーグの中でやってるので」と気遣いながら、身体のケアをしっかりとやりつつ、試合では「全力でやらない選手は試合に出られないし、チームにも失礼」と語る。

 シュツットガルトは開幕7試合で早くも厳しい状況にあるが「1シーズンをブンデスでやって、今シーズン、少し安定感が増したかなと自分で感じている」と言う通りに、個人としては着実に成長の手応えを掴んでいることは分かる。それをさらにチームの結果にプラスをもたらせるかどうか。

 6月のA代表初招集から、うなぎ上りで評価を高めている伊藤だが、その活動直前に、ジュビロ磐田の大久保グラウンドで取材した頃とは、チーム内での立場も、本人の自覚も変わってきている。個人の成長とともに、「若い選手をトレーニングから引っ張ってくれる選手なので、その背中をみんな見てると思うし、影響を受けていると思う」と伊藤も語る遠藤のような存在になっていけるか。カタール・ワールドカップに向けて良い状態を保つことも大事だが、クラブレベルでの動向もますます注目したい選手だ。

取材・文●河治良幸

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