【U-21代表最新序列】国際経験豊富な田中がアンカー1番手。突き上げが乏しいインサイドハーフで復活が待たれるのは…

【U-21代表最新序列】国際経験豊富な田中がアンカー1番手。突き上げが乏しいインサイドハーフで復活が待たれるのは…

パリ五輪を目ざすU-21日本代表の最新序列。 (C)SOCCER DIGEST



 2024年夏のパリ五輪を目ざすU-21日本代表が、9月20日から26日にかけて欧州遠征を行なった。

 今年3月のドバイカップで優勝を果たし、6月のU-23アジアカップでは2歳年上のチームらを相手に3位でフィニッシュ。3月に発足した大岩剛監督率いるチームはここまで順調な道を歩んできた。

 そのなかで迎えた、今回の欧州遠征。ドバイ杯でクロアチアと対戦し、1−0の勝利を収めているが、相手が時差ぼけや暑さの影響を受けていた点を考えれば、万全の状態の欧州勢との戦いは初となる。結果は22日のU-21スイス代表戦で1−2の敗戦、26日のU-21イタリア代表戦は1−1のドローとなり、未勝利で今遠征を終えた。

 スイス戦はセットプレーの守備やゲーム運び、イタリア戦は試合の入り方に課題を残した。特にイタリア戦はスコアだけを見れば、A代表歴やセリエAで活躍する選手が揃う相手に対して通用したようにも思える。しかし、振り返ると、前半は何もさせてもらえておらず、相手のペースが落ちた後半に持ち直したが、チームとしての力不足を露呈する結果となった。

 個人の部分ではフィジカル面や戦術理解度で上回られ、チームとしても前半は流動的な相手の中盤を捕まえられずに後手を踏んだ。その点は現実として受け止めるべきだろう。大岩監督も反省を口にしており、難しいゲーム展開だったと認めていた。
 
「(スイス戦は)自分たちがボールを奪う。そこから攻撃、トランジションの部分で取るべきポジションに構える。でも、取るべきポジションに速く到達できない。相手のプレッシャーに対して、迷ったり、動き出しのスピードが足りないので、当然、相手のほうがプレッシャーをかけるタイミングが速くなってしまう。その反省を踏まえて、今日(イタリア戦)は準備したつもりだったんです。選手が予想以上に動き出せず、トランジション、奪ってからのイメージをなかなか共有できていなかった」

 パリ五輪の最終予選までは1年半も残されていない。チームとして、個人としていかに強化を図っていくか。現時点では指揮官が常日頃から口にする「A代表経由パリ五輪行き」を実行できそうな選手は見当たらない。

 だが、確実に評価を上げている選手はおり、力をつけている選手もいる。そうした状況を踏まえて、再来年3月のU-23アジアカップ(パリ五輪最終予選を兼ねる)の登録メンバー23人として、現時点での序列を考察していく。

 今回の欧州遠征に招集されたメンバーは23人だった。

「スイス戦を踏まえたうえでメンバーを選び、準備をして、ピッチに立つ」

 イタリア戦後に大岩監督が発した言葉を読み取っても、アッズリーニ(U-21イタリア代表の愛称)との一戦に、ベストに近いメンバーをぶつけた可能性が高い。

 そのメンバーをベースに現在の序列を紐解いていくと、大岩監督のメッセージははっきりしており、試合に出ている選手が評価を高めている。
 

 指揮官は「旬の選手」という言葉を使うが、今回の遠征で言えば、GKの佐々木雅士(柏)がそれに当たるだろう。ドバイ杯、アジア杯と同じく、今遠征も小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)、鈴木彩艶(浦和)とともにメンバー入りを果たしたなか、今回は背番号1を与えられてイタリア戦では先発出場を果たした。

 チーム発足当初は3番手。しかし、現時点のGK陣において、所属チームで唯一レギュラーの座を掴んでいる存在で、同世代のGKを見てもJ1で定位置を確保している選手はいない。佐々木の成長ぶりは目を見張るものがあり、イタリア戦でも最終盤に至近距離からのシュートを片手で阻止するなど、実力を証明した。

 とはいえ、現状ではほぼ横一線。東京五輪世代では谷晃生(湘南)、大迫敬介(広島)がハイレベルな争いを繰り広げたのと同様に、能力が高いパリ五輪世代のGK陣も切磋琢磨しながらポジションを争っていくはずだ。
 
