1トップ先発の最有力候補は上田綺世。最前線での落ち着きや冷静さに磨き。進化した姿を示したい
2023年03月23日 15時07分サッカーダイジェストWeb

今季はベルギー1部で14得点の上田。代表でも得点源として期待が集まる。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)
2026年の北中米ワールドカップ(W杯)まで3年3か月。通常よりも強化期間の短い新生・日本代表にとって重要な初陣、ウルグアイ戦が24日に迫ってきた。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本優勝直後に行なわれるサッカーの代表戦ということで、不甲斐ない試合はできない。昨年のカタールW杯で盛り上がったサッカー熱を維持するためにも、28日のコロンビア戦も含め、この2連戦では未来への希望を抱かせるような戦いが不可欠だ。
そのためにもゴールは必須。カタールW杯でも浅野拓磨(ボーフム)や前田大然(セルティック)らがゴールを奪ったが、次のW杯で悲願の8強入りを達成しようと思うなら、よりFW陣の得点力を高めていくことが肝要だろう。
森保一監督も「まずは点を取ってくれる選手が必要」と強調。そのうえで「世界トップ基準で考えていくと、攻撃も守備もできてチームに貢献できるという選手が絶対に必要。得点とゴールに絡むこと、チームへの貢献を総合的に見ていきたい」とコメントしていた。
そういう視点で今回招集した4人を見てみると、ファーストチョイスと言えるのは上田綺世(サークル・ブルージュ)ではないか。
「(今季チームでは主に左シャドーに入っているが)、自分は1トップだという自覚があるし、新しい引き出しを持って1トップができると思う。自分なりにいろいろ吸収できることもあるし、新しい点の取り方を模索できると考えて前向きに取り組んでいます。
代表に来て、いきなり良いパフォーマンスが出せることもない。自分が出せるものを全力で出して、それが結果に結びつくかどうか。結びつけられるようにトライしたい」と、彼は今季リーグ14ゴールの自信を胸に、4か月ぶりの代表戦のピッチに立つ構えだ。
C・ブルージュでは181センチ・81キロという屈強な肉体を誇るケヴィン・デンキーがいるため、シャドーが主戦場となっている上田だが、デンキーを見ながら1トップ像を練り上げているはず。直近の17日のヘンク戦では念願の1トップに入ってゴールも奪った。
最前線での落ち着きや冷静さには磨きがかかっているし、大型DFと対峙しても身体を張って収める余裕も生まれている。その成果を今こそ、代表で試すべき時だ。
ウルグアイはホセ・マリア・ヒメネス(アトレチコ・マドリー)、ディエゴ・ゴディン(ベレス・サルスフィエルド)の両看板DFは不在だが、1対1に強く老獪な守備は健在。そういう相手に上田がどんな駆け引きを見せるかは興味深い。
先発したカタールW杯のコスタリカ戦(0-1)で持てる力の半分も出せなかった彼が、確固たる進化を示せれば、FW陣の主軸確保の布石を打てるはずだ。
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そこに前田、浅野、町野修斗(湘南)も参戦してくる。ただし前田は目下、別メニュー調整が続いており、所属のセルティックで左サイドを担っている。仮にプレーできる状況になったとしても限定的だろうし、代表でも左でテストされる可能性が高い。
となれば、上田と競う選手としては浅野と町野。特にボーフムで3トップの右、あるいはトップ下に近いポジションで使われている浅野を森保監督がどう位置づけるのかは1つの見どころと言える。
「ボーフムでは今、どっちかと言うとインサイドで構えてボールを受ける形。僕らはロングボールを使ってセカンドボールを拾って攻撃していく戦い方が基本。自分はボールが入った時のプレーはまだまだ未熟なところがあるので、そこは力をつけていけたらいい。代表ではそういう仕事をやってくれる選手が他にいるので、自分は得意の裏抜けなどにプラスして、足もとの部分にも絡んでいけたら、すごく面白いプレーができると思います」
浅野自身は今、懸命にプレーの幅を広げていることを明かした。その成果が出れば、DFを背負ってタメを作るような仕事もこなせるかもしれない。得点力はもちろんのこと、そのあたりも改めてチェックしたいポイントだ。
一方、町野は4人の中で最も多彩な役割を担える人材。だからこそ、森保監督も期待を寄せている。ただ、昨年9月のアメリカ戦でも思うように自分のプレーを出せなかっただけに、ウルグアイ・コロンビアの百戦錬磨のDFを相手にボールを収めたり、前向きでチャンスメイクしたりすることがどれだけできるのか。そこを注視すべきだ。
「僕と他の3人と特徴が多少違うので、自分の良さをどれだけ出せるかだと思います。プレーの幅が多少広いというか、落ちて起点になったり、サイドに流れることもできるし、身長のところもあるかなと感じます」
本人もこう話す通り、確固たる違いをピッチ上で示せれば、出場時間も増えるだろうし、他の3人との使い分けも可能になる。その領域を目ざして、まずは爪痕を残してほしい。
FW陣の成長なくして、新生日本の飛躍もあり得ない。それを全員が肝に銘じて、初陣2連戦で強烈なインパクトを残すこと。それを上田ら4人には強く求めたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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