浦和が3度目のアジア制覇を懸けて宿敵の“あいつら”に挑む!キーマン、勝負のポイントは?【ACL決勝プレビュー】

浦和が3度目のアジア制覇を懸けて宿敵の“あいつら”に挑む!キーマン、勝負のポイントは?【ACL決勝プレビュー】

3度目のアジア制覇に挑む浦和。(C)SOCCER DIGEST



 浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝に臨む。今大会は昨年末にカタール・ワールドカップがあったこと、次回から秋春制になること、西側の日程的な事情など、いくつかの要因が重なる形で順延され、4月29日にリヤド(サウジアラビア)のキングファハド国際スタジアムで第1レグが、5月6日に埼玉スタジアムで第2レグが行なわれることとなった。

 アジアクラブ選手権の時代に古河電工、読売クラブ、ジュビロ磐田がアジアを制した経験はあるが、2002年にACLがスタートしてから優勝を果たしたJリーグのクラブは浦和(2007、2017)、ガンバ大阪(2008)、鹿島アントラーズ(2018)の3つしかない。その中でも唯一、二度のアジア制覇を成し遂げたのが浦和で、対戦相手のアル・ヒラルも2019年と前回の2021年に優勝しており、ACL初となる三度目の優勝をかけたファイナルとなるのも1つの注目点だ。

 2007年は浦和が前年に悲願のJ1リーグ制覇を果たして、日本のチャンピオンとしてACLに参加した。ギド・ブッフバルトから引き継いだホルガー・オジェック監督の下、シドニーFC(オーストラリア)などが居並ぶグループを首位通過、決勝トーナメントでは全北現代(韓国)、城南一和(韓国)、決勝ではセパハン(イラン)を破って初優勝を果たした。ワシントン、ロブソン・ポンテという強力な外国人アタッカーを揃えた一方で、田中マルクス闘莉王や長谷部誠、阿部勇樹といった、のちの日本代表を支える選手たちを大きく成長させた大会でもあった。
 

 2017年は浦和の翌年にガンバ大阪がアジアを制して以降、Jリーグ勢として9年ぶりとなる優勝を果たした。ただ、このシーズンは浦和にとって激動であり、6年目だったミハイロ・ペトロヴィッチ監督がJリーグでの成績不振により、7月30日に解任された。

 準々決勝からは堀孝史監督が指揮をとり、Jリーグ対決となった川崎フロンターレ戦を合計5ー4で制すると、グループリーグで同居した上海上港(中国)に粘り強く戦い、合計2ー1と勝利。そして決勝はアル・ヒラル(サウジアラビア)との“死闘”を乗り越えて、合計2ー1で二度目のアジア制覇を成し遂げた。

 この大会で浦和が証明しているのはホーム埼玉スタジアムでの圧倒的なまでの強さで、とりわけ決勝で2ゴールをあげたラファエル・シルバの活躍も目立った2017年は、ホームでの強さが際立っていた。熱狂的なサポーターの応援はJリーグのホームゲームでも後押ししているが、国際舞台のACLでは応援のボルテージも違うし、相手にとって大きな圧になっているはず。その意味で、準々決勝、準決勝、決勝と全て浦和がセカンドレグのホームだったのは幸運でもあった。

 浦和がACLのファイナルで唯一敗れたのが、アル・ヒラルとの再戦となった2019年だった。このシーズンも浦和はオズワルド・オリヴェイラ監督が途中解任となり、“組長”こと大槻毅監督が引き継いで、ACLでの躍進に導いた。

 準決勝は第1レグで浦和ホーム、第2レグでアウェーという難しいシチュエーションだったが、ファブリシオと関根貴大のゴールで2ー0と勝利して敵地に乗り込むと、タリスカなど強力なアタッカーを擁する相手の猛攻に耐えて、興梠慎三のゴールで2戦合計3-0と快勝。意気揚々と決勝に臨んだが、2戦合計0ー3という完敗で、屈辱を味わう結果となった。

 つまり浦和とアル・ヒラルは3度目のACLファイナルでの対戦になるわけだが、前回王者でもあるアル・ヒラルは今年2月のクラブW杯でブラジルのフラメンゴを破り、決勝でも欧州王者のレアル・マドリーに真っ向から挑んで、3ー5で敗れたものの賞賛を浴びた。それに先立つカタールW杯でアルゼンチンを破るなど、大健闘を見せたサウジアラビアの主力を多数擁するアジア最強レベルの相手だ。
 
 サポーターも熱狂的なことで知られており、対戦では決まると、浦和のツイッター公式アカウントなどが、アラビア語で溢れかえるのが風物詩となっている。そうした経緯もあり、浦和サポーターの中で“あいつら”と言えばアル・ヒラルを指すほど、もはやACLの舞台では宿命のライバルだ。ちなみに、この両雄は年末にはクラブW杯で、アジアを代表して参加することも決まっている。

