スペイン戦では“ピッチ内の修正”が中盤に安定感をもたらす。守備面で根付きつつある「選手自身の自立した対応力」【W杯】

スペイン戦では“ピッチ内の修正”が中盤に安定感をもたらす。守備面で根付きつつある「選手自身の自立した対応力」【W杯】

首位で決勝トーナメント進出を決めた日本代表。スペイン戦では、ピッチ内で自ら問題を修正する選手たちの好判断が光った。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)



[カタール・ワールドカップ・グループステージ第3戦]日本2-1スペイン/12月1日/ハリファ国際スタジアム

 カタール・ワールドカップE組の第3戦、日本はスペインを2-1で下し、決勝ラウンド進出を決めた。

 今大会というより、それ以前から、森保ジャパンは「前半我慢の後半勝負」となるゲーム戦略を基本としてきた。90分を尻上がりのパフォーマンスで戦う。

 スペイン戦に向けては戦術トレーニングを2日間行なったが、当初は5-2-1-2のシステムで臨む計画をしていた。2トップとトップ下から、4-3-3を敷くスペインのCBとアンカーに対して1対1を作り、全体をマッチアップさせてアグレッシブにプレスをかけていく。

 ところが、初日のトレーニングでは今ひとつ手応えを得られず。すると鎌田大地のほうから、フランクフルトがバルセロナと戦った試合で採用した5-4-1を提案された。森保一監督としても、いくつか考えたプランの中に5-4-1はあり、自身がサンフレッチェ広島監督時代に長年使っていた守備システムでもある。森保監督は当初のプランを変更し、5-4-1でスペイン戦に臨むと決めた。
 
 5-4-1は相手のCBとアンカーに人がマッチアップしないため、自陣にブロックを引いた状態で、相手に縦パスを入れさせて絡め取ることを目ざす。つまり、より消極的な守備だ。結果的にはこの変更で、「前半我慢の後半勝負」のゲーム戦略に、またも落ち着いた。今大会の勝利の方程式だけに、自信もある。

 ただし、実際にやってみると、様々な問題はあった。

 相手のポゼッションの起点となるアンカーのセルヒオ・ブスケッツを、1トップの前田大然、ダブルボランチの守田英正、田中碧の三角形の真ん中に置き、主に守田がマークにいったが、その守田の脇でインサイドハーフのガビがフリーになってしまう。

 序盤はパウ・トーレスからの斜めのパスが通り放題で、ガビを起点にいくつかのチャンスを作られてしまった。序盤に失点も喫している。

 かといって、このガビを守田が気にすると、ブスケッツが起点となりパスを捌き放題になる。そこで守田は試合中に、左CBの谷口彰悟に対し、ガビを捕まえに出てきてほしいと要求をした。このピッチ内の修正で、中盤の守備は安定感を得ることになった。

 一方で、谷口がそうした動きをすれば、最終ラインには段差ができ、揃わなくなるが、スペインは両ウイングがタッチラインを踏むのが原則で、斜めに飛び出す動きは少ない。

 日本側から見れば、谷口や板倉滉の意識が前へ向いているところで、その背後へ斜めに飛び出されたら怖かったが、スペインの攻撃はほぼインサイドハーフ経由だったので、かみ合わせとして中盤への迎撃対応がハマっていた。
 

 また、そうしたロープレスの修正だけでなく、0-1で後半を迎えると、ハイプレスの修正にも動いた。

 前半は時折、ハイプレスをかけて相手GKとCBを追い詰めるも、最終的に相手SBから脱出を許していた。長友佑都は相手ウイングのニコ・ウィリアムスにピン止めされ、前へ出ていけず、ハイプレスがかかり切らない。

 そこで後半の日本は、ウイングバックが積極的に出ていき、後ろは3トップと3バックが3対3の同数でもかまわないと、リスクを負ってハイプレスをかけた。1点ビハインド、さらに三笘薫を投入した意味を考えれば、行かなきゃ損だ。

 両ウイングバックの三笘、伊東純也がともに前へ出て、ハイプレスをはめ切った展開からボールを奪い、48分、堂安律の強烈な同点ゴールが生まれた。その3分後には田中碧のゴールで逆転し、日本はドイツ戦同様、「前半我慢の後半勝負」プランが功を奏した。
 
 その後はスペインがジョルディ・アルバ、アンス・ファティを投入して左サイドの攻勢を強めてきたが、日本は冨安健洋を投入して封鎖。東京五輪で痛い目をみたマルコ・アセンシオに対しても、全員が高いアラートを発して対応し、唯一、決定的なシュートを打たれた場面も、GK権田修一がきっちりセーブした。

 森保監督の采配がクローズアップされることが多い今大会だが、突発的な策に対応し、自ら戦術アイデアを出したり、試合中にもピッチ内で修正ができる選手たちも優秀だ。

 就任時に森保監督が語っていた『選手自身の自立した対応力』が、少なくとも守備面ではこのチームに根付きつつある。

 W杯の開幕前は、森保監督による選手主体、選手主導のマネジメントを信じる人は少なかったが、本番でこれだけのパフォーマンスを見せられては、その成果を認めるほかはない。課題は守備以外のポゼッションなど、よりフェーズが広がった時にどうなるかだが、決勝ラウンド、クロアチア戦を楽しみに待ちたい。

取材・文●清水英斗(サッカーライター)

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