「彼が他の選手と違うのは明らかだった」ソシエダ伝説OBが久保建英を絶賛。番記者はELローマ戦に向け「命運はタケの手に委ねられた」【現地発】

「彼が他の選手と違うのは明らかだった」ソシエダ伝説OBが久保建英を絶賛。番記者はELローマ戦に向け「命運はタケの手に委ねられた」【現地発】

古巣のマジョルカ戦では途中出場。久保が満を持してローマ戦に挑む。(C)Getty Images



 今夜のヨーロッパリーグ(EL)のラウンド16セカンドレグでレアル・ソシエダが対峙しなければならないものが2つある。1つ目は当然、ファーストレグにおいて0-2で敗北を喫した相手であるローマ。2つ目は自らの歴史だ。

 エスタディオ・アノエタが開場したのは1993年。以来、数々の名勝負を繰り広げてきたが、カップ戦のノックアウトラウンドに限定すると、過去ホームのセカンドレグで逆転したのは、1997-98シーズンのコパ・デル・レイ、ヘレス戦の1度しかない。

 旧スタジアムのエスタディオ・デ・アトーチャに範囲を広げても、逆転劇を演じた機会は限られ、最も印象に残る試合は1982-83シーズンのスポルティング戦まで遡らなければならない。舞台はチャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップ準々決勝。0-1でのビハインドでセカンドレグに臨んだソシエダは、前後半、それぞれ1点ずつ得点をマーク。準決勝でその後、チャンピオンに輝くハンブルガーに決勝進出を阻まれた(合計スコアは2-3)とはいえ、欧州最高峰の大会におけるベスト4進出は、バスクのクラブとして史上最高の成績だ。
 
 ELの前身であるUEFAカップでも1度、逆転劇を演じている。ソシエダは1990-91シーズンの1回戦でスイスのローザンヌ・スポルトと対戦。ファーストレグの2-3という打ち合いを経て迎えたホームのセカンドレグにおいて1-0で勝利。アウェーゴール差で上回り、次ラウンドへ駒を進めた。

 こうしてビッグクラブには見劣りするとはいえ、ソシエダにも残してきた歴史というものがあるが、その1ページを刻んだレジェンド、シャビエル・プリエトもまた今シーズンのタケ・クボ(久保建英)の活躍ぶりを称賛している。

「ウイングとしてどのタイミングでスペースを突けばいいかという判断力が素晴らしい。私はクラブの強化部門を信頼している。ビジャレアルでは理由がどうであれほとんど出場機会が与えられず、マジョルカでは輝きを放っても散発的で、ヘタフェでも同様だった。でも彼が他とは違う選手であることは明らだった。だからソシエダへの移籍が、その特別な才能を開花させるきっかけになればと思っていた。充実感が表情にも漂っている。改めて選手の能力を最大限に引き出すイマノル(アルグアシル)の指導力の高さを実感する。私も嬉しいよ」

【動画】久保が見事なボール奪取からビッグチャンス創出も…味方が外してアシストならず

 心強いのは、タケは舞台が大きくなればなるほど燃えるタイプであることだ。シャビエル・プリエトもその点について言及する。

「開幕以来、貴重な働きを見せていたが、大きな転機となったのが、アスレティック(ビルバオ)とのダービー戦だ。サンティアゴ・ベルナベウでも素晴らしいパフォーマンスを披露した。彼は自分の居場所を見つけた。まだまだまだまだ若く、キャリアはこれからも続いていくが、ソシエダで最高の姿を見せてくれている」
 
 シャビエル・プリエトがローマ戦に向けて、タケに向ける熱い眼差しは、アルグアシル監督も同様で、だからこそマジョルカ戦ではスタメンから外した。本来であれば、温存したかったはずだが、相手の堅守を攻略できない展開が続く中、81分に投入。ただそれでも流れは変わらず、タケもいつものように積極的にボールを要求する姿勢を見せたが、危険なシーンに顔を出すことはできなかった。

 14日、タケは記者会見に登場したが、これもポジティブな言葉でファンを感化させ、ローマ戦に向けて機運を高めていこうという戦略の一つだ。レジェンド、監督、クラブ、全ての人間の視線が日本人選手に注がれている。ソシエダの命運は、タケの手に委ねられた。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

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