22分の堅守が「長友劇場」の始まり。36歳SBは「強い相手になるほど価値を示せる」と豪語。本番では“エースキラー”の再現を期待

22分の堅守が「長友劇場」の始まり。36歳SBは「強い相手になるほど価値を示せる」と豪語。本番では“エースキラー”の再現を期待

先発したエクアドル戦では“不要論”を一蹴する活躍を見せた長友。「『そろそろ信じてもらっていいかな』と言いたい」。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)



[キリンチャレンジカップ]日本 0-0 エクアドル/9月27日/デュッセルドルフ・アレーナ

 カタール・ワールドカップ(W杯)の過密日程を視野に入れ、日本代表の森保一監督が、9月23日のアメリカ戦から先発全員を入れ替えるという大胆策に打って出た同27日のエクアドル戦。だが、相手の強度や球際の強さ、カウンターの迫力に押され、日本は序盤から厳しい展開を強いられた。

 デュッセルドルフ・アレーナの劣悪なピッチ、スプリンクラーの作動不良でキックオフ直前・直後に大量の水が数回撒かれるアクシデントも重なり、前線の南野拓実(モナコ)や古橋亨梧(セルティック)らにはボールが収まらず、逆にカウンターを繰り出されるというシーンが頻発。非常に苛立ちが募る前半になってしまった。

 そんななか、ピンチを何度も阻止したのが、36歳の左SB長友佑都(FC東京)だ。

 22分、ペルビス・エストゥピニャンが左サイドから蹴り込んだクロスに反応したアンヘル・メナにしっかりと身体を寄せ、1対1で応戦。相手の突破を許さない堅守を見せたのが、「長友劇場」の始まりだった。

 前半終了間際には、右SBバイロン・カスティージョのペナルティエリア右隅への飛び出しに対し、スライディングタックルをお見舞い。クロスを阻止し、思わずガッツポーズが飛び出した。

「鼓舞するのは自分自身、チームに対しても僕は大事だと思う。海外で戦ってきて、そういう選手も数多く見てきたし、味方にいたら心強かった。そういうこともあったんで、半分は反射的に、半分は意識的にという感じです」と、代表137試合目の大ベテランは改めて風格を示していた。
 
 後半に入ってからも1対1の守備の強さは衰えることはなかった。メナにしつこいくらいマークに行き、ピンチらしいピンチを作らせない。83分に吉田麻也(シャルケ)と代わってベンチに下がるまで、長友はほぼパーフェクトと言っていい守備能力の高さを強烈に印象付けたのだ。

 攻撃に関しても、幅を取った位置にいた三笘薫(ブライトン)のドリブル突破をより効果的にするため、自身は中央寄りのポジションを取り、しっかりとバランスを保った。以前のように縦関係を形成する左MFを追い越してクロスを上げるような動きは減ったものの、エクアドルのような強い相手には“穴のない守り”を続けることが何よりも肝心だ。

 2008年から足掛け15年間、日の丸を背負う男はその重要性をよく分かっている。勝敗を分けるポイントを嗅ぎ分け、的確な判断と対応を見せられるあたりは、まさに“怪物”だ。
 

 エクアドル戦で最終的にスコアレスドローに持ち込めたのも、長友がもたらした安心感の賜物。W杯レベルの相手との代表戦に初参戦した谷口彰悟や山根視来(ともに川崎)らにしてみれば、百戦錬磨の左SBが最終ラインに陣取っていて助かったという気持ちも少なからずあるはずだ。

「『長友はおっさんだからもういらない』『衰えたからいらない』と散々言われたけど、僕は自分を信じていた。今までの経験から、強い相手になるほど価値を示せるという確信が僕にはあるから。『そろそろ信じてもらっていいかな』と言いたいですね」と本人も試合後のミックスゾーンで目をギラつかせた。

 さらに報道陣から「『一家に一台、長友』という感じですね」と声をかけられた彼は、「本当に『一家に一台必要』だということを自分も示すべきだと思っていた」という本音も吐露した。

「6月のブラジル戦(0-1)も今日もそうだけど、それを示せなかったら僕がメンバーに入る必要はないと本当に思っていた。自分の価値を示すという挑戦を楽しみながらやれました」と会心の笑顔をのぞかせた。

 そのうえで、約2か月後の本大会でも、ドイツやスペインと堂々と対峙していける絶対的自信も抱いているというから実に頼もしい。

「ワールドカップも正直、自分は心配してないんですよね。ハイテンションで相手が強くなれば、アドレナリンが出てパフォーマンスを上げられる。チームに貢献できる。確信と言ったら言い過ぎかもしれないけど、こういう試合をまたやりたいとウズウズしてますね」と、タフな男はどこまでもポジティブだった。
 
 森保監督が本大会でも試合ごとにメンバーを大幅に入れ替えて戦おうと思うなら、やはりチームの統率役は複数必要。吉田と遠藤航(シュツットガルト)がその筆頭だが、圧倒的存在感と経験値を誇る長友にも、いてもらわなければ困る。

 左SBとしては中山雄太(ハダースフィールド)、伊藤洋輝(シュツットガルト)も有能だが、経験値や影響力を考えると、やはり長友を抜きにW杯ベスト8は目ざせない。指揮官もその事実を今一度、再認識する機会になったに違いない。

 異彩を放ったエクアドル戦で、日本人フィールドプレーヤー初となる4度目のW杯出場をほぼ手中にしたであろう長友。彼はこの感覚を身体に刻み込んで、今季残りのJリーグを戦わなければいけない。

 そのうえでコンディションをトップに引き上げて、本番を迎える必要がある。それが実現できれば、12年前の2010年南アフリカW杯で、カメルーンのサミュエル・エトーやオランダのエルイェロ・エリアを封じた「エースキラー」の再現も期待してよさそうだ。

 11月23日のグループステージ初戦のドイツ戦。長友がセルジュ・ニャブリら相手のキーマンをストップする姿をぜひとも見たいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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