 浦和はマチェイ・スコルジャ監督の下で、ここ11試合負けなしと良い状態にある。ポーランドで多くのタイトルを獲得してきた指揮官はハイプレスと緩急織り交ぜる攻撃スタイルを構築しながら、1年目にして対戦相手に応じた策を取り入れるなど、柔軟性の高い采配に特徴がある。

 Jリーグでも最初の2試合は躓いたが、現在首位を走るヴィッセル神戸のストロングであるFW大迫勇也と周囲のラインを遮断するなど、アウェーで1-0の勝利を飾り、好調のアルビレックス新潟に対しても、相手のキーマンである元浦和のMF伊藤涼太郎を完璧に封じて、2-1の勝利につなげた。3-0と完勝した柏レイソル戦では左右のサイドバックをウイングのように上げるオーガナイズで、3バックの相手を崩し切っている。

 そうしたベースとオプションのバランスがJリーグの戦いでは噛み合っているが、アル・ヒラルという強敵に対して、どういった物差しでプランを設計していくのか。スコルジャ監督はこのACLファイナル2試合をシーズンの重要な節目と捉えており、リーグ戦のメンバーを比較的、固定している理由も最高の状態でアジアのタイトルを獲得するためだ。この戦いが終わったら、新たな起用法や戦術的なオプションにもトライしていきたいというが、逆に言えば今できるベストを強敵にぶつけるのが基本にはなるだろう。
 

 勝負の生命線はセンターバックのアレクサンダー・ショルツだが、強力アタッカーを止める役割、そしてセットプレーの得点力を考えれば、相棒のマリウス・ホイブラーテンがキーマンと言えるかもしれない。

 攻守のゲームコントロールをするのは岩尾憲だ。もともとはリカルド・ロドリゲス前監督の“理解者”として徳島ヴォルティスから来たMFは、今ではスコルジャ監督のもとでも欠かせない中盤の要であり、アウェーの初戦とホームの第2戦で、どう舵を切るかが大きく試合を左右することになりそうだ。

 そして3人の外国人枠(別にアジア枠が1つあるが浦和は該当選手なし)のうち二人が両センターバックになるのはほぼ確実だが、もう一人は誰をチョイスするのか。第1レグと第2レグで入れ替えも可能なだけに、独力の高い力を誇る10番のダヴィド・モーベルグか、23日の川崎戦で起死回生の同点弾を決めたブライアン・リンセンか、大型FWのホセ・カンテか、それともモードメーカーでもあるアレックス・シャルクか。スコルジャ監督の判断が問われる。

 また怪我からのリハビリに努めてきたキャプテン酒井宏樹の復帰も気になるが、左利きである明本考浩の右サイドバックも徐々に板に付いてきており、スコルジャ監督も柔軟な選択はできそうだ。
 
 一方のアル・ヒラルもACLの西地区での戦いが今年だったこともあり、ここまで勝ち上がってきたメンバーをそのままぶつけられる利もある。4月24日には国内最大のライバルであるアル・イテハドと国王杯の準決勝を戦い、1-0で勝利した。

 マンチェスター・ユナイテッドでもプレーしたナイジェリア代表FWオディオン・イガロは国内リーグで22試合18得点と無類の決定力を誇っており、マリ代表のムサ・マレガも規格外の打開力を誇る。サウジアラビア代表の司令塔アル・ファラジュはラストパスのセンスはもちろん、巧妙なドリブルでファウルをもらい、直接FKでゴールを狙うなど、狡猾なテクニシャンとして厄介な相手になる。そしてチームを率いるのはJリーグの初代得点王でもあるラモン・ディアスだ。

 優勝賞金が約4億円に上がり、勝利すればクラブにとっても大きな価値になることは間違いないが、何よりアジア王者という称号、そして最多の優勝回数をかけて、浦和レッズとアル・ヒラルが激突するACLファイナル。熱くならないはずがない。

文●河治良幸

【AFCチャンピオンズリーグ決勝】
浦和レッズ vs アル・ヒラル(サウジアラビア)
 
●第1戦
日時:4月29日(土・祝)26時30分キックオフ(26時10分~配信開始)
会場:キング・ファハド国際スタジアム/サウジアラビア
解説:佐藤寿人
実況:野村明弘
配信:DAZNにて独占ライブ配信
 
●第2戦
日時:5月6日(土)18時キックオフ(17時30分~配信開始)
会場:埼玉スタジアム2002/埼玉
解説:佐藤寿人&槙野智章
実況:野村明弘
配信:DAZNにて独占ライブ配信


 
【動画】槙野智章がぶっちゃける!ACLのトラブル歴&今季決勝展望!
 

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