千葉の右SB西久保駿介は“狭き門”U-20W杯メンバー入りなるか? 指揮官も目を細める成長ぶり「大きな役割を果たしている」
2023年04月30日 14時35分サッカーダイジェストWeb

千葉で右肩上がりに調子を上げているプロ2年目のDF西久保。写真:梅月智史
開幕まで残り3週間。メンバー発表を考えれば、アピールのために残された期間は2週間ほどしかない。5月21日にワールドカップ初戦を迎えるU-20日本代表のメンバー入りを懸けた争いが佳境を迎えている。
最終予選は23名の選手が参戦できたが、本大会は21名しか登録できない。フィールドプレーヤーは18名となる見込みで、さらに、参戦できなかった海外組の選手たちも虎視眈々と出場を目論んでいる。
となると、リストに名を連ねるのは狭き門。所属クラブで出場機会を掴み、結果を残さなければ、生き残れないのは明白だ。そうした状況下で、J2千葉のDF西久保駿介も可能性を信じ、懸命にアピールを続けている。
西久保は三菱養和SCユースから加入して2年目のSB。右サイドを主戦場とし、身体能力の高さを生かした守備と空中戦の強さを武器に、昨年のルーキーイヤーはJ2で27試合に出場を果たした。
しかし、今季は同じポジションに松田陸が加入した影響もあって出場機会に恵まれず、4月12日の9節終了時点で1試合14分の出場に留まり、ベンチ入りも3回しかなかった。
昨年11月にU-19日本代表(現・U-20日本代表)のスペイン遠征に参加したものの、アピール不足で3月のU-20アジア選手権(U-20ワールドカップの最終予選)はメンバー外。4月上旬のショートキャンプで冨樫剛一監督の下でプレーしたとはいえ、ボーダーライン上の選手という印象は拭えなかった。
今季の出遅れについて、「右サイドは本当に素晴らしい選手が揃っている。リスペクトしている選手ばかり」と前を置きしたうえで西久保はこう分析する。
「監督が求めているプレーが単純にできなかった。理解をしていても技術面で追い付かなかったんです。なので、止める、蹴るの技術を1から見直して取り組んでいました」
ユン・ジョンファン監督体制から小林慶行監督体制に移行した今年の千葉は、去年以上に戦術的な要素が求められている。そうした新たなスタイルに適応できず、西久保はプレーシーズンから苦しんでいた。そのなかで徐々に手応えを掴み、10節の東京V戦(1−0)で今季初先発を飾ると、続く11節の熊本戦(2−2)でもスタートからピッチに立ち、178センチとは思えない高打点のヘッドで今季初ゴールを決めた。
そして迎えた4月29日の大宮戦(1−0)。この日も4−4−2の右SBで先発出場を果たすと、目覚ましいプレーを見せる。
身体の強さを生かした守備で相手を封じつつ、スピードを生かした攻撃参加で相手陣内の深い位置まで攻め込んだ。さらにこの試合では今季初のフル出場も成し遂げ、課題だった持久力の面でもアピール。西久保は「去年も最初の頃にあったんですけど、90分走り切れない試合が多かった。そのなかで最後まで走れたのはひとつの成長だと思う」と話し、手応えを掴んだ様子が窺える。
そんな西久保について、「細かい部分で課題はある。ボール保持した時や守備でもまだ成長しないといけない部分がたくさんある」としたうえで、小林監督も成長ぶりに目を細めている。
「チームが苦しい状況だった時に、フレッシュなパワーを持っていた彼をスタメンに抜擢しました。彼はもっとできるという期待をしていたし、その一方で彼自身がゲームから遠ざかっていたので90分持たない試合があったんです。それが少しずつ改善されて、落ち着いてプレーもできるようにもなってきた。セットプレーでも活躍できますし、自分たちのゴールキックでも前進するうえでの逃げ道として大きな役割を果たしている」
空中戦に強く、推進力も高い。さらに経験を積んだことで、状況に応じたプレーもできるようになってきた。実際に大宮戦の終盤には右サイドの深い位置でボールを受けた際に中の状況を見たうえで、クロスを上げずにキープする選択肢を取っている。そうしたプレーからも成長が見て取れた。
W杯開幕まで残された時間は少ない。代表のSBは3名もしくは4名の招集が見込まれているが、選手層は薄い。特に左サイドは中野伸哉(鳥栖)、髙橋仁胡(バルセロナ)といった実力者がいる一方で、右サイドは人材が限られており、中野や2列目の屋敷優成(大分)が担っている現状だ。
本職の右SBがいないだけに、今後のアピール次第では西久保が滑り込む可能性は十分にある。他の選手にはない武器を持っており、ロングスローを投げられる点も大きな魅力だ。
「18人しかフィールドプレーヤーは選ばれない。冨樫監督がどう起用するか分からないけど、どんな戦術にも合わせられるようにしたい」とは西久保の言葉。右肩上がりで調子を上げている成長株はアルゼンチン行きの切符を掴めるか。中学時代から右SB一本で勝負してきた男は大舞台を目ざし、一心不乱にボールを蹴り続ける。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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