久保建英が途中出場した古巣マジョルカ戦。ソシエダ番記者が目撃した「タケが真のアイドルになったと感じた」光景とは?【現地発】
2023年01月20日 17時34分サッカーダイジェストWeb

ダービーのゴラッソでさらにファンのハートを掴んだ久保。(C)Getty Images
レアル・ソシエダがマジョルカを1-0で下してコパ・デル・レイのベスト8入りを果たした。これで公式戦8連勝、シーズン通しても27試合で20勝目だ。
もっとも開幕以来、決してバラ色の歩みだったわけではない。とりわけ怪我人の多さは大きな誤算で、7~8人の欠場者を抱える中で試合に臨むこともざらにあった。その選手にとって最大の敵である怪我を乗り越え、約9か月ぶりに復帰したミケル・オジャルサバルはこんな言葉を口にしている。
「この9か月はとても素晴らしく、同時にとてもハードな毎日だった。誰だって怪我なんてしたくない。でも悲しいことよりも楽しいことのほうが多かった。ファンの応援とチームドクターやスタッフの尽力のおかげだ。僕は幸せ者だ」
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一方、オジャルサバル以上に長期間の戦線離脱を余儀なくされたアンデル・バレネチェアは、その間、一部のファンの心ない言葉に傷つくことがあったことを認めている。
「心の奥底では理解している。僕たちサッカー選手は好奇の目に晒されやすい。いろいろ話題にされるのは致し方がない部分もある。結局のところ、僕の関心事は、身近な人がどのようにコメントしているかという点だけだ。もちろん影響を受けることはあるけどね」
タケ・クボ(久保建英)が昨夏、ソシエダに加入した当初も、必ずしもすべてのファンが諸手を挙げて迎え入れたわけではなかった。実際、本人も「ソシエダが何年も前から僕に関心を示してくれていたことは知っていた。でも僕は他のオプションを選んだ。そのことがあってファンが歓迎してくれないのではないかと不安だったけど、幸運にも自分で言うのも何だけどデビュー戦でかなり良いパフォーマンスを見せることができた」と素直な心境を吐露している。
しかし、同時にこうも明言している。「街中で、レストランで、スビエタ(練習場)の出入り口付近で、どこに行ってもファンの応援を感じている。これからその期待に精一杯応えていかなければならない」
ファンの期待に応える――。タケのプレーからは一貫してその強い覚悟が随所に垣間見えるが、そのファンの心を文字通り鷲掴みにしたのが、14日のアスレティック・ビルバオ戦だった。交代でピッチを去る際、スタジアム中に選手なら誰もが羨むような特大のスタンディングオベレーションが巻き起こり、コパ・デル・レイのマジョルカ戦でもその余韻を明確な形で確認することができた。ちなみにスタメンから外れたが、これは21日のラージョ・バジェカーノ戦での先発出場を見据えたイマノル・アルグアシル監督によるローテーションの一環である。
そして当初のプラン通りに先制点を挙げたロベルト・ナバーロに代わって、70分にピッチに登場すると、またしてもスタジアムは大歓声に包まれた。もう加入当初の不安は完全に過去の話で、タケがチュリウルディンの真のアイドルになったことを感じさせる光景だった。
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試合に目を向けると、逃げ切りを図るソシエダに対して、マジョルカが必死に追いかけるという展開で、途中出場の選手にとっては難しい状況だった。
そんな中でも、タケはいつものように積極果敢なプレーを披露。左サイドを抜けてクロスを放つとともに、CKから1本目はニアポスト、2本目はファーポストにボールを蹴り込み、好機を演出した。
マジョルカはタケにとって古巣で、友人のイ・ガンインが在籍するチームでもあるが、ソシエダが接戦を制した。カップ戦はこうして勝ち上がっていくことが重要だ。ソシエダとタケの快進撃はさらに加速している。
取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸
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