ワールドカップ仕様へ。6月の惨敗からアメリカ戦の快勝へ森保ジャパンは何が変化したのか【編集長コラム】

ワールドカップ仕様へ。6月の惨敗からアメリカ戦の快勝へ森保ジャパンは何が変化したのか【編集長コラム】

カタール・ワールドカップに向けた強化試合としてアメリカ戦に臨んだ日本代表。攻守で収穫が見られた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



[キリンチャレンジカップ]日本 2-0 アメリカ/9月23日/デュッセルドルフ・アレーナ 

 ここまでハマった試合も久しぶりなのではないか。

 11月末に開幕するカタール・ワールドカップへもう時間がないなか、ドイツ遠征を行なっている森保ジャパンは9月23日、強化試合の2連戦の一戦目となるアメリカ戦に臨んだ(27日にはエクアドルと対戦する)。

 アジア最終予選の途中に組み入れた4-3-3がメインシステムになっていた森保ジャパンだが、20日のトレーニングで試していた4-2-3-1をこの試合では選択。

 4-2-3-1はチーム立ち上げから4-3-3に変更するまで長い期間、使い続けたシステムであり、好調の鎌田大地をトップ下に据えてアメリカ戦へと臨む決断を森保一監督は下したのだ。

 GKは権田修一、最終ラインは右から酒井宏樹、吉田麻也、冨安健洋、中山雄太、ダブルボランチは遠藤航、守田英正、2列目は右から伊東純也、鎌田大地、久保建英、CFは前田大然という並び。

 良い守備から良い攻撃へ。森保監督がよく口にする言葉だが、まさにこのテーマを表現した形と言えるだろう。

 最前線の前田はスプリントを繰り返して前線からプレスをかけ続け、呼応するかのように久保、伊東、鎌田、そしてボランチの遠藤、守田も相手をハメにいく。そして奪えば、テクニカルな鎌田、守田を起点に的確でシンプルなパスでチャンスを作り出す。

 日本のやりたい形が高い割り合いで表現できた前半となり、25分には2度の決定機をモノにし切れなかった鎌田が守田のアシストから先制ゴールも決めてみせている。アメリカのパフォーマンスはあったにせよ、高い手応えを得られる前半になったはずだ。
 
 後半はアメリカが形を変えてきたなか、序盤こそ上手くいかない時間もあったかが、柔軟に対応し、相手の反撃をいなしながらゲームを進め、86分の途中出場の三笘薫のゴールへつないでいる。

「6月の活動は大きかったのかなと。ああやって上手くいかなかったというのはあって、その現象に対してどうするか、選手たちも危機感を持ちながら今回の合宿に臨めているので、そこはポジティブに感じています」

 そう語るのはボランチとして中盤を仕切る遠藤航だ。

 6月、国内で4つの強化試合を行なったチームはブラジルに敗れるなど2勝2敗。特に最終戦のチュニジア戦を0-3で落とした際には、改めて“共通認識”の深化が叫ばれていた。

 それでも今回の活動では、欧州で経験を積み様々な戦術を吸収してきた若手選手たちの積極的な意見を、キャプテンの吉田麻也や遠藤が吸い上げて考えを擦り合わせてきた。

 3大会連続でワールドカップに出場している長友佑都も「大事なのはナーバスにならないことで、緊張感は半端ないですが、若い選手からすごく意見が出ている。そのディスカッションができているのは、すごく良い時間ですし、緊張感のあるなかで話し合っている。今までの代表ではこれだけ意見を言い合える関係性はなかったのかなと。こういうプレスをかけたいとか、こういうプレーをしたいとか、若い選手もベテランの選手も言ってくるし、より繊細に詰められているのかなと思います」と振り返る。

 遠藤も「いろんな意見があるなかで、ようやく最終予選でいろんな意見を出し合いながらやっているなかで、成立されつつあるのかなと。意見を出し合っている結果が上手くハマりつつあるのかなと。そこは継続していきながら僕や(吉田)麻也さんらが上手く若い選手の意見をコントロールしながら、やっていければチームとして良くなるのかなと思います」と展望を語る。

 

 ワールドカップ本大会ではドイツ、スペイン、コスタリカと同組になり、特にドイツ、スペインを想定した際には、今回のアメリカ戦のような前線からのプレスかけながら、ミドルサードで網を張り、連動したディフェンスでボールを奪って、素早く攻める戦い方が理に適っているのだろう。

 アメリカ戦でも何より光ったのは、最前線の前田の献身的なチェイシングや、久保、鎌田らの2度追い、3度追いを厭わないプレスバックする姿だった。

 本来、攻撃の選手はよりフィニッシュへエネルギーを溜めておきたいものだが、勝つための手段として意思も統一されているのだろう。

 後半、相手が後ろを3枚にするような形に変えてきた際も、立ち上がりこそ押される時間を作られたが、選手たちは対応に一定の手応えを口にする。

「(アメリカは)前半の最後のほうから3バックにして、後半の最初はボールを動かされてチャンスを作られるシーンもありましたが、その後はちょっとずつ修正して、最後は(日本が後ろを)5枚気味にして(試合終盤は3-4-2-1へ変更)、ゲーム展開的には2点目も取れて、理想的ではありましたが、3点目を取れるチャンスはあったのでそこは課題としつつ、全体的に内容としては悪くなかったなと思います」(遠藤)

 2019年のアジアカップ決勝では3バックを敷いてきた変則的なカタールに敗戦を喫したが、この辺りにチームの成長も感じることができるのだろう。
 
 個人的には味方の立ち位置、相手のポジショニングを把握しながら能動的にボールを持ち運ぶ4-3-3の進化を見てみかたった。しかし、自分たちの現在地を正確に把握し、最善の策を取る。その姿にも好感が持てる。

 もとより、アジア最終予選で引かれた相手を崩し辛くなり、土俵際に追い込まれた際に4-3-3を採用したが、森保ジャパンのベストゲームと呼べるような2021年の韓国戦(〇3-0)を引き合いに出しても、このチームの真骨頂はミドルゾーンでのプレスからの素早い攻撃にあった。

 ワールドカップ仕様への変化を求められた際に、その方向性へ原点回帰したとも言えるのだろう。しかし、それは4-3-3などを通じて様々な経験をしてきたうえでの進化であり、以前の4-2-3-1からもアップデートされている。

 キャプテンの吉田は「結果がついてきたのはもちろん良かったですが、今の時点で結果はそこまで重要かというよりは、やっていること、内容を固められているかが重要で、今日に限ってそれができた部分が大きかったと思います。ただできたことを今日はできたから良かった、でも次できないとか、なぜできたのかを明確にして、意図的に次のゲームもできるように分析する。勝っている時こそ、そういうところを詰めて、磨き上げてカタールを迎えられるようにしたいです」と引き締め直す。

 今日のゲームを見て、日本のやり方も分析されるはずである。その意味で次戦の強化試合、27日のエクアドル戦(現地時間:13時55分/日本時間:20時55分)でどんなパフォーマンスを見せられるかも大きなポイントだろう。より柔軟性が求められるはずだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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