【バイタルエリアの仕事人】vol.20 千葉和彦|新潟はプロにしてもらったチーム。サポーターにはJ1で戦っている姿を見せて恩返ししたい

【バイタルエリアの仕事人】vol.20 千葉和彦|新潟はプロにしてもらったチーム。サポーターにはJ1で戦っている姿を見せて恩返ししたい

千葉は今季、第24節・群馬戦後に人生で初めてのギックリ腰となり、約1か月以上、戦列離脱を余儀なくされた。写真:徳原隆元



 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第20回は、昨シーズン、10年ぶりにアルビレックス新潟に復帰したDF千葉和彦だ。

 前編では、松橋力蔵新監督の印象や、ポゼッションサッカーを志向するチームでの攻撃への関わり方、チームメイトの成長などを語ってもらった。後編では、CBを本職とする千葉の守備に対する思考や流儀、J1昇格への想いなどを深く掘り下げていく。

 まずは、今季の負傷離脱について。千葉は7月2日の第24節・群馬戦後に腰の痛みを訴え、チームを離脱。その後、約1か月以上にわたって試合に出られない時期が続いたなかで、どうチームをサポートしていたのか。

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 ほぼ初めてギックリ腰になって、これが噂のやつかと思いました(笑)。ただ、やってしまったものはしょうがないし、自分が戦列に戻った時に、何をチームに還元できるかを考えながらリハビリをして、試合を見ていた生活だったので、そこまで気落ちすることはなかったです。約1か月くらいサッカーができない時期はありましたけど、そこまで落ち込まなかったですね。

 自分が離脱中、チームはなかなか試合に勝ち切れない状況が続きました。相手チームがしっかりと対策をしてきている印象が強く、自分たちの得意な部分を消されてしまっていた。うまくディフェンスラインの乱れを突いてくるとか、徹底的に研究されたことで苦戦しました。

 そんな状況で、離脱中の自分がチームに対して何をできるかと考えた時に、みんなのストロングを引き出したいと思ったんです。チームのムードメーカーだと言われることがあって、自分自身ではそんなことを思っていないんですけど、選手たちにプレッシャーもかかるなかで、いかにリラックスした雰囲気を作って、チームメイトに本来の力を出してもらうかを考えていましたね。

 自分が最年長だからやらなきゃいけない、という意識はないんですが、それぞれの選手たちが力を最大限に発揮できるようなアプローチをピッチ外でもできればなと思っています。
 

 チームの“雰囲気作り”を大事にしているという千葉だが、プレー面ではどんなことを心掛けているのか。今季、J2で徳島の28失点に続く2番目に少ない失点数32(第38節終了時点)を誇る新潟のCBとしての守備の極意とは?

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 相手にバイタルエリアに入られてしまうと、上手い選手だとシュートもありますし、スルーパスなど、ゴールに直結する選択肢が増えてしまうので、非常に厄介なエリアだと思っています。

 危険なスペースを使わせないためには、ディフェンスラインの選手だけだと対応しきれないので、中盤の選手と連係して、どうそのスペースを圧縮するか。また、最終ラインの位置を少しでも上げる意識があります。

 相手にボールを持たれる展開では、自分が前に出すぎてしまうと、逆にセンターバックの裏のスペースを使われてしまう可能性がある。そこにスルーパスや浮き球のパスが入ってしまうと、スムーズにゴールを奪われてしまうので、いかに周囲の味方を動かして、裏のスペースを空けさせずに、相手を外に外に追い出すかを考えています。
 
 1対1のシチュエーションでは、僕は身体能力に長けている選手ではないと思っているので、バチっと1人でボールを取りにいく守備はあまりしません。パスコースを限定したり、1対1の状況でも相手に時間をかけさせることによって、味方の戻りを待ってから、より安心な状況で奪いにいきます。

 ただ、ときにはスライディングでボールを奪いにいったり、身体を張った守備をしなければならないシーンもある。その時には、試合前に分析した相手の利き足の情報をもとに、追い込む方向を考えながら、距離を詰めて仕留めにいくようにしています。

 例えば、左利きの選手なら、右足ではなかなかスーパーなシュートを打つのは難しいと思うんです。緊迫した状況では、とくに。なので、対峙した選手にはできる限り、不得意なほうの足で持たせて、少しでもゴールの可能性を下げる作業を心掛けています。

 守備で参考にしているのは、同年代の選手でセルヒオ・ラモス(パリ・サンジェルマン)や、チアゴ・シウバ(チェルシー)です。周囲の味方の使い方、賢く守備をする部分は参考になるので、見て勉強するようにしていますね。
 

 現在、チームは、リーグでは38節終了時点で首位。直近10試合の戦績は7勝2分1敗で、4連勝中と波に乗っている。今季は残り4試合。2017年に降格を味わって以来、6年ぶりとなるJ1復帰に邁進中だ。

 CBの主力としてチームを支える千葉に、サポーターに対する想いやJ1昇格にかける想いを訊いた。

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 今季は、悔しかった試合のほうが多かった。そのなかで一番は、開幕前のプレシーズンで負けたセレッソ大阪との練習試合。ボコボコにされて、めちゃくちゃ悔しかったのを覚えています。

 J1クラブとこんな違うのかと。自分たちは、コロナの関係で練習の期間が短かったり、コンディションが整わなかった部分もあるんですけど、それを差し引いても、自分のなかでは差を感じた。
 
 そういった悔しい気持ちが活力となって、現在の順位につながっていると感じています。もちろん目ざすべきところはJ1昇格。でも自分は次の試合でどれだけ良いパフォーマンスを出せるか。それがチームのプラスとなって、1試合1試合、勝利を積み上げられるかどうか、目の前のことしか考えていないです。

 新潟はプロにしてもらったチームですし、初めて自分についてくれたサポーターは新潟の方々なので、その人たちへの恩返しの意味でも、チームをJ1の舞台に戻して、トップリーグで戦っている姿を見せたい。そして、自分たちから主導権を握って、アクションを起こす今のスタイルのサッカーを誇りに思ってほしいし、これが新潟のサッカーだと胸を張って言えるサポーターにしてあげたいと思っています。

 とにかく、自分の良さを出して、「今日は貢献できたな」という試合をどれだけ多くできるか。その積み重ねの末に、J1昇格を掴めれば嬉しいですね。

※このシリーズ了

取材・構成●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)
 

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