 最終ラインでは、CB西尾隆矢(C大阪)が頼もしい。1月にA代表候補合宿を経験しており、能力と実績はこの世代では折り紙付きだ。6月のアジア杯は負傷でメンバー外となり、その後も所属チームで出場機会を失う時期もあったが、今遠征で代表に復帰した。

「ビビってしまったところがあるのでトライしていけば幅が広がる」と本人が話した通り、イタリア戦では相手のプレッシャーを剥がせないシーンもあり課題も多い。だが、西尾の復帰はチームに大きな意味があったのは確か。フィジカルの強さとビルドアップで力を示しただけではなく、リーダーシップの面でもチームの精神的支柱となった。

 イタリア戦でコンビを組んだCB鈴木海音(栃木)も自クラブで経験を積んでおり、自信を深めて代表でも評価を高めている。ただ、絶対的な存在ではないため、シュツットガルトでプレーするチェイス・アンリなど、アスリート能力に長けた選手たちの台頭が待たれるところだ。

 SBは、右に半田陸(山形)、左は加藤聖(長崎)がリード。半田はイタリア戦で判断ミスから失点に絡んだが、後半は持ち直し、攻守で存在感を発揮。加藤もCKからゴールに絡むなど、正確な左足は他にはない武器で評価を高めている。そのほかでは代表活動初参加の大畑歩夢(浦和)がスイス戦で攻撃センスを見せ、可能性を示した選手のひとりだ。

 逆に畑大雅(湘南)はスピードで勝負できた部分もあったが、思い切りの良い攻撃参加は鳴りを潜めた。怪我で今遠征に参加できなかった内野貴史(デュッセルドルフ)や所属チームで出場機会を増やしているバングーナガンデ佳史扶(FC東京)の活躍次第では、序列が変わったとしても不思議ではない。
 

 中盤では、アンカーの位置で試された田中聡が1番手で、コルトレイクに加入後はポジションを掴んでおり、国際舞台での経験値も豊富。だが、絶対的な存在ではない。松岡大起(清水)もスイス戦ではフィジカル面で苦戦を強いられた一方、持ち前の思い切りの良いボール奪取でチームを支えていた。ともに守備に特長を持つだけに、課題である攻撃面の成長が今後のポイントになってくるはずだ。

 インサイドハーフは藤田譲瑠チマ(横浜)と鈴木唯人(清水)が絶対的な柱。このチームの中では最もA代表に近い存在で、前者は守備、後者は攻撃で個の力を発揮できる。ただ、彼らに続く選手の突き上げが乏しい。

 同ポジションの候補で、右ウイングでも計算できる本田風智(鳥栖)は、今遠征ではボールを収められずに苦戦した部分もある。こうした状況を踏まえ、待たれるのは今回負傷でメンバー外となった山本理仁(G大阪)の復帰だ。

 ボールを動かすスキルが高く、戦い方の幅を広げるうえでも必要不可欠。また、荒木遼太郎(鹿島)も完全復活すれば、攻撃にアクセントを加えるプレーヤーとして面白い存在になるはずだ。
 
 左のサイドアタッカーは斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)に加え、佐藤恵允(明治大)がアジア杯の後半戦以降から評価を上げている。その一方で右サイドは人材難で、イタリア戦では鈴木唯が先発し、前半途中から本田、後半開始からは藤尾翔太(徳島)が起用された。藤尾はゴールを挙げたとはいえ、本職はセンターフォワード。その点を考えても、新たな選手の台頭が待たれる。

 伸び悩んでいる小田裕太郎(神戸)、松村優太(鹿島)、西川潤(鳥栖)らが結果を残せば解決できるだけに、彼らのブレイクが今後のポジション争いを大きく左右するかもしれない。

 ワントップは、7月のE-1選手権でA代表デビューを飾った細谷真大(柏)が柱で、今遠征もスイス戦でゴールを挙げた。ただ、藤尾もサイドでの起用が続いており、バックアッパーが不在。今遠征では木村勇大(関西学院大/京都入団内定)が初招集されたが、インパクトは残せなかった。

 アジア杯で招集された188センチの大型ストライカー中島大嘉(札幌)もクラブで苦しんでおり、櫻川ソロモン(千葉)や染野唯月(東京V)などを再度試すのも一案かもしれない。

 年内に残された代表活動はあと1回。そこまでに誰が台頭してくるのか。チームをさらに強固なものにするためにも、選手たちの奮起を楽しみに待ちたい。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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